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【本の紹介】『第三の波』
要約
- アルビン・トフラーが1980年に発表した本
- トフラーはアメリカの学者
- 歴史的、社会的な構造変化(農業革命・産業革命・情報革命)を3つの波として捉えた
- 私たちは今、情報革命に晒されている
概要
3つの波で歴史を分割して捉えているので、4つの領域がある。
- 放浪生活:狩猟・漁・牧畜
- 第一の波(農業革命)が起こる
- 農業文明:耕作地を作り、村・集落に定住
- 第二の波(産業革命)が起こる
- 産業文明:企業・工場ができ、都市化して労働分業。生産と消費が分離
- 第三の波(情報革命)が起こる←イマココ
- 現代文明:知的情報が経済の中心になる
波の高さは次第に大きくなっている。
社会に与える影響度がより大きく、社会に波及するスピードもより急速になっている。
各波は重なり合うことがあるので、社会が複数の波から影響を受けることもある。
第一の波(農業革命)
- おおざっぱに約1万年前に始まったとされる
- 狩猟採集社会から農耕定住社会への移行を指す
- 原則として、自分たちの村と近隣にのみ興味関心のある世界
第二の波(産業革命)
- 18世紀後半から19世紀にかけて進行
- 機械化と工業化が進み、都市化が進展
- 労働分業や大量生産、国民国家の台頭など、現代社会の基盤となる変化が起きた
第三の波(情報革命)
- 20世紀後半から21世紀初頭にかけて進行
- 情報技術の発展により、知識と情報が経済の中心となる
- テクノロジーの進化に伴う仕事の自動化、グローバル化、そしてネットワーク社会の形成
- 家庭や個人の役割の変化、非中央集権的な組織形態の登場など
感想
- 1980年の時点で書籍にして発表し、現代社会を予想しているのがすごい
- 抽象的な社会構造変化だけではなく、シェアハウスやルームシェア、配信に投げ銭、推し活といった新しい生活様式まで見通してる感じがすごい
- もちろん、これは当てはまらないなぁ、という部分はある
- Wikipediaや過去のニュースを調べると分かるが、Alvin Toffler(1928-2016)なので、トフラーの新しい予想をもう聞けないのが惜しまれる
- 産業化・都市化が進むと、完全に生産・消費が分離される
- 分業による相互依存で、都市の企業に勤めて生産に関わるだけで、消費活動ができる
- 直接、田んぼでお米を作らなくても、サラリーマンはご飯を食べられる
- 現代の余暇活動を「自分の消費のための生産」として捉えているのが興味深い
- たとえば、昔の音楽家はパトロン(少数の後援者)からしか収入を得られなかった
- 今だと、商業的に企業活動で音楽を売るか、個人(同人)で売ることもできる
- 商業的な狙いはそこそこに、自分の趣味に取り組んで、ファンにおすそ分けして収益にもなるのが素敵だ
- 自給自足(自家生産・自家消費)が産業革命によってほぼ消滅し、情報革命によって部分的に再登場したのがおもしろい
- 酒造がそうだと思うけど、本来は自分たちが飲むために作って、余った分を近隣に分けていたのが自然な気がする
- 現代は個人の活躍する時代
- 会社に所属しないでも、自分のための生産活動を発信できる
- YouTuberやVTuber、イラストレーターやゲーマー、プログラマーなど
- 童話の「アリとキリギリス」でいうと、産業化社会ではアリが是で、情報化社会ではキリギリスが是ということみたい
- 組織と個人、どっちが偉いとかではなく、個人的な生産活動もできるような社会になったという点で良き
出典・参考
『第三の波』(アルビン・トフラー、日本放送出版社、1980年)
ISBN=978-4880635590
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