エンジニアリングマネージャーの仕事 人間と関わる
チームを動かし、成果を出す方法は何か?
- 議論・討論・率直なフィードバックには、どんなコミュニケーションスタイルが良いか
- 委譲とは何か
- チームはうまくやれているか
3.1 上手なコミュニケーションをするには
3.1.1.1 適切な媒体を選ぶ
- 対面でのコミュニケーション。自分の姿を見せてボディランゲージを使える。しかし、同期コミュニケーションなので、実際に双方がその場所にいる必要がある。一方で、制御が難しいものでもある。返答を返すまでに、時間がない。一方で意図せず重要なトピックにつながる場合もある。
- メール。記録が残るので見返したい情報伝えるのに最適。非同期なので、即返信しなくてもよい。
- ドキュメント。
- チャット。同期的。ざっくばらんな意見交換。質問などに向いている。かしこまった議論には向かないかもしれない。
- 特定ユースケース用のソフトウェア(チケット管理など)。その用途に使う。
何かをコミュニケーションしようとするときは、どの媒体を使うべきか注意深く考える。
まず、伝えたいメッセージについて考える。次に、相手の気持ちになって、どうすれば一番うまくメッセージを受け取れるかを考える。最後に、正確に伝わったかどうか、メッセージ単体で理解かのうかどうか、メッセージが必要な行動を引き起こせるかどうかを確認する。
3.1.1.2 自分のエネルギーをマネジメントする
その時に気分をコミュニケーションに反映しない。そのコミュニケーションに適切な感情であるように自分を律する。
- 次に会う人に、現在の感情と、可能であればその理由を伝える。相手がサポートしてくれることもある。
- 落ち着くまで、次の活動を延期する。
3.1.1.3 2回測って、1回切る
「2回測って、1回切る」大工のことわざ。木材は切ったらやり直せないので、切る前に正しいことを確認する。
コミュニケーションも同じ。マネージャの言葉には重みがある。
- コミュニケーションしたいときにコミュニケーションしてはいけない
- コミュニケーションが必要なときにコミュニケーションする
マネージャはゴシップを広げず、正しくて役に立つ情報を伝え、実行可能である必要がある。
3.1.2 あなたに合わせるのではない
- コミュニケーションは、相手に合わせて行うべき
相手が正しく理解して、適切な行動を起こすのに最も適した方法を考える。
3.1.2.1 会話を双方向にしよう
- よく聞き、質問し、反応を促す
- 相手が反応できる時間を取るようにする
3.1.2.3 適切性は効率性に勝る
自分の都合ではなく、受け手側の都合を考えて情報を発信する。たとえば、全員への一斉送信は楽だが、個別送信や対面の方が適切か、など。効率よりも適切さを重視する。
3.1.3 一貫性を保とう
媒体や場所や立場などで、人格に一貫性がないと、相手の信用を得られない。本当の自分と話せているという実感を与えることが大事。
3.1.4 フィードバックをするには
フィードバックを行うための最良かつ簡潔なアドバイスは、徹底的な本音。
GREAT BOSS(グレートボス): シリコンバレー式ずけずけ言う力
概念を学ぶのは単純だが、マスターするには練習が必要。
- 話す相手を個人として気遣うこと。相手の利益になり、改善を望んでいるからコミュニケーションするということを伝える
- 考えていることを率直に直接伝えること。要点から伝えること。
誠実性と具体性により、スタッフとの関係性が強化され、成長を後押しできる。
3.2 委譲
優れたマネージャであるためには、人に委譲する方法を学ぶ必要がある。
3.2.1 悪い委譲:両極端
2つのケースを考える。
1つ目のケースは全く委譲できていない場合。優秀なICからEMに昇格した場合に考え方のシフトができずになり勝ち。
- 品質の低下がさけられない
- メンバーは重要な仕事を任されないので、信頼されていないと感じる
2つ目は、1つ目の逆。丸投げ。メンバーの1人にタスクを投げ、そのタスクの存在を完全に忘れてしまう。
- 納期が守られず、期待した品質にならない
- メンバーは、成功するためのサポートとガイドが受けられない
3.2.2 説明責任は委譲できない
説明責任と実行責任の差を理解する
