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GitHub Packages の npm レジストリを使って、社内 org 用のプライベートパッケージを公開する手順とインストールする手順

2023/06/20に公開

複数のリポジトリで共有する node パッケージを、パブリックな npm レジストリではなく GitHub Packages の npm レジストリに公開して、 GitHub Organization 内でのみ利用可能なパッケージとして扱う手順を、社内共有用にまとめていきます。

本記事の内容は、以下の公式ドキュメントを読めばだいたい分かります。

https://docs.github.com/en/packages/working-with-a-github-packages-registry/working-with-the-npm-registry

背景

マネーフォワード クラウドシリーズのデザインシステムを構築しようとしており、複数のプロダクトで共通して利用できる汎用的な UI コンポーネントを揃えたライブラリを各プロダクト向けに公開したい。検証段階なので、一旦 org 内に限定した状態で利用したい。

GitHub Packages とは

Introduction to GitHub Packages - GitHub Docs より

GitHub Packages is a software package hosting service that allows you to host your software packages privately or publicly and use packages as dependencies in your projects.

GitHub Packages offers different package registries for commonly used package managers, such as npm, RubyGems, Apache Maven, Gradle, Docker, and NuGet.

GitHub Packages とは、ソフトウェアパッケージをパブリックまたはプライベートにホストして利用することができるホスティングサービスです。これを使うことで、特定の org 内でのみ利用可能なパッケージをホストすることができます。

GitHub Packages のレジストリは、 npm や RubyGems などの各言語の標準的なパッケージ管理サービスをサポートしています。今回は npm レジストリの場合の公開手順とインストール手順について書いていきます。

公開する

1. パッケージローカルの .npmrcauthTokenregistry を設定する

公開したいパッケージのディレクトリ直下の .npmrc に、環境変数 NPM_TOKEN で authToken を受け取る設定と、公開範囲を指定した registry URL を設定します。例えば、 moneyforward org 内に限定した場合は以下のように @moneyforward を付与します。

.npmrc
//npm.pkg.github.com/:_authToken=${NPM_TOKEN}
@moneyforward:registry=https://npm.pkg.github.com

公式ドキュメントではユーザールートの ~/.npmrcauthToken の設定を記述し、後述の PAT を直接代入していますが、グローバルな設定にすることで認証が暗黙的になってしまうため、パッケージのディレクトリ以下の .npmrc に記述することで、環境変数による認証が必要であることをより明確にしています。

また、環境変数 NPM_TOKEN として受け取るようにすることで、ローカルや GitHub Actions など後述する各利用シーンにおける認証経路を共通化して分かりやすくする意図もあります。

2. パッケージ公開用のアクセストークンを設定する

ローカルコンピュータから公開する場合: Personal Access Token (Classic) を発行する

GitHub Packages を使って org 内に限定したプライベートなパッケージをローカルコンピュータから公開するには、 Personal Access Token (Classic) の発行が必要です。

Creating a personal access token - GitHub Docs に従い、以下の権限を持つ PAT を発行してください。

  • repo
  • read:packages
  • write:packages

また、公開したパッケージの削除を行いたい場合は以下の権限を加えてください。

  • delete:packages

権限設定の詳細は About permissions for GitHub Packages - GitHub Docs をご参照ください。

PAT を発行したら、利用している shell の設定ファイル (.zshrc など) にトークンの値を環境変数 NPM_TOKEN として export する記述を追加して、手順 1 で作成した .npmrc に読み込ませて認証します。

~/.zshrc
export NPM_TOKEN=<YOUR_GITHUB_PAT>

GitHub Actions で公開する場合: GITHUB_TOKEN を使用する

GitHub Actions ワークフローで GitHub Packages にパッケージを公開する場合は GITHUB_TOKEN を使用します。

以下のように、actions/setup-node を使用するステップと publish あるいは install (npm の場合は ci) コマンドを実行するステップで、環境変数 NPM_TOKENsecrets.GITHUB_TOKEN を指定して、手順 1 で作成した .npmrc に読み込ませて認証します。

- name: Setup Node.js
  uses: actions/setup-node@v3
  with:
    node-version-file: .node-version
  env:
    NPM_TOKEN: ${{ secrets.GITHUB_TOKEN }}
- name: Publish
  run: npm publish
  env:
    NPM_TOKEN: ${{ secrets.GITHUB_TOKEN }}

3. package.json に必要なフィールドを設定する

公開したいパッケージの package.json に、必要最低限のフィールドを設定していきます。 実際には mainfiles など、他所でインストールされるパッケージとして設定すべきフィールドは他にもありますが、今回は省略します。

  1. まず name フィールドにパッケージの名前を設定します。パッケージ名には公開する範囲のスコープを示すためのプレフィックスをつける必要があります。例えば、 moneyforward org で foo という名前のパッケージを公開したい場合は @moneyforward/foo とします。
  2. 次に version フィールドに x.y.z の形式でバージョンを明記します。 npm publish を実行する際に既に同じバージョンが存在している場合、 publish は失敗します。
  3. 最後に repository フィールドを設定し、url に管理しているリポジトリを紐づけます。

