「実践プロダクトエンジニアリング ~ドメインを制する者は開発を制す!~」 イベントレポート
はじめに
2025年3月10日、SmartHR Spaceで 「実践プロダクトエンジニアリング 〜ドメインを制する者は開発を制す!〜」 が開催されました。hacomonoさん・プレイドさん・SmartHRさん+弊社MOSHにて急成長スタートアップ4社がそれぞれのプロダクト開発手法や組織文化、取り組みについて語りました。今回はそのイベントレポートをお送りします。
会場はSmartHRさんイベントスペース「SmartHR Space」
めちゃくちゃ設備整っていて素敵なスペースでした。弊社にもほしい...
それぞれ異なる事業ドメイン・成長フェーズにおける企業において、各社プロダクトエンジニアとして自社サービスの開発に向き合う中で、プロダクトエンジニアの役割、組織設計やアーキテクチャ、スピードと品質の両立への工夫など具体的な事例を交えながら知見がLT形式で共有されました。
SmartHR水&ルービックキューブ
越境するプロダクトエンジニアリング ── 職能を超えた連携が支えるMOSHの開発現場
最初の登壇は弊社プロダクトエンジニア/エンジニアリードのLiao(@liao_0405)さん。エンジニアが職能を超えて関わることの重要性についてのお話。liaoさんの所属する開発チームでは、エンジニアもPMやBizDevと一緒に商談やユーザーインタビューに参加し、顧客の課題を直接把握します。その取り組みの結果として、開発スピードが向上し、ユーザーにとって本当に価値のある機能を短期間でリリースを実現しているという事例ベースでのお話でした。
エンジニアが技術的な観点だけでなく、顧客のペインや事業全体の視点を持つことの大切さと、プロダクトの成長にとって最も重要なのは「ただ動くコードを書くこと」ではなく、「本当に必要なものを素早く届ける」ために、エンジニア自身が顧客の声を直接聞き、プロダクトの方向性を深く理解することが不可欠だと改めて感じます。
アウトカムを最大化させるプロダクトエンジニアの動き
次に登壇したhacomonoのSho(@shoy75)さんは、「プロダクトエンジニアとは何をする人なのか?」というhacomono社の"プロダクトエンジニア"の定義に始まり、エンジニアがプロダクトの価値を最大化するために、ドメインエキスパートの多い営業やカスタマーサポートと密にコミュニケーションを取り、顧客の課題や要望の解像度を上げる取り組みについて紹介いただきました。時には営業やカスタマーサポートの商談に同行し、ユーザーが何に困っているのかを直接聞いているそうです。
「エンジニアだからここまでしかやらない」という境界線をなくし、プロダクトの成長に貢献できることなら何でもやる、という姿勢が印象的でまさに「越境」されているなと感じました。このような環境では、エンジニアは開発者であると同時に、事業成長のための推進者として、hacomonoの話を聞いて、技術力だけでなく、ビジネス理解やユーザー視点を持つことが、もちろん様々な組織規模や事業形態がある中で、これからのエンジニアに求められることの一つなのではないかと思います。
早くて強い「リアルタイム解析基盤」から広げるマルチドメイン&プロダクト開発
プレイドの土佐さん(@tosa_now)は、リアルタイム解析基盤「Blitz」を活用したマルチプロダクト開発についてお話しされました。Blitzは、Webサイトやアプリの月間解析データ量が180ペタバイトにも及ぶほどのユーザー行動データをリアルタイムで解析し、KARTEなどのプロダクトを通じて企業のマーケティングに活用いただいているそうです。プレイドでは、このような共通基盤を活用しながら複数のプロダクトを展開し、短期間で独自の強みを持つプロダクトを立ち上げる仕組みを確立しているとのことでした。
技術基盤の設計や運用がいかにプロダクト開発のスピードを左右するかを改めて実感しました。良い技術基盤があることで、エンジニアはゼロからシステムを構築する手間を省き、本質的な機能開発に集中できます。規模感や成熟度は異なるかと思いますが、弊社のプロダクトチーム構成に似ている部分もあり、プレイドのアプローチは、単なるプロダクト開発ではなく開発プロセスそのものを加速させるという点でとても興味深かったです。
健康保険証が無くなるらしい!?
最後の登壇はSmartHRのqwyng(@qwyngg)さん。2024年12月から健康保険証がマイナンバーカードに統合されることに伴うプロダクト開発の課題について説明されました。SmartHRでは、この法改正に対応するために、ドメインエキスパートと密に連携しながら仕様を決定し、書類のフォーマット変更や電子申請の対応を進めているそうです。
特に印象的だったのは、法改正のような外部要因に迅速に対応するためには、エンジニアだけでなく、専門知識を持つメンバー(=ドメインエキスパート)との協力が欠かせないという点でした。技術力だけでなく、業界のルールや法律をしっかり理解し、それをプロダクトにチームで反映するスキルが求められます。つまり、ドメインエキスパート+チームでの連携がめちゃくちゃ大事。SmartHRさんのようなプロダクトでは、こうした国レベルの外部環境の変化に柔軟に適応する力が競争力の鍵になるのだと感じました。
まとめ
今回のイベントを通じて、エンジニアが単なる開発者ではなく、プロダクトの成長を牽引する存在である "プロダクトエンジニア" の各社の具体的な事例や取り組みを深く知ることができました。LT後に回収させていただいたアンケートフォームでも以下のような感想・好評をいただけました。
- ビジネスサイドとの連携を重視している旨のお話が興味深かったです。
- 現場のエンジニアがビジネス知識を上げるためにどのように取り組んだかが非常によく伝わってきた
- 課題に対する実際のアクションがすごくわかりやすかった。
- 自分もプラットフォーム部門を担当しているので、プロダクトと基盤の相互フィードバックのところめっちゃいい話だと思いました!
- 国の制度変更による仕様変更を題材に面白い話を聞けました!どうやって開発を進めるかといった部分は参考になる話も多かったです。SmartHR さんのドメインエキスパートが強すぎる。
それぞれ異なるアプローチや内容でしたが、共通する最終的な目的はいかに ユーザーにとって「本質的な価値を生み出すか」 ではないかと感じます。
イベント後の懇親会でも、登壇者・参加者同士の交流が活発に行われ、実際の開発現場での課題や解決策について議論が交わされました。MOSHでも今回の学びを活かし、今後のプロダクト開発に取り入れていきたいと思います!
最後に、MOSHとしては初の自社connpassページでの募集やイベントの司会担当など、各社運営担当の皆さまのご協力・お支えのおかげで、イベントを実施することができました。参加いただいた皆さまをはじめ、イベントに関わっていただいた皆さま改めて本当にありがとうございました。
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