基本情報技術者に合格する上で意識したこと
はじめに
この記事は、令和6年度基本情報技術者試験において、合格ラインに達した筆者の勉強プロセスを記述したものになります。基本情報技術者試験の合格を目指す方々に向けて、参考の一つになれたらと思います。記事を執筆すること自体が初めてで、拙い文章ではありますが、ご了承お願いします。
最低限の要約
- 科目A
- 膨大な範囲なため、広く浅く勉強する
- 教材を一読したら、過去問道場でアウトプットを早めに行う
- 科目B
- 問題分析力や思考力が問われるため、1問1問「狭く深く」勉強する
- 問題を解く前に、ソースコード等の状況・問題文の整理を心がける
- 試験当日
- わからない問題には、極力手をつけない
- 解答の見直しに時間を割く
筆者について
勉強開始時のスタートライン
- テクノロジ系は大学の授業で受けていて、用語は聞いたことがある(けど説明するのは難しい)程度の理解度
- マネジメント系・ストラテジ系は全く未知の世界
- Javaの基礎レベル程度のプログラミング経験あり
- 大学で学んだことに関する今までの復習になればと思い、基本情報技術者試験を受けることに
勉強期間・時間
- 資格勉強開始日:2024/2/10
- 基本情報技術者試験日:2024/3/19
- 勉強時間:累計73時間
試験点数
- 科目A:740点/1000点
- 科目B:790点/1000点
使用した教材
教材の種類に関するこだわりは、無くて良いと思います。以下は、参考書の一例です。
科目A
【令和6年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集
科目B
EXAMPRESS 情報処理教科書 出るとこだけ!基本情報技術者科目B―対応試験FE (第4版)
各科目の概要
科目A
- テクノロジ系(技術的要素)・マネジメント系(運用や管理的要素)・ストラテジ系(ビジネスや法律的要素)の3つの分野に分けられています。主に知識が問われますが、グラフの読み取り問題や計算問題もあります。
- 60問を90分で回答します。
- 出題形式は、四肢択一式です。
- 合格ラインは、600点(1000点満点中)が目安です。
科目B
- アルゴリズムとプログラミング言語の分野16問、情報セキュリティ問題の分野4問の計20問が出題されます。
- 20問を100分で回答します。
- 出題形式は、多肢選択式です。
- 合格ラインは、600点(1000点満点中)が目安です。
※科目Aと科目Bの両方において、合格ラインに達している必要があります。
参考
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱(~2024年9月)|IPA
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱(2024年10月~)|IPA 基本情報技術者試験 試験の手続き|CBTS各科目の勉強プロセス
科目A
科目Aに関しては、「広く浅く」勉強することを意識していました。というのも科目Aは範囲が膨大であり、最初から丁寧に理解しようとすると、科目Aの全範囲の網羅に時間がかかってしまうからです。
筆者の科目Aの勉強プロセスは、以下の通りです。
(筆者は、上記のように勉強を進めていったのですが、2.の時点で過去問道場と教材のインプットを両立した方が、もう少し効率よく勉強できたと感じました。)
-
1.に関して
マネジメント系→ストラテジ系→テクノロジ系の順番で一読しました。順番の理由としましては、文量が少ない分野から手をつけ始めることで、勉強の心理的ハードルを下げるためです。(個人的に、未知のものから、手をつけたかったのもあります。)上記で紹介した科目Aの教材では、マネジメント系が14,15章。ストラテジ系が16~21章。テクノロジ系が1~13章の構成になっています。そのため、筆者の場合でありますが、マネジメント系→ストラテジ系→テクノロジ系という文量の少ない順に一読しました。
また、各章で章末問題を解きながら進めることにより、最低限のアウトプットを行いました。1.の段階では、なんとなくの理解でも大丈夫です。 -
2.に関して
筆者は、以下の3つのことを意識して取り組んでいました。
1つ目として、教材にある重要語句を暗記することを意識していました。科目Aの重要語句は、英語の略称やカタカナ英語が多い(特にストラテジ系)と感じたため、語句の成り立ちを意識して覚えていました。(そのため、筆者は電子辞書を片手に教材を読み進めていきました。)以下の例①②③は、覚え方の一例です。
2つ目として、教材の各章に関する重要語句や概念のイラスト図と説明文を照らし合わせて、理解することを意識しました。復習の際は、語句の説明文を見ずにイラスト図の流れを追うだけでもOKにして、復習自体の心理的ハードルを低くしていました。
3つ目として、1.と同じく一章毎に章末問題を解きながら進めていきました。1周目で正解した問題に関しても、知識を理解できているか不安であったため、もう一度解くようにしていました。
- 3.に関して
科目Aの過去問演習は、おそらく基本情報技術者試験ドットコムの過去問道場をお使いになられると思います。