- 説明責任:タスクを求められる品質で完了させる責任を持つ
- 実行責任:タスクを実際に自分で行う
委譲は、タスクの実行責任を他の人に託しつつ、説明責任を持ち続けること。
3.2.3 委譲の物差し
- 自分でやる
- やり方を示す
- ガイドする
- 頻繁にチェックする
- ときどきチェックする
- 終わったら連絡をもらう
- 相手がやる
- 委譲を行うことによって、相応の教育、コーチング、メンタリング、確認が必要。タスクを適切に完了させるだけでなく、メンバーが学び成長できる機会を与えることができる。
- タスクごと、人ごとで、どのレベルでの委譲を行うのかを個別に判断することが、マネージャの責任。
- 重要度の高いものは、移譲度合いを減らしてもよい。
- 委譲をしていけば、メンバーがスキルを身につけチームのアウトプットと有効性が向上する。
3.2.4 委譲でやるべきこと、やってはいけないこと
- やるべきこと
- 委譲すること:委譲しないと優れたマネージャにはなれない
- チャレンジになるくらい委譲すること
- タスクの重要性に応じて適切なコントロールを保持すること
- やってはいけないこと
- 丸投げ
- 他の人のやり方が自分と同じであることを期待すること:説明責任はアウトプットに対してであり、プロセスは関係ない
- 渡したタスクを取り返すこと:適切な委譲の度合いを選択する、タスクを学習の機会にすることはマネージャの責任。
3.3 上司との連携
3.3.1 動き出そう。待つのではなく
一番重要なことは、能動的に動くこと。
3.3.2 パフォーマンスについて話そう
上司との関係を始めるにあたっては、パフォーマンスについて話さなければならない。
- 上司から見てあなたのパフォーマンスとは何か?
- それらのパフォーマンスは何に依存しているのか?
曖昧な答えしか得られないかもしれないが、そうであれば、決めてしまう良い機会である。
上司との最初の会話についてのアイデアが必要なら、以下を試す。
- ハイパフォーマンスなマネージャが持つ特性は何か?
- マネージャの担当チームがうまくいっているかどうかをどう測るか?チームのアウトプットだけで測れるか、チームが満足しているかどうか、定着しているかどうかか、全部を含むか
- 成功しているマネージャはマネジメントの仕事の合間に何をしているのか。コーディングに没頭しているのか、他のマネージャと一緒に部門を良くしようとしているか。後者の場合、どんな活動をしているか
- 組織内のマネージャはどうつながっているべきか。自分のチームだけをきにしていればよいか。定期的に、デザイナー、プロダクトマネージャ、セールス、カスタマーサクセスのスタッフとも話すべきか
これらの質問の自分の答えと、上司の答えを組み合わせることで、どのようにパフォーマンスを考えているのかをお互いにとらえ直す。最初からパフォーマンスについて話すことは、徹底来な本音の関係にとっても重要。
3.3.3 マネージャの世界の蓋を開ける
上司に1on1などで質問することで、学びを得られる。
3.3.4 サマリーの力
上司に説明するため、自分が立ち止まって考えるために、定期的にサマリーを書く。
4つのPというアプローチがある
- 進捗(Progress):前回の記録から何が起こったか
- 問題(Problems):どんな問題が起こったか、対処が必要なものは何か?
- 計画(Plans):問題に対してどのように取り組む予定か?
- 人(Peolpe):チームの人はどうか。全員良い状態か?つらい状態の人はいないか?何を改善できるか?
紙に書き出すことで、客観的な視点でものを考えることができるようになる。
サマリーを確実に書くように習慣化する方法。
- 上司にサマリーを送ることを知らせる
- 繰り返しのToDoに入れる。金曜日に書くのもよいし、上司との1on1の前日に書くのもよい
- 割り込みの入らない30分をサマリ―専用に確保する
以下は書き方
- その週で注力していることを大項目の箇条書きにする
- フロー状態で考えたことを書き止める:形式にはこだわらない
- すばやく校正する:数分
- 上司に送る
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