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Clubhouseを完全に理解するために、3種類の『常時接続』を整理する
常時接続にも種類がある
- Clubhouseについて考えるとき、常時接続というワードが最も重要
- しかしこの言葉、『配信型』の常時接続と『VC(ボイスチャット)型』の常時接続が一緒くたに語られがちで、認識の食い違いを生み出すことが多い
- 例「ClubhouseってDiscordと同じじゃん」
『VC型』常時接続
- LINEやDiscordなど、知り合い同士で繋がるクローズドコミュニティ
- 主なコンテンツ
- 友達同士の雑談、飲み会
- ゲーム中のVC
- 2人~10人程度、N対N人の接続
- あまり多くなると自分が話せなくなる
- 主なコンテンツ
『配信型』常時接続
- YouTube LiveやTwitchなど、配信者がリスナーと繋がるパブリックコミュニティ
- ゲーム配信、VTuberなどのライブ配信
- 2人から数万人まで、1対N人の接続
- 基本的には1人が多人数に配信する
- M人が多人数に配信する『コラボ配信型』も可能だが、自前でシステムを構築する必要がある
- ここでいう接続という単語に、テキストチャットは含めていない
『コラボ配信型』常時接続
- インスタライブ、ツイキャスなど、複数人の配信者がリスナーと繋がるパブリックコミュニティ
- M人が多人数に配信する、M対N人の接続
- YouTube Liveで実現するには、自前で何らかのシステムを構築する必要がある
- 配信者が同じスタジオに集まるのが最も単純
- 個人配信だとスタジオを準備するのは大掛かりすぎる
- 離れた場所にいる配信者がコラボ配信するには、画面分割するのが手軽
- インスタライブ、ツイキャスなどは基本これ
- VTuberは性質上、離れた場所にいても人物を1画面に描画できるのでコラボ配信向き
- 配信者が同じスタジオに集まるのが最も単純
- 誰でも手軽に配信できる今、知名度を上げるために効果的なものがコラボ配信
- すでに有名な人とコラボさせてもらう
- トークも、一人より複数人のほうがやりやすい
- 広告と違って費用もかからない
- すでに有名な人とコラボさせてもらう
Clubhouseは、この3種類をシームレスに行き来できるのが最大の特徴
- ルームに入ると、まず発言権のないリスナーとして参加する
- 挙手ボタンをタップして権限をもらうと発言が可能になる
- 2人~10人程度なら『VC型』として運用
- 人が増えてくれば『コラボ配信型』に変更
- 人が減ってくれば『配信型』に戻すなど、自由自在
- これらの運用を意識せずとも変更できるように考えられている
- 音声のみだからこそ、システムでM対N人の配信が実現しやすい
- 自前でコラボ配信の手段を準備しなくても良い
- 動画なら画面分割になるが、やはり目が散るしスマホの小さい画面で見るのは難しい
- ちなみにルームの公開範囲をClosedにすれば完全にDiscordやLINEのような運用ができるが、Clubhouse的な旨味はあまりなく、とりあえずつけました機能&マネタイズへの布石を感じる
Clubhouseの現状を整理
- プラットフォームの機能とコンテンツ(コミュニティ)は切り離して考える
- 機能とは、例えば『セルフサービス方式の飲食店』という営業形態
- コンテンツとは、その中でラーメン専門なのかカレー専門なのか全部ありのフードコートなのかという中身
- ユーザーは「カレーが食べたい」からカレー屋に行くのであって、カレー屋が存在するからカレーを食うのではない
- 現実だと飲食店の選択肢が少ない可能性もあるが、ネットだと地理的な制約がないので無数の店舗から選べる
- 機能に食いつくのはアーリーアダプターだけで、マスにリーチするには機能よりコンテンツが重要になってくる
- アイドルやVTuberが配信すれば一定のファンは視聴するだろうし
- どんな業界でも同じようなことが起こる
- 機能
- 手軽にVC型やライブ型で配信を始め、参加者が増えてくればコラボ型にマイグレーションできる配信機能
- コミュニティ
- シリコンバレー発 招待制SNSという話題性
- 現状では30代から40代の起業家、ビジネス系など、いわゆるNewsPicks系の人が多い
- 最初はiOS限定ということやアイコン、UIデザイン等からも、想定しているペルソナもその辺だと思われる
Clubhouseの今後はどうなる
- 機能
- 基本機能は完成しているので、マネタイズが主になるだろう
- 有料ルームはマスト
- サブスクリプション、チップ、チケット販売などでクリエイターが収入を得られる仕組み
- マネタイズとして手数料ビジネスになりそう
- 実際これらの機能はすでに発表されている
- 広告挿入は難しそう
- リアルタイムコミュニケーションを遮るような広告挿入は劇的に体験が劣化する
- 今はなきUstreamがコレをやった
- リアルタイムコミュニケーションを遮るような広告挿入は劇的に体験が劣化する
- コミュニティ
- 爆発的に人気になったコミュニティは、飽きられるのも早いことが多いので最初の1ヶ月がどうなるか
- 今後も著名人と双方向で会話できるのか
- ユーザーが増えるほどに、一般人が会話に参加するのは難しくなる
- しかし双方向会話できず、ただの配信型になるのではれば動画付きのほうが体験として優れている
- エンタメ配信にはあまり向いていないように思える
- 動画制作のノウハウが確立しており、コンテンツに予算をかけられる
- すでにスタジオ等を使ってYouTube Liveでコラボ配信型を実現しているコミュニティには、Clubhouseは刺激が足りない
- 有料ルームへの課金で、サロン的な使い方をする形になるのではないか
- すでに一定のファンを持つインフルエンサーが、交流イベントを定期的に有料で提供する
- インフルエンサー同士の雑談をライブで聴けるという体験を、有料で提供する
技術的な話
- 音声配信には Agora.io というSaaSを使っている
- 時雨堂の人(WebRTC関係の凄い人)が解析していたので参照
- Agora(声網)は中国系テック企業で、中国のライブ配信ブームを支えている
- これを使えば同じようなアプリは数日程度で作れるだろう
- すなわち、割と早い段階で既存サービスが同一の機能を実装することはありそう
- 利用時間で課金されるため、常時接続が(前提のClubhouseでは、このバズは結構苦しいのでは
- $0.99 per / 1,000 minutes だそう
- ルームに100人が1時間接続した場合
- $0.00099 * 60分 * 100人 = $5.94 = 約620円
- ルームに10,000人が24時間接続した場合
- $0.00099 * 60分 * 24時間 * 10,000人 = $14,256 = 約150万円
- 1日の平均アクティブユーザーが1万人のとき、月に約4,500万円かかる
- ボリュームディスカウントはあるだろうにしても、なかなかいい値段
資金の話
- Clubhouseは105億円の調達に成功していると言われている
- 昨年創業ながら、これだけ破格の資金調達が可能だからこそ、AgoraなどのSaaSを惜しみなく使うことができるんだろう
- この金銭感覚こそがシリコンバレー… という感じがした
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