以下は moneyforward org 内にパッケージ foo を公開する時の package.json での設定例です。

foo/package.json
{
  "name": "@moneyforward/foo",
  "version": "0.0.0",
  "repository": {
    "type": "git",
    "url": "https://github.com/moneyforward/foo.git",
  },
  ...
}

monorepo 内の一部パッケージを公開したい時

以下の記事を参考にしました。

https://dev.classmethod.jp/articles/github-packages-private/

あるリポジトリが pnpm workspace などを使って、以下のように packages/ ディレクトリ以下にそれぞれ独立したパッケージ bar, baz を持つ monorepo 構成を採用しているとします。

bar-monorepo/
├── packages/
|   ├── bar/
|   |   ├── ...
|   |   └── package.json
|   └── baz/
|       ├── ...
|       └── package.json
├── ...
├── pnpm-workspace.yaml
└── package.json

このような monorepo 内の一部パッケージを公開したい場合は、対象のパッケージディレクトリ以下の package.jsonrepository フィールド内に directory フィールドを追加してそのパッケージのディレクトリを指定します。

以下は monorepo 構成において、 moneyforward org 内にパッケージ bar を公開する時の packages/bar/package.json での設定例です。

bar-monorepo/packages/bar/package.json
{
  "name": "@moneyforward/bar",
  "version": "0.0.0",
  "repository": {
    "type": "git",
    "url": "https://github.com/moneyforward/bar-monorepo.git",
    "directory": "packages/bar"
  },
  ...
}

4. パッケージを公開する

パッケージを公開するには publish コマンドを使用します。

npm-publish | npm Docs

npm publish

npm 以外のパッケージマネージャーにも同様のコマンドが用意されています。

pnpm publish | pnpm

pnpm publish

yarn publish | Yarn

yarn publish

インストールする

1. インストール先の .npmrcauthTokenregistry を設定する

公開手順 1 と同様に、GitHub Packages に公開されたパッケージをインストールする先のルートディレクトリの .npmrc に、環境変数 NPM_TOKEN で authToken を受け取る設定と、公開範囲を指定した registry URL を設定します。

.npmrc
//npm.pkg.github.com/:_authToken=${NPM_TOKEN}
@moneyforward:registry=https://npm.pkg.github.com

2. インストール用のアクセストークンを設定する

GitHub Packages にホストされている org 内に閉じたプライベートなパッケージをインストールする場合、公開手順 2 と同様に、ローカルコンピュータや GitHub Actions ワークフローなどあらゆるシーンで認証が必要になります。

ローカルコンピュータにインストールする場合: Personal Access Token (Classic) を発行する

GitHub Packages に公開されたパッケージをローカルコンピュータにインストールするには、 Personal Access Token (Classic) の発行が必要です。

Creating a personal access token - GitHub Docs に従い、以下の権限を持つ PAT を発行してください。

  • repo
  • read:packages

PAT を発行したら、 shell の設定ファイル .zshrc などにトークンの値を環境変数 NPM_TOKEN として export する記述を追加して、手順 1 で作成した .npmrc に読み込ませて認証します。

~/.zshrc
export NPM_TOKEN=<YOUR_GITHUB_PAT>

GitHub Actions でインストールする場合: GITHUB_TOKEN を使用する

GitHub Actions ワークフローで GitHub Packages に公開されたパッケージのインストールを行う場合は、 GITHUB_TOKEN を使用します。

以下のように、actions/setup-node を使用するステップと install コマンドを実行するステップで、環境変数 NPM_TOKENsecrets.GITHUB_TOKEN を指定して、手順 1 で作成した .npmrc に読み込ませて認証します。

- name: Setup Node.js
  uses: actions/setup-node@v3
  with:
    node-version-file: .node-version
  env:
    NPM_TOKEN: ${{ secrets.GITHUB_TOKEN }}
- name: Install dependencies
  run: npm ci
  env:
    NPM_TOKEN: ${{ secrets.GITHUB_TOKEN }}

3. パッケージをインストールする

パッケージをインストールするには、コマンドライン上か、 package.json にパッケージ名を指定してから install または add コマンドを実行します。

npm install @moneyforward/foo
# pnpm add @moneyforward/foo
# yarn add @moneyforward/foo

or

package.json
{
  "dependencies": {
    "@moneyforward/foo": "0.0.0"
  }
}
npm install
# pnpm install
# yarn install

まとめ

  • 特定の org に限定したプライベートなパッケージを公開するには GitHub Packages を使うと簡単にできる
  • プライベートなパッケージを公開する場合は、ローカルでは PAT を発行して、 GitHub Actions ワークフローでは actions/setup-nodepublish コマンドの各ステップで GITHUB_TOKEN を使って認証する
  • GitHub Packages のプライベートパッケージをインストールする場合は、公開する場合と同様に、あらゆる利用シーンでアクセストークンによる認証が必要になる
  • 公開するパッケージの package.json には、name, version, repository フィールドを設定し、パッケージ名には @moneyforward/foo のように公開範囲のスコープを示したプレフィックスを付ける
  • monorepo の一部パッケージを公開する場合には、対象のパッケージディレクトリ以下の package.jsonrepository フィールド内に directory フィールドを追加してそのパッケージのディレクトリを指定する

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