Microsoft Ignite 2024 現地参加レポート(Day1)
はじめに
こんにちは、三菱UFJインフォメーションテクノロジー新卒2年目社員の伊東です。
いわゆる社内専用のChatGPTアプリの開発をしていて、主にバックエンドやRAG関連の機能開発を担当しています。
実は今回、Zennのテックブログへの初投稿となります。
今後は、開発しているアプリの話や、そこで得られた知見を共有できたらと考えています。
さて前置きが長くなってしまいましたが、今回はMicrosoft Ignite 2024 に現地参加をしてきたので、その内容や所感をお伝えできればなと思います。
Microsoft Ignite 2024 とは
Microsoft Igniteは、Microsoftが毎年開催する主要なテックカンファレンスです。
最新の製品やサービスに関するアップデートやワークショップ、ハンズオン、パートナー企業の展示会などがあります。
AIやアプリケーション、インフラ、セキュリティが主要なテーマといった印象でした。
今回のIgniteでは、AI「エージェント」というのがキーになりそうだというのが、Microsoft社員の方が仰っていました。
Keynotes
Azure AI Foundry(旧:Azure AI Studio)から、Azure AI Agent Serviceが発表されました。Azure AI Agent Serviceは他のセッションでも多く取り上げられており、注目度は高いと感じました。LangGraphのようなエージェント機能の作成をAzureサービスとしてサポートするそうです。エージェント自体の設定をAzure上で管理を行い、各アプリケーションからはエージェントを指定して呼び出すような使い方ができそうですね。
CopilotのMicrosoft Office 365製品との機能強化に関する発表がいくつかありました。Teamsでのビデオ会議のリアルタイム翻訳やExcelからの情報抽出などが可能になるそうです。個人的に気になったのがSharePoint+Copilotで、SharePoint上のファイルからRAGができるイメージです。認可に関しては、SharePointのアクセス権限に応じて決定されるのも良いですね。簡易的にRAGを行うなら、これだけでもできる範囲がかなり広いと思います。
Azure OpenAI ServiceではVisionモデルや知識蒸留(Distillation)のファインチューニング対応、新しいモデルカタログの発表がありました。
知識蒸留はいくつか必要な工程があるかと思いますが、どこまでAzure側でサポートされるのかは使ってみないと分からないですね。
データベース周りで気になったところは、Azure Database for PostgreSQLでインデックス検索を強化するDiskANNの対応でしょうか。
NoSQLやMongoDBに続いて、PostgreSQLまで対応されたので、ベクトル検索への本気度が伺えます。
他には、Cobalt 100やAzure Boost DPU、他にもハードウェア周りの紹介がいくつかありました。クラウド型PCであるWindows 365 Linkも発表がありましたね。私はプライベートでグレーのMac Miniを使っていたので、どこか既視感を感じました。
Certifications
Ignite参加者はMicrosoft認定試験も1回まで無料で受けられるんですよね。
認定試験も1回で1万円から2万までしますし、興味のあるセッションが無い夕刻だとか、時間に余裕があった場合には受けても良いかもしれません。
私はAzureの認定資格である「Azure AI Fundamentals」を受けました。
認定資格に時間をかけるのは勿体無いなと思っていたので、優しめの難易度の資格を選択しました。
試験を解き終わり次第、すぐに帰ることができます。
Keynotesが終わり次第、すぐに受けに行きましたが、結構人がいたのが驚きでした。
Microsoft LearnというMicrosoft製品の勉強ができるスペースも用意されており、そこでオンデマンド型で学ぶことができたり、エキスパートが常駐しているので質問もできるそうです。
こちらも意外と利用している方がチラホラいました。
Sessions
受けたセッションとその内容を簡単に説明したいと思います。
Streamline AI App development with Azure App Platform
- アプリ開発におけるAzure PaaS製品のアップデート
- Azure App Serviceのsidecar拡張機能のGA化
- Azure FunctionsのFlex ConsumptionプランのGA化
- Azure Container AppsでGPUが使えるプランが発表
- アプリ開発における移行や新規開発の考え方
- 既存のオンプレサービスからの移行にはAzure Migrateを使った移行方法のHow to
- 新規機能の追加にはFunctionsやApp Serviceを使ってマイクロサービスで構築していくとの事
Azureサービスを利用したアプリ開発を行う上での、マイクロサービス化や移行の考え方について学ぶ事ができ、開発業務を行う上でも意識したいと思いました。アプリ系のAzure PaaS製品の細かいアップデートを知れるのも、こうしたカンファレンスならではのものかと思いました。
Azure OpenAI: the latest innovation for AI powered business value
Azure OpenAI Service (AOAI) に関するセッションとなります。
- GPT-4oとo1は、回答速度と回答の質が異なり、用途も異なる
- AOAIにGPT-4o-RealtimeとGPT-4o-Audioがpreview対応
- 知識蒸留やVisionモデルのファインチューニング対応、Azure AI Agent ServiceのリリースはKeynoteと同一内容
- Scale & Flexibility
- デプロイ方法にDataZoneが追加
基本Keynotesの内容と同じでしたが、ファインチューニング系とデプロイ方法の更新が主な内容でした。ファインチューニングが現在、そして今後どこまで主流となっていくのかは気になりました。
Unlock enterprise search with multimodal Embed 3
タイトルにあるEmbed 3でお察しの方もいるかもしれませんが、Cohere社のマルチモーダル用のEmbeddingモデルがAOAIに対応したという話でした。
ただこれは1ヶ月前に発表されていたので、今回新規発表というわけでは無さそうです。
主にRAGのインデックス作成で使えそうです。
OCRなどで画像からテキスト認識しなくても、そのままEmbeddingが行えるので、速度や精度の向上が期待できそうですね。
Introducing Azure AI Foundry Agent Service to scale your AI agents
- Azure AI Agent Serviceの概要と使い方を説明
- 来月12月にpreview版をリリース
- SharePointやAI Search、Bing検索などをデータソースに指定可能
- アクションにはAzure Logic AppsやOpenAPI、Azure Functionsと連携可能
Azure AI Agent ServiceはAzure含めMicrosoft製品との連携を売りにしたAgentサービスという印象でした。来月リリースということで、実際にどこまでできるか楽しみですね。
おわりに
今回、初めての海外テックカンファレンスに参加して、その規模感にはとても圧倒されました!
沢山の企業や技術者の熱量を肌で感じる事ができ、私自身とても刺激を受けた一日でした!
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