エンジニアのためのリモートワーク時間管理術

2024/04/16に公開

はじめに

リモートワークでは、ありとあらゆる誘惑が存在していてかつサボりに気づく人はいないため適当に過ごしていると大した成果もなく1日が終わってしまうといったことになってしまいがちです。
逆に、仕事に集中しすぎて、他にやるべきことをおろそかにしてしまうといった場合もあるかと思います。
僕自身、ここ3〜4年ほどリモートワークで仕事をしていることもあり、どのタスクをいつやるのか、副業とどうやって両立するのか、趣味はいつやるのかといった時間管理の部分がおざなりになっていると感じていました。
最近では、そういった状況を打破すべく様々な時間管理の方法を試して自分の中である程度固まってきたので、その知見を今回は共有したいと思います。
また、後半ではより集中して作業を行うための集中の仕方や誘惑の断ち切り方に関しても触れようと思います。

働く時間に関して

大前提として、働く時間は固定したほうがいいと思います。
リモートワークで仕事をしていると昼間は適当に過ごして夜遅くまで仕事すれば良いといった考えに陥りがちですがこれは絶対に間違いです。
たしかにこういった働き方をしていても、勤務時間だけそれっぽい時間に報告(詐称)した上で成果物が伴っていれば、例えば昼間ゲームをしていたとしても、おそらくそう簡単にはバレないと思います。
しかし昼間の本来働くべき時間に誘惑に負けてしまう人は夜にまた別の誘惑に負けるだけです。おそらくそう遠くない未来に破綻すると思います。
あらかじめ仕事をする時間を設定してそれを厳守するというのが大事です。また、朝の時間は常識の範囲内で昼間に設定する方が良いと思います。
僕自身は10時〜19時を本業の時間に設定して、その時間は基本的にそれ以外の作業を行わないようにしています。

時間の可視化

上記の働く時間を守った上でより生産性を高めるには設定した時間の中で集中した時間を増やすことが大事です。
そのために僕はポモドーロテクニックを活用してタスクの見積もりや作業に取り組んだ時間の可視化を行っています。
ここではポモドーロテクニックの詳細な説明は省きますが、簡単に内容をお伝えすると25分でタイマーを鳴るようにセットし、最初のタスクに取り組む。タイマーが鳴ったら5分後にタイマーを再設定して休憩を取る。これを1ポモドーロとし、このサイクルを繰り返すといったテクニックのことです。
僕自身、このテクニックに関して長いことを否定的な立場でした。というのも、25分では大したタスクの進捗も出せず、そのたびに休憩をとっていては集中力を切らしてしまい非効率ではないかと感じていたためです。
しかし、ポモドーロタイマーの重要な点はこのサイクルを愚直に繰り返すことにあるのではなく、作業時間の見積りや可視化が簡単になる点にあると気づいてから、このテクニックを活用して、以前よりもかなり多くの成果が得られるようになったため、今回はその手法を紹介しようと思います。

先に作業時間の可視化について話します。
これには僕は、Sessionというアプリを活用しています。
このアプリは、単純なポモドーロタイマーとして動作するだけではなく、あらかじめ設定したタグをもとにどういったタスクにどれくらいの時間取り組んだのかといったことを簡単に可視化してくるので非常に重宝しています。
また、作業後には作業の集中度やメモを残すことができるため、そのセッション中に学んだことや気づいたことなどをメモして後から見返すといったことができ、非常に便利です。
有料プランもありますが、無料プランでも十分に機能すると思います。
Sessionはカレンダー上に色分けしてどのタスクに取り組んだのかといったことを記録してくるため、何の作業もしていない隙間があるとかなり目立って見えます。
人間は隙間があるとつい埋めようとしてしまう習性があるようで、この隙間を埋めるために作業に取り組むといった良い循環も生まれてきます。

※情報漏洩回避のために画像を一部加工しています。

この日は朝ーで10〜11時ごろ会議をしていてその後から記録を開始しています。
この記録を見ると11時ごろから14時半ごろまでは調子良く作業出来ていたものの、その後集中力が低下して隙間ができはじめ、17時ごろから再度集中して作業に取り組めているといった様子が見てとれます。
これまで漠然としか理解していなかった自身の集中の仕方がこういった可視化ツールを通して見えてくることでどこを改善すれば良いのか、どう改善するのかといった検証にようやく移っていくことができます。