https://www.fe-siken.com/fekakomon.php
過去問道場は、科目Aの今までの問題を一問一答形式で回答できます。教材の章末問題と実際の問題形式の違いを認知できるかと思います。また、教材と似たような問題があっても、教材の解説とは異なる視点からの解説もあり、参考になります。
筆者は、H27~R1までの春期・秋季の問題を一通り解きました。そのほかにも、サンプル問題や昨年度の公開問題も解きました。正解選択肢の核の部分(正解に結びつくキーワード)が何なのかを意識しながら復習しました。グラフ問題や計算問題に関しては、演習を積んでいく内に自然と慣れていくと思います。教材のインプットと過去問演習でのアウトプットの比率は1:9ぐらいだったと思います。最終的には、全体で8割弱の正答率でした。
科目B編
科目Bに関しては、「狭く深く」勉強することを意識していました。というのも、科目Bは問題分析力や思考力を問う問題が主であり、「広く浅く」の勉強法が適している科目Aよりも、1問1問向き合っていく必要があるからです。
筆者の勉強プロセスは、以下の通りです。
- 1.に関して
アルゴリズムやビットの考え方は、1つ1つの手順を理解することを意識しました。(要領としては、勉強プロセス科目Aの2.の2つ目の感じです。)筆者的には、プログラミング経験の有無が出やすい問題が多いと感じました。プログラミング経験が無くて、ソースコードに対する抵抗感をお持ちの方は、下記のような実行環境で軽くプログラミングしてみるのもいいかもしれません。 - paiza.io(ブラウザ上でプログラミングができます。サインアップ時には、gmailのアカウントを使用できます。)
- 2.に関して
解答の解説を理解することを科目Aの過去問演習よりも意識しました。問題の状況分析の方法ですが、アルゴリズムとプログラミング問題に関しては、使われる変数の初期値の整理・問題文(条件・問われていること)の整理をしていました。トレース力に関してですが、問題演習を積んでいく内に、向上するかと思います。上記で紹介した科目Bの参考書には、各アルゴリズムとプログラミング問題に、ソースコードをトレースする手順とポイントが詳しくまとめられています。
情報とセキュリティに関しては、業務プロセスのテーマが多いと感じたため、状況を図示していました。教材を読んでも、いまいちイメージできない時には、Youtubeを活用していました。
勉強スケジュール例
下記の図は、基本情報技術者試験の勉強開始から試験日までの、筆者の実際のスケジュールです。
モチベーション維持
勉強のモチベーションを維持する方法として、筆者が取り組んだことは、次の2つです。
- 1.に関して
基本情報技術者試験は、通年の試験形式であるため、自身で定まった試験日がありません。そこで、あらかじめ試験を申し込んで、試験日を決めてしまうことで、ゴールが明確になります。試験日から逆算して勉強計画を立てることもできるようになるため、おすすめです。 - 2.に関して
基本情報技術者試験では、事前に申し込んだ試験日の3日前までなら、試験日の変更が可能です。試験日までに対策が間に合わないかもと感じた時には、試験日を後ろ倒しすることも一つの手です。(1回の受験料が7,500円とそこそこにお高いので。)筆者は、試験日を後ろ倒しにすることで、余裕を持ちながら勉強に取り組むことができました。ただ、何回も試験日を後ろ倒しにしてしまうと、かえってモチベーションが無くなってしまいますので、注意が必要です。
試験当日に意識したこと
解答する問題の優先順位を決める
事前に解答する問題の優先事項を決めておくことで、本番でも焦らずに問題を解くことができました。筆者は得意な分野の語句問題・すぐに回答できそうな問題の優先順位を高くしました。一方、パッと回答できない語句問題・計算/図から読み取る問題の優先順位を低くして、後回しにしました。
筆者は、各科目の問題の優先事項を以下のように決めていました。
- 科目A
- 語句問題
- 計算/図から読み取る問題
- 科目B
- 配列/その他易し目な問題
- セキュリティ問題
- リスト問題
- ビット列の問題
解答を見直す時間を作る/わからない問題には時間を極力かけない
時間配分に関しましては、問題の見直しの時間を事前に決めていました。(筆者の場合ですが、1問にかける最大時間を特に決めていませんでした。)解答できる問題を計算ミスや選択の間違いミスで、落とす事態を防ぐためです。
筆者の意見ですが、わからない問題に多くの時間を費やすよりも、解答できた問題の見直しに時間を割くことをお勧めします。というのも、科目A・科目Bともに、600点(1000点中)が合格ラインであることから、最大4割の問題を間違えても良いからです。
感想
プログラミングやセキュリティ等の技術的分野だけでなく、マネジメント分野やストラテジ分野といった運用・経営への活用に関しても、(まだまだ初歩ですが)学ぶことができました。大学の学びの復習だけでなく、IT分野の職種の解像度を上げることもできたと感じています。
おわりに
ここまで長い間文章を読んでくださり、ありがとうございます。
基本情報技術者試験を受ける上での参考の1つになることができましたら、幸いです。
Discussion