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松尾研究所「AIハッカソン」開催レポート

2024/07/22に公開

松尾研究所AIハッカソン

松尾研究所ではAIの社会実装を多数手掛けています。AIの社会実装をするには、AIの活用能力、実装能力を高める必要があります。そのための1つの手段として、松尾研究所の業務効率化を題目として、社内AIハッカソン[1]を開催しようという声があがりました。私は、JDLA(日本ディープラーニング協会)Generative AI Testの問題作成に関わっていることもあり、生成AIの利活用興味があったため、ハッカソンの運営に手を挙げさせていただきました。

生成AIを使ったハッカソンは、最近例は増えているものの、まだまだ数も少なく、多くの方が試行錯誤していると感じています。本記事では、生成AIの普及促進に少しでも役立てばと思い、松尾研究所でのAIハッカソンについて、実施要領、得られた成果物などを大公開しようと思います。

AIハッカソンの開催要領

AIハッカソンのテーマは以下に設定しました。

「松尾研究所の業務を10倍(×10)効率化するプロダクトを作る!」

企画、運営、審査員などを合計6名で分担して運営しました。

ハッカソンというと、オフラインで短期間で一気に作り上げるケースが一般的かと思いますが、松尾研究所は、リモート主体の働き方(遠方に住んでいる人も多い)ため、AIハッカソンはリモートベースで、長めのスパンで実施しました。

具体的なスケジュールとしては、下図の通り準備に約2ヶ月、ハッカソン自体は約1ヶ月となります。参加者としては、社員・インターン生含む合計15名に応募いただきました(ハッカソンは業務でなく、あくまで自主参加となります)。

AIハッカソンの実施内容

開会式

最初に、AIハッカソンの内容を説明した開会式を行いました。

なごやかな雰囲気で行われたハッカソン(関係者のプライバシー保護のため画像処理を施しております)

ハッカソンの概要・目的・スケジュールなどを説明しました。

開発期間

開発期間の情報共有はSlackのAIハッカソンチャンネル (#aihackathon)で行われました。

AIハッカソンチャンネルのやりとりの様子

生成AIアプリ開発に必要なTipsの共有、開発状況の共有が行われました。共有したTipsの一例を紹介します。

https://zenn.dev/karaage0703/articles/fcc3dde4ad090a

https://qiita.com/yuta0821/items/2edf338a92b8a157af37

成果発表会・審査

開発期間の最後には、成果発表会が開催されました。自分の作り上げた成果物のプレゼン、デモを実施しました。発表会後は、5名の審査員による厳正なる審査が行われました。

今回は以下3つの観点で、5点満点でスコアをつけました。

  • 効果:どれだけの効果が見込めるか
  • 業務への適用性:運用の実現性(完成度)
  • ユニーク性:どれだけ独自性があるか

審査結果は以下となりました。

優勝🥇:松尾研究所ダッシュボード
準優勝🥈:Navigator、論文調査くん

審査は、同着2位が2名という非常に白熱した結果となりました。

AIハッカソン成果物

ハッカソンの成果物を紹介します。

松尾研究所ダッシュボード(優勝)

鍋田さんの成果物です。

審査結果は以下

  • 効果: 4.8
  • 業務への適用性: 4
  • ユニーク性: 3.4
  • 総合得点: 12.2

松尾研究所版のStack Overflowをコンセプトに開発したとのことです。実用性の高さに加え、PoCの完成度も素晴らしく効果と業務への適用性で高い得点を叩き出しました。文句なしの優勝でした。

大西さんの成果物です。

審査結果は以下

  • 効果: 3.6
  • 業務への適用性: 3.8
  • ユニーク性: 3.6
  • 総合得点: 11

松尾研究所の3つの課題を解決するSlackボット。ポイントは導く(Navigate)ということで、松尾研究所の課題をうまくとらえて解決しているところとに高評価が集まりました。

このNavigatorにより導かれたつながりが、また新たなものを産み出しそうでワクワクしますね。

論文調査くん

yutohubさんの成果物です。

審査結果は以下

  • 効果: 3.8
  • 業務への適用性: 4.2
  • ユニーク性: 3
  • 総合得点: 11

松尾研究所のプロジェクトで頻繁に行われる論文調査にスポットを当てて開発したものです。使い勝手は、今話題のPerplexityを凌ぐとの噂です。これは普通にめちゃくちゃ便利そうで、すぐにでも使いたいということで業務への適用性で一番の高得点でした。運用されるのが楽しみすぎて、社内で募集していたβ版のトライアルに申し込みました!

表彰式

オンラインで表彰式が行われ、優秀な成績をおさめた3名に、松尾研究所の技術顧問、東京大学 松尾 豊教授より表彰状が授与されました。パチパチパチ。

表彰の様子(関係者のプライバシー保護のため画像処理を施しております)

ハッカソン後の運用

松尾研究所のハッカソンは、やったら終わりではありません。ちゃんと社内で成果物が運用されるまで走り切ります!

必要な開発体制を整え、社内のインフラチームと、運用に向けてのディスカッションもして、実際の社内運用に向けてすでに走り出しています。

社内Slackでテスト運用をしている様子

まとめ

松尾研究所のAIハッカソンについて、実施要領から結果まで紹介させていただきました。運営に手を挙げてから、約3ヶ月でハッカソンを実施し成果を得ることができました。実際に手を挙げてすぐ実行に移せるのが松尾研究所の良いところと実感しています。

実際にAIハッカソンを開催することで、短期間で優れたPoCを複数開発することができ、生成AIの利活用においてハッカソンは非常に重要な手段であると再認識しました。この記事が、同じようにハッカソンを開催しようとしている人にとって、少しでも参考になれば幸いです。

今回、自分自身初めてのハッカソン運営だったため不安で一杯でしたが、結果として素晴らしい成果物が産まれてよかったです。参加者およびハッカソンをささえてくださった運営メンバー、関係者のおかげです。この場を借りて厚くお礼申し上げます。

ハッカソンの成果物の運用後の話は、機会があれば開発者の方に別のテックブログ記事を書いてもらえればと考えています。そして、AIハッカソンは、来年の開催も予定しています。今回、初回だったこともあり、成果物を完成させれた参加者が少なかったり、参加人数がまだまだ少ないといった反省点が多々ありました。

反省点を振り返り、よりパワーアップして2回目を開催できるように頑張りたいと思います!

脚注
  1. AIの範囲は限定していませんが、最近目覚ましい発展をとげ応用範囲が広がりつつある生成AIを主な対象として想定しています ↩︎

松尾研究所テックブログ

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