次に見積もりに関してです。
僕は、あらかじめどういったタスクをいつやるのかといったものを1週間分まとめています。
これにはTrelloというタスク管理ツールを利用していますが、同様のアプリがいくつも存在しているため、ご自身で好きなものを利用して良いと思います。
ここに月曜日から金曜日、もしくは土日も含めて列を作成して、そこにその日行いたいタスクを記載していきます。
その際、そのタスクは何ポモドーロ位かかるのかといった見積もりも一緒に記載していきます。タスクの内容が大きく見積が難しいときはより細かいタスクに分解出来ないかを考えます。
僕の環境としては、本業は本業で管理ツールを使っており、副業は副業でまた別の管理ツールを使っています。 それらを取りまとめてその日取り組む事を明確にするために共通の管理ツールとして活用しています。
また、その他にも趣味や健康のために取り組みたいことなどその日実行したいことがあれば、同様にこちらに記載しています。
以前はカレンダーアプリを活用して実行する時間まで事前にスケジューリングしていたのですが、その設定の手間や仕事で発生する予定との競合、ひとつ予定が狂ったときに後続のタスクへの影響が大きいなどの理由からこういった事前にざっくりやることのみ決めておいて取り組む順番やタイミングは当日に決める形に切りかえました。

※情報漏洩回避のために画像を一部加工しています

写真の括弧内の数字が見積りです。
趣味やエクササイズ的なこともその日やりたいことであればざっくばらんに追加していっています。
この見積もりと先程のセッションを利用した時間の記録を利用して、1日や1週間の振り返りを行います。
いつどういったタスクに取り組んだのか、見積もり通り作業できたのか、どれくらい集中して作業できていたのかといったことを振り返り、少しずつ改善していきます。
これを繰り返すと時間の見積もりの精度はどんどん上がっていき、また自分が1日にどれくらいの集中時間を保てるのかれくらいのタスクをこなすことができるのかといった自分自身のキャパシティーもだんだんと理解できてきます。
そうなってくると例えば仕事で新しいタスクを振られた際に、今持っているタスクはいつ頃終わり、 新しく振られたタスクにはいつ頃着手でき、いつごろ完了するのかといった見積もりがかなり正確にできるになってきます。

誘惑たちきり方

誘惑の断ちきり方に関してもお話ししようと思います。
最終的には、意思の力を振り絞ってあらかじめやると決めたことに取り組むこと以外対処法は無いのですが、それでも人間は言い訳が非常に得意な生き物なのでつい誘惑に負けてしまい様々な方法でサボってしまいがちです。
ここでは、いくつかの大きな誘惑の断ちきって意思の力を振り絞る手助けをする手段を紹介しようと思います。

作業を妨げる最も大きなものは動画コンテンツだと思います。
これらは特に脳みそを使う必要もなく、ただ垂れ流してしておくだけで次々と娯楽を提供してくれて非常に良い時間の浪費手段です。
特にテレビは、様々な利権が絡み合っていて、徐々にこちらを洗脳してくるように思います。
最低でも作業をする部屋には置かない、可能であれば家の中に設置しないといった対処を取ったほうが良いと思います。
僕自身ももう10年近く家のなかにテレビを設置していません。

同様の理由で、YouTube等の動画配信サイトも作業を妨害する上で非常に優秀です。
つい動画を流しながら作業といったことをしがちですが基本的に人間は変更作業が出来るように設計されていないためおすすめ出来ません。
少しでも注意を引かれてしまうと、そのままずるずると動画を眺めるだけの時間が増えてしまいます。

僕は、こういったサイト等は出来るだけツールを利用してブロックしています。
先に紹介したsessionにも有料プランにはなりますが、アプリやサイトのブロック機能が付いています。
無料のものが良ければ stayfocusd と言うChrome拡張が便利です。
これは、あらかじめ設定したサイトをあらかじめ設定した時間の間ブロックしてくれる拡張機能になります。
僕の使い方としてはあらかじめ10〜19時はYoutubeやつい見てしまいがちな各種SNSサイトを登録して、ブロックするよう設定して使っています。

もうひとつ作業を妨げる大きなものとしてスマホが上げられると思います。
スマホを触っているとついSNSを眺めてしまい数十分、場合によっては数時間経過していたといったケースも少なくないのではないでしょうか。
また、スマホは一切触っていなくても近くに置いてあるだけで集中力を削ぐこともあるという研究もあるようで、可能であれば別の部屋、最低でも手の届かない範囲に置いておくのが良いのではないかと思います。
また、スマホに関してもタイムロッキングコンテナと呼ばれる使用を制限する物理的なアイテムも存在しているようなのでこういったアイテムを導入してみても良いかもしれません。
安くても3000円程度するようですがこれを使ってより集中出来るのであれば費用対効果としては高いのかもしれないです。

