第1回 公開Lightning Talkイベント「DL/ML CAMP」レポート
8月22日(木)、伊藤国際学術研究センターにて、松尾研究所主催、JDLA後援による第1回公開Lightning Talkイベント「DL/ML CAMP」を開催いたしました。
松尾研究所では、深層学習・機械学習をテーマとした社内LT(Lightning Talk)会を定期的に実施しています。今回は、より会を盛り上げるための新しい試みとして、外部の方にもご参加いただけるイベントを企画しました。松尾研究所のメンバーに加えてゲストをお招きし、深層学習・機械学習の最前線について熱く語り合いました。
イベント概要
日時: 8月22日(木) 19:00-21:00
場所: 伊藤国際学術研究センター
登壇メンバー: 田村 初 様(野村総合研究所)、長谷川 貴巨・長谷 航記・清水 茂樹・大西 直・浮田 純平(松尾研究所)
イベントハイライト
1. ライトニングトークセッション
イベントのメインセッションでは、各スピーカーが凝縮されたプレゼンを披露しました。
LT①「生成AI × IoTで何ができる?実証実験 事例紹介」(長谷川 貴巨, 株式会社松尾研究所)
松尾研究所として取り組んだ、生成AIとIoTの融合により新たな可能性を探るプロジェクトについて紹介しました。ソラコム様、三菱電機様との協働実証実験では、オフィスの空調制御にIoTセンサーを設置し、部屋ごとの温度や湿度データをリアルタイムで収集。データをAIモデルにインプットすることで、空調の最適な設定を自動化しました。結果として、快適性を保ちながらもエネルギー消費を約50%削減することに成功しました。このプロジェクトでは、生成AIが従来のAI技術に比べて短期間で効果を発揮できることを実証し、今後の応用に大きな期待を持てる内容でした。
LT②「『ぎなた読み』をLLMは生成できるのか」(長谷 航記, 株式会社松尾研究所)
「今回のエンタメ枠です」と始まったLT。LLM(大規模言語モデル)が「ぎなた読み」を生成できるかを検証する実験を行い、その結果を紹介しました。ぎなた読みとは、言葉の区切り方を間違えて読むことで異なる意味が生じる現象です。promptfooというツールを使用し、GPT-4や他のモデルをテストした結果、GPT-4が最も高い精度を示したものの、完全に再現することは困難であることが判明しました。人間が自然に行う「ぎなた読み」の生成は、現行の生成AIにとっては難題であり、さらなる改良の余地があることが示されました。
LT③「『Kaggle Master』になるまでを振り返る」(田村 初, 株式会社野村総合研究所)
ゲストスピーカーの田村さんからは、データサイエンスの競技プラットフォームであるKaggleでの挑戦を通じてKaggle Masterとなるまでの過程をプレイバックしていただきました。コンペティションで勝ち抜くために必要なスキルや戦略、特にデータの前処理やモデルの選定における工夫について、詳細に語っていただきました。また、コミュニティとの交流や他者からのフィードバックを活用しながら、ご自身のスキルを磨き上げられてきたとのことです。Kagglerにとっては、非常に実践的かつ励みとなる内容だったと感じました。
2. 座談会
座談会では、松尾研究所のメンバーがそれぞれの専門領域や興味を持っているテーマについて活発に意見交換を行いました。まずはメンバーによる自己紹介。松尾研究所で取り組んでいること、松尾研究所に入社を決めた理由等を教えてもらいました。
清水茂樹(データサイエンティスト)
「主に製造系の企業とAIエージェントの研究開発を進める一方で、データサイエンティストが働きやすい環境作りに取り組んでいます。松尾研究所に移った理由として、AIの質にこだわる環境が整っている点と、技術交流が盛んである点が挙げられます。」
大西直(データサイエンティスト)
「AIエージェントの開発やオフィスの生産性向上プロジェクトを担当しています。松尾研究所に転職した理由として、より実用的なAIの社会実装に取り組みたいという思いがありました。また、松尾研究所のメンバーと直接話す中で、技術が高くモチベーションの高い環境で学びたいと感じたことも、転職の決め手になりました。」
浮田純平(データサイエンティスト)
「コンピュータビジョンや自然言語処理を含む多岐にわたるプロジェクトに取り組んでいます。新しい技術に触れることができる松尾研究所に魅力を感じて転職を決意しました。実際に入社してからは、様々な観点からAIに関わる人々との交流を通じて、最新の情報や技術に触れることができる環境を楽しんでいます。」
テーマ1:最近注目しているAI関連の話題は?
大西
「LLMのアライメント(不適切な発言を防ぐ方法)や基盤モデルの進展に関心を持っています。特に、音声や画像など、言語以外のデータ領域への応用について注目しています。」
浮田
「基盤モデルが汎用的なものと特化型のものに分かれていく中で、その進化を興味深く感じています。また、プロンプトが長文化すると精度が低下する現象に課題を感じており、その対策についても模索しています。」
清水
「Speech-to-Speechの技術に注目しています。現行のText-to-Speechを介するプロセスは煩雑であり、直接SpeechからSpeechへの変換ができるモデルがあれば、会話がよりスムーズになると考えています。」
テーマ2: 普段どんなことにAIを活用している?
清水
「旅行先での割り勘計算や食事のメニュー決定に使っています。特に、家族と何を食べるか?を決める際、AIを活用して、双方の希望をバランスよく反映させる方法として活用しています。自分はお肉が食べたくて、妻は野菜が食べたい、みたいな場合だと、大抵『ピーマンの肉詰め』、とかでてくるんですけどね。」
大西
「身の回りのものの画像を撮ってAIに教えてもらうことが多いです。海外のお土産をもらった際には、その国の言語が読めなかったので、画像を撮って味や年代を教えてもらいました。」
浮田
「仕事での振り返りやプロジェクトの進捗管理にAIを活用しています。AIを使うことで週次の作業内容をより効率的に振り返りができるようになりました。」
これらのテーマを通じて、松尾研究所のメンバーが技術的な課題に対して真剣に向き合い、日常業務や生活にAIを活用している様子が伺えました。
3. 懇親会
懇親会は、場所を変え、和気藹々とした雰囲気の中で開催されました。松尾研の共同研究プロジェクト事例についての紹介から、Kaggleの攻略法、データサイエンティストとしての学習方法まで、幅広いテーマでディスカッションが行われ、参加者同士の交流が深まりました。
ゲストスピーカーとしてご登壇いただいた田村様、ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
初開催でしたが、予想以上にフロアから多くの質問がでるなど、盛会となり、松尾研のメンバーも大いに刺激をいただきました。
今後は東京以外での開催も検討しています。次はあなたの街に松尾研メンバーが訪れるかもしれません!
最後に宣伝です!
本イベントにも登壇した清水・長谷のインタビュー記事です。
プロジェクト事例やカルチャーについてお話しておりますので、ご興味をお持ちいただけましたら是非ご覧ください。
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