SharePointを社内のファイルサーバーとして考えてみる
こんにちは、モニクルでコーポレートエンジニアをしているわったんです。
この記事はモニクルAdvent Calendar 2024の8日目です。昨日の記事は、 軽井沢に一軒家を建てたので、学びを振り返ってみる でした。軽井沢で土地を探すところから始めて一軒家を立てるなんて憧れます。
はじめに
オンプレミス型ファイルサーバーは長年にわたって業務の基盤として活用されてきましたが、時代の変化や業務スタイルの多様化でクラウドストレージを利用する企業がかなり増えたと思います。そこで一つの案として、オンプレミス型ファイルサーバーからSharePointOnline(以下はSharePointと表記)へ移行することを想定して、情報を整理してみたいと思います。
移行先の候補
クラウドストレージへの移行を検討する上で絶対に避けて通れないのが、経営陣の承認を得ることだと思います。そのために初期コストや運用コストの比較、自社の業務スタイルに適合しているか、既存システムとの親和性があるか、セキュリティやバックアップ体制は問題ないかなど、様々な要素を考慮する必要があって、情報システム部門は頭を悩ますことになります。そこで、移行先の候補をピックアップして確認してみました。
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Amazon FSx (Windows File Server)
- 従来のオンプレミス型のファイルサーバーと操作感が同じでユーザーの混乱がなさそう
- 既存の業務フローへの影響も少なく、ADと統合できるため管理面の変更も少ない
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box
- 社内だけでなく、社外とのファイル共有でも直感的に利用できて便利
- 法人向けのプランだとストレージ容量が無制限なので容量を気にしなくていい
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SharePoint
- 他のMicrosoft製品との親和性が高く連携しやすい
- Microsoft365のビジネスプランに含まれているので既に契約済の場合はコストを抑えられる
上記以外にも候補はたくさんありましたが、結局のところは何を優先するか次第という感じがしました。ということで、今回はMicrosoft365のビジネスプランを契約してるからコストを抑えてSharePointを有効活用したい!という状況を仮定して進めることにします。
SharePointの注意事項
SharePointに決める前に制限事項や注意事項を確認しておかないと後で後悔することになるので確認しておきましょう。
Microsoftのドキュメントから、注意が必要だと思ったことを軽く整理します。
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サイトあたりの最大ストレージは25TB
- 社内のデータ保管容量次第で、サイトを分けて設計することが必要
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ライブラリに保存できるのは最大で3,000万個のファイルとフォルダ
- 社内のデータがどれくらいあるのか事前に確認する
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10万個を超えるとフォルダの権限の継承を解除できない
- 権限の継承は解除しない前提で設計する方が良さそう
OneDriveとSharePointの制限事項と制約事項の情報もあったので確認します。
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無効な文字列やフォルダ名、ファイル名があり、ファイルパスは400文字以内
- データを移行する時に注意が必要
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OneDrive同期をする場合、30万個以下のファイルにする
- パフォーマンスに影響を与えてしまうので、同期するファイルは必要最小限が良さそう
上記内容を十分に理解していても、実際に運用を始めるといろんな課題が発生すると思います。例えば、長期間で考えるとファイル容量が膨大になる(ファイルのバージョン履歴が過去のファイルを保管したまま更新されていくため)ということや、リストの5000件問題があるという話も聞いたことがあります。そのため、自社にとって致命的な制限事項がないか事前に確認しておくことをお勧めします。
SharePointの設計
SharePointでファイルサーバーを構築していくぞ!と考えた時に最初に悩むのがサイトを作成する単位です。ファイルサーバーの構成として、営業部、経理部、総務部といった部署単位のフォルダを作成して管理するのがよくあるパターンだと思います。これをSharePointで構築する場合は
- 部署ごとにサイトを作成する
- 一つのサイト内で部署ごとのライブラリを作成する
といった検討が必要な気がします。大企業でファイルサーバーの管理が大変な場合は、1を選んで各部署に管理を委任すると情報システム部門の負荷はかなり減らせそうです。とは言いつつも、しっかりとした運用ルールを整備して定期的なチェックが必要になります。1を選んだとしても2のようにサイト内のライブラリ単位での管理は必要だと思いますので、今回は2で設計を進めます。
サイト作成
それではサイトを作成します。SharePoint管理センターのアクティブなサイトへ移動して、画面左上の「作成」を押して必要な項目を入力していくとサイトが作成されます。今回はチームサイトで作成しましたが、ホーム画面のパーツは画面右上の「編集」で一通り削除しました。
ドキュメントライブラリ作成
次にファイル置き場となるドキュメントライブラリを作成します。サイトコンテンツへ移動して、画面左上の「新規」を押してドキュメントライブラリを選んで名前を設定します。例として営業部のドキュメントライブラリを作成しました。
アクセス権の設定
作成したドキュメントライブラリにアクセス権を設定します。デフォルトはサイトの権限を継承しているため以下画像のようになっていますが、権限の継承を中止して必要な利用者だけに権限を割り当てます。その際、適切なSharePointグループを作成し、EntraIDのセキュリティグループと紐づけておくとより管理しやすくなると思います。
アクセス権の設定方法の詳細は以下のリンクを参考にしてください。
ホーム画面の整理
ドキュメントライブラリの作成とアクセス権の設定が終わったら、ホーム画面を使いやすいように整理します。ホーム画面を編集して、各部門のドキュメントライブラリへアクセスしやすいようにリンクを設定しておくと便利だと思います。
サイト共有設定
サイトの共有設定を変更しておきます。デフォルトはユーザーが外部の人へも自由にファイルを共有できてしまうため、サイト所有者だけにしておきましょう。
データ移行
SharePointの設計が終わったらいよいよデータ移行です。データ移行はスケジュール等の計画化が必須ですので、移行漏れ等がないように十分に注意してください。移行方法としては、SharePoint管理センターの移行からツールを利用することができます。
移行ツールの詳細は以下のリンクを参照してください。
まとめ
今回はオンプレミス型ファイルサーバーからSharePointへ移行することを想定して、注意事項や設定方法を整理してみました。実際に移行するとなるともっといろんな検討事項があると思いますが、データ移行に困っている方の参考になれば幸いです。
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