最後に音楽に関してです。
音楽も作業中には出来れば止めておいた方が良いというのが結論です。
特に歌詞が付いているものは最悪で、つい歌詞を追ってしまい集中力が阻害されがちです。
どうしても音楽を取り入れたいのであれば作業前や休憩時間の短い時間に聞いてテンションを高めた後、音楽を止めてから作業を開始するのが良さそうです。

睡眠に関して

良い集中のためには良い集中はかかせないと考えています。
個人差はあるようですが最低でも毎日6時間可能であれば7〜8時間の睡眠時間を確保したほうが良いと思います。[1]
よく急がしくて寝る時間が確保出来ないといった話を聞きますが基本的には睡眠時間を削る方向ではなく、より集中してより効率的に作業を終わらせてさっさと寝てしまう方向に努力するのが良いと思います。
睡眠に関してはスタンフォード式 最高の睡眠が医学的な観点に基いた話はもちろん、急がしいサラリーマン目線に沿ったアドバイスなども記載されていて非常に参考になります。

会議の時間に関して

せっかく集中して作業出来ていたとしても会議のせいで集中が途切れてしまうといったことが起こりがちです。
この対処のために僕は2つのことを意識しています。

・会議に出来るだけ出ない
・どうしても出なければいけない会議は出来るだけまとめて朝一や夕方定時前などに固める

どちらも言うは易しですが実際に行おうとすると中々難しいです。
周囲の理解も必要になってきます。
それでも実現出来たときの効果は大きいので出来るだけ取り組んでみることをおすすめします。

コツとしては、自身が持っている情報を出来るだけ資料等にまとめる、日程調整役を進んで引き受けるといったものがあります。
自身が開発しているツールや機能の使いかたやエラー対応、タスクの進捗状況確認等の会議であればこれらは事前に資料にまとめたり進捗の報連相を適宜おこなっておけばそちらを見てください、で回避できる場合があります。
また、どうしても必要なものであれば進んで日程調整を引き受けて、こっそり朝ーに設定するなどして出来るだけ連続して作業出来る時間を確保するようにしています。

おわりに

本記事では、リモートワークにおけるエンジニアの時間管理について詳しく解説してきました。以下に要点をまとめます。

活動時間の固定 : 仕事に取り組む時間を事前に設定し、その時間を厳守することが重要です。昼夜逆転や不規則な勤務時間は生産性を低下させる可能性があります。
時間の可視化 : タスクごとの作業時間を記録することで、生産性を向上させることができます。ポモドーロテクニックやsessionなどのツールを活用して、作業時間を可視化しましょう。
誘惑の断ち切り : 動画やSNSなどの誘惑を断ちきるために、各種ツールを活用することをおすすめします。
睡眠の重要性 : 良質な睡眠を確保することは、集中力を維持するために不可欠です。毎日の睡眠時間を確保することを心がけましょう。

リモートワークにおける時間管理は、個人の生産性や満足度に直結する重要な要素です。本記事で提供された情報を活用し、効果的な時間管理を実践してください。
こうした活動はしっかりと振り返りを行い改善していくことが大切です。そのため3日坊主ではほとんど意味がなく、習慣にしてしまうことが大切です。
2週間続けてしまえば自然と習慣になるといったデータもあるようなのでひとまず2週間頑張ってみるのが良いかもしれないです。
今回とりあげたツールや記録の仕方などは少なくとも僕はかなりの効果を感じるものが多く、全てとは言わないので一部でも役立ちそうなものがあれば取り入れてみてはいかがでしょうか。

ただし、誘惑やいわゆる時間の浪費は必ずしも悪いことばかりではなく、人生には一定の娯楽が必要であることも間違いありません。
自身の目標や優先順位を明確にし、それに基づいたスケジュールを立てることが大切です。
あまりやりすぎない程度に必要なところで集中するために使うのが良いのではないかなと思っています。

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参考文献

脚注
  1. ただし、いたずらに睡眠時間を増やせば良いわけでは無いようで、10時間以上眠っていると生活習慣病のリスクを高めるといった研究もあるようです ↩︎

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