レビュワーが放置してしまうPRとその対策
はじめに
GitHubを用いたチーム開発でよく直面する問題のひとつに、「PRを出しているのにレビューされない」という、レビュー処理速度に関する課題があります。
一見すると「レビュワーが見てくれないのが悪い」と思いがちですが、実際にはレビュイー(PRを出す側)の準備不足や工夫の欠如が原因となっているケースが多いです。
PRの変更が大きすぎる
最もありがちなパターン。
一度でも大規模PRのレビューを経験すると分かりますが、変更が大きすぎるPRは「体力・精神力・時間」を一気に削られます。そのため、レビュワーが「後でやろう」と考えて放置されるケースが多発します。
対策
- PRを小さく分割して出す
- どうしても1PRで対応が必要なら、説明文で理由を明記し、可能なら会議体で対面レビューを依頼する
PRの説明文が不十分
説明文が雑なPRもよく放置されます。
同じチームにいても、レビュワーがレビュイーの作業背景をすべて把握しているわけではありません。
最低限、次の情報を明記すべきです。
- なぜその変更をしたのか(背景・目的)
- 何を変更したのか(範囲・内容)
- 関連する issueやチケットリンク
- エラーログや参考リンク(提示可能ならリンク形式で)
- 懸念点や相談事項
- その他補足事項
対策
- 説明文に「Why / What / Link / Log / Concern / Note」を漏れなく書く
前提タスクが完了していない
レビュー以前の段階でつまずいているPRも嫌われます。
例えば、ユーザー合意が取れていない仕様変更や、テスト未実装の状態でPRを出してしまうと、
レビュワーは「これレビューしていいのかな?」と違和感を持ち、結局放置されがちです。
対策
- PRを上げる前に、依存関係のあるタスクや前提条件が満たされているかを再確認する
PRのタイトルと内容が一致していない
PRタイトルはレビュワーが最初に目にする情報であり、レビュー範囲を推測する基準になります。
そのため、タイトルと実際の変更内容がズレていると、レビュワーは「内容を直接確認しないとわからない」と感じ、レビューが一旦ストップしてしまうのです。
対策
- タイトルと実際の変更内容に齟齬がないか必ず確認する
レビュー依頼が明示されていない
「レビューお願いします」という依頼がなく、ただPRが鎮座しているだけのケースも多いです。
レビュワー側は「このPRはもうレビュー可能なのか?」と迷い、結局スルーしてしまうことがあります。
対策
- レビュー依頼チャットやGitHubのリクエスト機能を活用し、積極的にアピールする
まとめ
PRが放置される原因の多くは、レビュワーの怠慢ではなく、レビュイーの準備不足に起因するケースが多いです。
- PRを小さく分割する
- 説明文を丁寧に書く
- 前提条件を満たしてから出す
- タイトルと内容を一致させる
- レビュー依頼を明示する
これらを意識するだけで、PRレビューのスピードと品質は大きく改善します。
レビューはチーム全体の開発速度に直結するため、レビュイー自身が「レビューされやすいPR」を出す工夫を怠らないことが重要です。
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