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【第4回】いまさら聞けないメカ設計 ケースの設計 光る温度センサ

2023/06/07に公開

概要

いきなりなんか具体的な設計を解説頼まれまして、実際にやってみようと思います。
下図のようなポンチ絵をもらいました。

お題 パイピコ+ネオピク+温度センサで壁につけた筐体がなんかふわっと光るやつ

今回はこの謎のメモから3Dプリンタで第1回目の試作(T1)をするところまでの実際に行った流れをトレースしてみます。

電源とかどうすんのかな、、

スペック確認

・RaspberrypipicoR3
https://www.switch-science.com/products/6900
https://datasheets.raspberrypi.com/pico/pico-datasheet.pdf
・NeoPixel Ring 20連 外形Φ60
https://www.led-paradise.com/product/1726
・DHT22 温度センサ?どこの使うんじゃ?Sparkfun
https://www.switch-science.com/products/5020

3Dモデルの調達 Grabcad他

電子パーツ類は3Dモデルがすでに存在していたりします。公式サイトからDLできたり、Grabcadなどのサイトで公開されていたりします。
公開されていればそれを使い、されていなければ自分で作ってUPしてみるのも良いと思います。

・RaspberrypipicoR3
https://grabcad.com/library/raspberry-pi-pico-r3-1
・Neopixel ring 20
→ フリー素材なし
・DHT22
https://grabcad.com/library/am2302-dht22-temperature-and-humidity-sensor-1

ダウンロードしたファイルの中から3D CADの国際規格のSTEPファイルを使います。
Fusion360の場合は「開く」でファイルしていするだけでインポートができます。

寸法構想

ざっくりと主要パーツを並べてサイズ感を掴みます。
ちょっと昔の設計ではExcelでパーツを積み木のようにを並べて、X, Y, Zの3方向から見てサイズを検討するなんてこともやってました。
今は3D CADがあるのでペコペコ並べます。

この断面図はケースの中にピンクの幅狭のがラズパイ、青いのがDHT22、緑がNeopixelRingです。
ラズパイとDHT22が平置きで横並びにできないので上下に逃げるとして適当に近づけて配置しました。
ラズパイとDHT22を立てるよりもその方が薄くなりそうという判断です。

あと、NeopixelRingの直径がちょうどよくてラズパイとDHT22が内側に入るなということが掴めたのがここでの収穫です。

ひとまず描いちゃう

私は個人開発でやる場合にはあまり細かいところを攻めずに寸法は少しずつ余裕を持たせて一度形にしてしまいます。
頭の中で構想するよりもアウトプットしてそれをこねくり回す方が私には簡単なので、一度CADで主要な部分を形づくってしまいます。

基板固定方法、配線、基板の正確な位置はここでは決めません。後付けできるし、基本設計に影響がないからです。

設計アイディア1 PCBAの位置決めと固定

今回、基板の位置はあまり正確じゃなくても良さそうなのでボスにネジ止めだけでもいいかなーと思ったんですが、あとからラズパイのボタンを押したいとかなった場合は正確な位置に配置されてて欲しいので位置決めを考えます。

ラズパイやDHT22といったPCBA(部品が実装された基板)は穴も外形もあまり精度は良くないのですが、外形で押さえてあげればUSBの抜き差しをしてもストッパーになってくれるかなということで簡単にイメージだけしておきます。

あとPCBAの固定をするネジはPCBA同士をクロスすれば全部ケース直付けできるし、配線もしやすいかなと。

設計アイディア2 NeopixelRingの位置決めと固定

NeopixelRingは押さえられるところが全くないので、基板裏面と外形を位置決め基準とし、固定は枠の摩擦とフタの押さえとしました。

外形と枠の摩擦部分にはかまぼこ形状を4ヶ所つくって後調整ができるようにしました。

また、フタ側からリブ(棒状の突起)を立てて基板を軽く押し付けるようにしました。


設計アイディア3 フタを拡散板にする

LEDがホワっと光るというメモがあったのでLEDという点光源を面光に変換するためにフタに拡散板としての機能を持たせます。

といってもあまり凝ったことはせず、下記の条件でフタを作っただけです。
・乳半色の材料にする
・厚さを適当に薄くつくる
 → 3Dプリンタで試作して厚さ調整
・LEDを1つ1つ個別の部屋に入れ込む

乳半色の材料にする

拡散板(ディフューザー)として乳半(にゅうはん)色の材料というのは定番です。コンビニの袋の色です。
3DプリンタならPLAの乳半色≒白だったりするので白PLAが使えたりします。

厚さを適当に薄くつくる

今回は、LED間の仕切りを1 mm、フタ底面を2 mmの厚さにしました。
テストするのでひとまず感覚ですが、底面は1 mmだと3Dプリンタが失敗しやすいのと拡散しきらずLEDの形に見えちゃうかなと思ったのでまずは2 mm。側壁は拡散して欲しい反面、減衰して欲しくないので1 mm。
3Dプリンタでまともに寸法がでる壁厚さも1 mm程度~なのでそうしました。

LEDを1つ1つ個別の部屋に入れ込む

フタが1つの導光体になるので、LEDを包み込むようにフタ1部品に個室を作って被せました。

設計アイディア4 フタはぱっちんで止める

フタはぱっちんで止めてネジなどは使わないことにしました。
ぱっちんは設計用語ではスナップフィットと言います。

これも下記のような特性やコツがあります。
・ネジがいらない
・凸凹を引っ掛ける構造
・部品間にクリアランスがあるときれいにいきやすい
・凸凹のどちらをフタにしてもOK
・フタ側にアームをつくる
・ある程度アームがたわむ必要がある
・思ったより手の長さを長めにつくると成功しやすい
・凹の方が曲がりやすいのでアーム長を短くしやすい、壊れやすい
・この辺のアームの具合は3Dプリンタなら試作して調整できる
・ケース外装に埋め込む場合は外すときの取っ掛かり(隙間)をつくる
・隙間をなくせば分解しづらい組っぱなしにもできる


3Dプリンタで試作してみる

DHT22が手元にないので、ラズパイとDHT22のところは後回しにして、NeopixelRingとフタの組付けチェックと拡散のチェックのために現段階で一度印刷してみます。

ここまでで設計にざっくり1hくらいかかってて、この記事を書くのにはそれ以上の時間がかかっています。。

3Dプリンタで試作できる時代なので、あえてラフにラフにと手早く設計をするのがおすすめです。
実物を眺めながら改善する方が図面を眺めならが改善するより10倍簡単!

私は「あ、間違えてるなー」とか「ちょっと変えればもっとうまいのに」とか気づいても修正に手間がかかったり影響が少ないものは無視して印刷にいっちゃいます。どうせ2周目があるので。

次回は印刷できたら課題抽出や設計修正について書きます。

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