HPE製L2スイッチの構築メモ(Part.1)
はじめに
HPE製のスイッチを初めて構築しました。
(Cisco製のスイッチも構築したことないので、もしかして珍しいパターン…?)
長いので、いくつか記事を分けて記載していきます。
概要
■前提
スイッチは2台構成で、スタック構成とします。
■流れ
1.準備
1-1.電源ケーブル接続、起動
1-2.ログインプロンプト起動
1-3.ログイン情報を入力
2.IRF(Intelligent Resilient Framework)設定(今回はここまで)
2-1.IRF設定
2-2.2台目のスイッチをシャットダウン
2-3.1台目と2台目をケーブルで接続する
2-4.2台目のスイッチを起動する
2-5.設定の確認
3.認証設定
3-1.SSHサービスの有効化
3-2.ssh接続のアクセス制限
3-3.ローカルキーの作成
3-4.vtyユーザインタフェースの設定
3-5.auxユーザインタフェースの設定
3-6.ユーザに対するssh接続権限の付与
4.システム設定
4-1.ホスト名
4-2.タイムゾーン設定
4-3.NTPサーバ設定
4-4.ファンの風向変更
4-5.パスワード変更
4-6.デフォルトルートの設定
5.STPの無効化
6.リングアグリゲーションの設定
6-1.インターフェースを作成する(static,dynamic共通)
6-2.LACPの有効化(dynamicの設定のみ実施)
6-3.リングアグリゲーションインタフェースへ物理ポートの追加
6-4.リングアグリゲーション情報の表示
7.VLAN設定
7-1.VLANの作成
7-2.ポートへのVLANアサイン
7-3.VLANインターフェースの作成
前提
スイッチを構築する上で、基本的な考え方やコマンドを記載していきます。
基本操作
View | プロンプトの表示 | 説明 |
---|---|---|
User view | <ホスト名> | ファイル操作やシステムのバージョンアップ、デバッグなどの設定に利用 |
System view | [ホスト名] | グローバル設定(機器全般の設定)に利用 |
各View | [ホスト名-XXXX(Xは設定内容によって異なる)] | 各機能の詳細設定に利用 |
ログイン直後は、User View権限となり、System View権限、各View権限と移行していく。
- User view権限からSystem view権限への移行
system-view
- System view権限から各権限への移行(インターフェースに関する設定例)
interface (range) GigabitEthernet X/X/X
※rangeは複数インターフェースに対して設定する場合
- 各view→System view、System view→User viewなど、一つ前の権限に戻る場合
quit
- User viewに戻る場合(各View、System view共通)
return(もしくはctrl +zキー)
- ポートのシャットダウン
shutdown
- ポートのシャットダウンの解除
undo shutdown
※Ciscoはデフォルトでポートがシャットダウンされています(と本で読みました)が、
HPEは、デフォルトではポートがシャットダウンされていないので注意。
- (電源の再起動)
reboot
- 現在の設定の確認
display current-config
- 設定の保存
save
===============================================
(出力結果)
The current configuration will be written to the device. Are you sure? [Y/N]:y ←「y」を押すことで、現在の設定を保存します。
Please input the file name(*.cfg)[flash:/startup.cfg]
(To leave the existing filename unchanged, press the enter key):l3sw.cfg ←「l3sw.cfg」という名前でコンフィグを設定します(別名保存)。未指定の場合は、現在の名前のまま、設定を上書きします。
Validating file. Please wait...
Saved the current configuration to mainboard device successfully.
