MOSH Tech Radio #4「2024年の振り返りと2025年に向けて」(前編:プロダクト開発・技術基盤編)
はじめに
今回の記事は、「MOSH Tech Radio」#4のエピソードをもとに執筆しました。CTO村井さんを招いてMOSHが2024年に取り組んできた開発や組織体制の変化、そして2025年に向けた展望を語ります。
podcastが約1時間盛々の内容となっており、
- 前編:プロダクト開発・技術基盤編
- 後編:開発組織・技術広報編
という構成で記事を2つに分割します。笑
本日は1.前編:プロダクト開発・技術基盤編としてその一部始終を詳しく紹介していきます。
参加メンバー
MC:
Ryo Adachi (X)SIerとしてエンジニアのキャリアをスタート後、コネヒト株式会社に入社。バックエンド/フロントエンド開発に従事しながら、リードエンジニアとして組織の効率改善やプロセスの見直しにも尽力。2021年MOSHにJOIN。
スピーカー:
Ryosuke Murai (X) MOSH株式会社CTO
学生インターンを経て株式会社プロシーズに入社。エンジニアとしてのキャリアをスタートさせ、この時に籔と出会う。その後入社したRetty株式会社ではアプリ・ウェブの企画開発に従事。2017年、籔・村山とともにMOSHを創業。
音源紹介
今回の音源は以下になります。ぜひMOSH Tech Radioも聞いていただけると嬉しいです。
MOSH Tech RadioはMOSHの開発に携わるメンバーがプロダクト開発について自由にトークするラジオです。毎回テーマを1つ決めてMOSHのプロダクト開発の中身や業務での取り組み、技術的観点について発信していきます📻2024年のプロダクト開発
決済冗長化と事業へのインパクト
2024年4月、MOSHは決済システムの冗長化を実現しました。従来Stripe単独だった決済ゲートウェイに、新たなペイメントゲートウェイを追加。これにより、これまで不可能だったカード会社による分割決済スキームを導入し、クリエイターは商品代金を一括で受け取れるようになりました。
この変更は、高額商品の販売を希望するクリエイターのニーズに応えるだけでなく、営業成果にも大きく貢献。個人クリエイター向けに分割決済を提供するサービスは希少であり、MOSHの成長を大きく後押ししました。将来的には、ニーズに応じて決済方法の更なる拡張も視野に入れています。
この決済冗長化は、複雑なシステム連携を伴う困難なプロジェクトでした。しかし、ペイメントゲートウェイを抽象化するモジュラーモノリスアーキテクチャを採用することで、アプリケーション側からの透過的な利用を可能にし、今後の拡張性も確保しています。これにより、決済周りのコードが整理され、開発者の負担軽減にも繋がりました。
チーム主導体制の構築
2024年は、チームが主体的にプロジェクトを進める体制が整った年でもありました。決済モジュールの構築などは、CTOや一部のメンバーではなく、新しくジョインした技術リードとエンジニアが中心となって推進し、チーム主導へと大きく変化しました。
AI活用による機能開発
AI技術を活用した機能開発も積極的に行われました。MOSHでは2023年からLLMのAPIを活用した取り組みを開始しており、2024年には「AI診断」ツールをリリース。また、サービス紹介文の自動生成や動画要約機能なども実装し、ユーザー体験の向上に努めました。
これらのAI機能は、ユーザーの手間を軽減するだけでなく、ワークフローそのものを変革する可能性を秘めています。例えば、動画要約機能は、長時間の動画コンテンツを視聴する際のユーザー体験を大きく改善しました。今後は、メルマガ作成支援など、AIの適用範囲をさらに広げていく予定です。
基盤刷新:バックエンドとフロントエンド
バックエンド docker化とlamdalith
バックエンドでは、サーバーレスアーキテクチャの課題解決に向けた取り組みが行われました。創業当時から採用していたサーバーレスアーキテクチャは、運用コストの低さというメリットがありましたが、ラムダのアーティファクトサイズ制限やコールドスタートによるAPIレスポンスの遅延といった課題も抱えていました。
これらの課題を解決するため、まずLambdaをDockerイメージ対応へ移行し、ジップのサイズ制限を回避。続けて「Lambdaを機能ごとに大量に分けるのではなく、『1つの大きなLambda』でAPIルーティングする」いわゆる“lamdalith”への構成に切り替えることで、コールドスタートが頻発しないよう最適化を進めています。また、FastAPIとOpenAPIスキーマ駆動開発を導入し、開発生産性の向上にも取り組みました。
フロントエンド AngularからReactへの移行
フロントエンドでは、AngularからReactへの移行が進められています。Angularはフルスタックフレームワークでオールインワンなの利点がある一方、MOSHの開発スタイルとの相性を考慮しました。Reactの豊富なライブラリを生かした開発のスピード感を優先し、既存の主要画面は依然Angularで稼働しているものの、段階的な移行を進めています。Reactへの移行により、shadcn/uiなどを活用した迅速な開発が可能になり、合わせて採用面でのメリットなども鑑み移行に踏み出しました。
まとめ
2024年は、MOSHにとって技術面・組織面双方で大きな変化と成長を遂げた一年でした。決済システムの冗長化やAI活用による機能開発は、事業成長に大きく貢献。また、チーム主導体制の構築や基盤刷新への取り組みは、今後の開発をより効率的かつ柔軟なものにするための土台を築きました。MOSHは、2025年もユーザーにとって価値ある機能を提供し続けるため、技術への投資と組織力の強化に継続的に取り組んでいきます。
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