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振り返り手法の振り返り

2025/02/28に公開

振り返り手法の振り返り

これまで7年程アジャイル開発案件のスクラムに参画し様々な振り返り手法を用いて振り返りを行ってきました。
この記事ではこれまで私が経験した振り返り手法について、実施方法や感じたこと、注意していた点等を記載していきます。
※実施方法について一部本来のやり方と異なる部分がございますのでご了承ください。

KPT

言わずと知れたKPT(Keep/Problem/Try)

  • Keep:よかったこと、継続したいこと
  • Problem:課題
  • Try:次スプリントでの改善

実施の流れは以下の通りです。

  1. 各自でKeep/Problemを記載し共有
  2. 内容をグルーピング
  3. 改善すべきものを2~3選定、Tryとして具体的な実施内容を検討

振り返りにおいてもっとも有名なのはこの手法なのではないでしょうか。実施方法も非常にわかりやすい振り返り手法だと思います。

メンバー間でスキルレベルや経験に差がある場合、課題を言い出しにくいことがありました。そのため、課題はチームで解決するものという前提に立ち、「全員が自分のことを棚に上げ、批判ではなく建設的に書く」ということを意識して行っていました。

どうしてもProblemに注目しがちですが、チームが成熟されるにつれてクリティカルな課題がなくなり、振り返り自体が形骸化してしまうことがありました。そのため、ある程度成熟した後には、優先順位を見極めたうえでKeepを伸ばすことや、より効率を上げるための工夫などを考えるようにしていました。

Tryとして実施することは精神的な改善(気を付ける、意識する等)ではなく、プロセスの見直しやツール作成などを重視し、改善がしっかりと定着するよう注意していました。

FDL

FDL(Fun/Done/Learn)はKPTよりも個人にフォーカスしている印象のある振り返り手法です。

  • Fun:楽しかったこと
  • Done:やったこと
  • Learn:学んだこと

実施の流れは以下の通りです。

  1. 各自で実施したことを書き出す
  2. 実施した内容がどのカテゴリにあてはまるか共有

FDLは自分のやったことについて振り返っていくためKPTと比べて非常に書きやすいです。実施内容を振り返ることによって改めて「これだけの作業を完了した」という達成感を味わうことができます。

この振り返り手法を実施することで、他メンバーの好みを把握することができるため、チーム組成の序盤にメンバー間の相互理解として実施すると非常に効果的だと感じています。(以降の場面で作業分担がしやすくなりました。)
一方で課題解決の側面は薄いため、継続的にFDLを行うよりも、普段の振り返りにアクセントとして時々混ぜる方が適していると思います。

Good/Motto

Good/MottoはKPTの亜種のようなイメージです。

  • Good:よかったこと
  • Motto:改善できること

実施の流れは以下の通りです。

  1. 各自でGood/Mottoを書き出し共有しながらグルーピング
  2. 改善すべきものを2~3選定し具体的な実施内容を検討

    ※図のPO、SM、DEVに関してはスクラムのロールになるのですが、今回はスクラムの記事ではないので説明は割愛いたします。適宜プロジェクトの関係者と読み替えていただければ幸いです。

Good/MottoはKPTと似ているため、KPTでよいのではないかと言われてしまうこともありますが、個人的にはKeep/Problemという切り口で考えるよりもGood/Mottoという方が考えやすいと感じています。

我々のチームでは少しアレンジを加えてプロジェクト内の各ロールなどで区切って実施しています。そうすることでどこの部分が優れており、どこの部分に課題があるのか分析がしやすくなります。

どの振り返り手法を用いる場合にも必要だと思うこと

これまで私が経験した3つの振り返り手法をご紹介しました。ここからは、どの振り返り手法においても必要だと感じていることを記載いたします。

まず何よりも振り返りの目的をチーム内で認識合わせしましょう。振り返りを実施する目的が何なのか、それが曖昧な状態で実施しても意味がありません。形骸化し目的なく実施しているだけの状態ならば、その時間を使って別の作業をした方が効率的だと思います。

問題の原因が「線」なのか「点」なのか。
よくあるケースとして起票者が課題と一緒に改善まで考えてしまうことがあります。もちろん悪いことではありませんが、その問題の原因が「線」なのか「点」なのかは考えたほうがよいと思います。「線:問題が発生するまでに背景があり、それが積み重なって発生したもの」の問題に対しては、しっかりと原因分析を行い、解決策を講じる必要があります。一方で「点:背景や予兆なく突発的に発生したもの」の問題に対しては迅速な対応が求められます。
反射的に思いついた解決策でよい場合とそうでない場合をしっかり見極めましょう。

おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございます。
この記事が少しでも皆様の学びになっていれば幸いです。

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