===============================================
- 保存した設定ファイルを起動後のファイルとして読み込ませる
startup saved-configuration l3sw.cfg
ポート番号表記ルール
- 基本
インターフェースタイプ スロット番号/サブスロット番号/ポート番号
- インターフェースタイプ
物理の帯域速度によって、記載方法が異なるため注意(記載を誤るとエラーが出ます)。
ポートの速度 | 表記 |
---|---|
1Gbps(1000Mbps)対応ポート | GigabitEthernet |
10Gbps対応ポート | Ten-GigabitEthernet |
25Gbps対応ポート | Twenty-FiveGigE |
40Gbps対応ポート | FortyGigE |
100Gbps対応ポート | HundredGigE |
※ポート速度を設定したり、duplex(全二重/半二重)を手動設定をすることはできますが、省略します。
-
スロット番号
後述のIRFスタックを構成した場合、スイッチに設定したMemberIDとなります。
スイッチ単体では、デフォルト1です。
※自分が構築したのはボックススイッチなので、上記の説明となりますが、
シャーシタイプはそのままスロット番号となります。 -
サブスロット番号
基本的には0です。
※拡張モジュールを搭載するとこの値を変更する必要があるようです。 -
ポート番号
スイッチ本体に記載されているポート番号です。
本題
1.準備
こちらは省略します。
2.IRF(Intelligent Resilient Framework)設定
2-1.IRF設定
- スイッチ1台目
※「HPE」の部分はデフォルトのホスト名です。
※ 40Gbpsの27ポート、28ポート目をIRFポートとして利用する想定で設定します。
※ この時点では、まだスタック用にケーブルを接続しません。
まず、System view権限に移行し、Menmber Priorityを変更します。
Menmber Priorityが大きいほど(上限値は機器によって異なる)、Masterとして採用される優先順位が上がります。
<HPE> system-view
[HPE] irf member 1 priority 32
対象のポートを指定・シャットダウンします。
[HPE] interface range FortyGigE 1/0/27 to FortyGigE 1/0/28
[HPE-if-range] shutdown
[HPE-if-range] quit
その後、IRF Portに対し、対象の物理ポートをアサインし、シャットダウンを解除します。
[HPE] irf-port 1/1
[HPE-irf-port1/1] port group interface FortyGigE 1/0/27
[HPE-irf-port1/1] quit
[HPE] irf-port 1/2
[HPE-irf-port1/2] port group interface FortyGigE 1/0/28
[HPE-irf-port1/2] quit
[HPE]interface range FortyGigE1/0/27 to FortyGigE 1/0/28
[HPE-if-range]undo shutdown
[HPE-if-range]quit
その後、IRF Portを有効化します。
[HPE]irf-port-configuration active
- スイッチ2台目
IRFを組んだ時に、スイッチの個体を識別できるように、Member IDを変更します。
Member ID変更後は、スイッチの再起動が必要です。
<HPE> system-view
[HPE] irf member 1 renumber 2
[HPE] quit
<HPE> reboot
1号機と同様に、priorityも変更します。
ただし、1号機をMasterとするために、priorityは1号機よりも低い値とします。
[HPE] irf member 2 priority 16
その後は1号機と同様に設定を行います。
[HPE] interface range FortyGigE 2/0/27 to FortyGigE 2/0/28
[HPE-if-range] shutdown
[HPE-if-range] quit
[HPE] irf-port 1/1
[HPE-irf-port1/1] port group interface FortyGigE 1/0/27
[HPE-irf-port1/1] quit
[HPE] irf-port 1/2
[HPE-irf-port1/2] port group interface FortyGigE 1/0/28
[HPE-irf-port1/2] quit
[HPE]interface range FortyGigE1/0/27 to FortyGigE 1/0/28
[HPE-if-range]undo shutdown
[HPE-if-range]quit
2-2.2台目のスイッチをシャットダウン
2-3.1台目と2台目をケーブルで接続する
下記組み合わせでスタック用のケーブルを接続します。
- 1台目:irfポート1つ目(1/0/27) × 2台目:irfポート2(2/0/28)
- 1台目:irfポート2つ目(1/0/28) × 2台目:irfポート1(2/0/27)
2-4.2台目のスイッチを起動する
2-5.設定の確認
[HPE]display irf configuration
=============================================================
MemberID NewID IRF-Port1 IRF-Port2
1 1 FortyGigE1/0/27 FortyGigE1/0/28
2 2 FortyGigE2/0/27 FortyGigE2/0/28
=============================================================
上記のように、Menber IDが2つ並べばOKです。
[HPE] display irf
=============================================================
(出力内容)
MemberID Role Priority CPU-Mac Description
*+1 Master 32 XXXX-XXXX-XXXX ---
2 Standby 16 XXXX-XXXX-XXXX ---
--------------------------------------------------
* indicates the device is the master.
+ indicates the device through which the user logs in.
The bridge MAC of the IRF is: XXXX-XXXX-XXXX
Auto upgrade : yes
Mac persistent : 12 min
Domain ID : 0
=============================================================
「*」が付いている方がMasterとなります。
「+」が付いているのは、現在操作をしている方の機器を示しています。
おわりに
最初はまとめて書こうと思ったのですが、
改めて書こうとすると説明することが多く、分けることにしました。
(あと2つくらい記事を書くことになりそうです)
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