効果的に学習ルーティンを回していく方法
“I'm not a great programmer; I'm just a good programmer with great habits.”
私は、偉大なプログラマなんかではない。偉大な習慣を身につけたプログラマだ。
-- Martin Fowler
はじめに
はじめまして。地方でデータサイエンティストとして働いているミヤと言います。
先日、How to Create an Effective Self-Study Routine to Teach Yourself Data Science Successfullyというブログポストを拝読したところ、かなり共感することが多かったので、内容を引用しつつ自分の考えをまとめていきたいと思います。
内容
ブログでは、自己学習のルーティンを設定するのに必要な4つのステップについて書かれています。
4つのステップはシンプルで地味ですが、簡単に続けられるルーティンを形成するための武器となります。
Step1. Schedule the same time every day(毎日同じ時間にスケジュールする)
For example, I choose to do all of my mentally rigorous studying (such as anything calculus-based) during the morning which is when I’m most energetic and focused. The afternoon is reserved for less mentally-taxing studying or other tasks that don’t require much brain power (which for me is usually studying data visualizations, statistics, or working on my personal projects). By studying during the most productive part of my day, I’ve ensured that I’ll be as effective and efficient as possible.
The time of day when you’re most productive is different for everyone. Some people work best during the day, while others work best at night. The point is to pick the same time every day when you’ll schedule your studying. Not only that, but your brain needs to begin to associate a specific time of day with studying. >This will help you maintain your focus for longer and will have you prepared to hit the books the minute your study session starts (as opposed to scrolling through your phone for 10 minutes because you need to amp yourself up to study).
[訳]
データ サイエンスとそれに含まれるすべてのトピックを独学で学ぶには、かなりの精神的厳しさが必要です。そのため、勉強する時間帯は、常にエネルギーと集中力が最も充実している時間帯にすべきです。たとえば、私は、精神的に厳しい勉強(微積分系の勉強など)はすべて、最もエネルギーがあり集中できる午前中に行うことにしています。午後は、精神的にそれほど負担のかからない勉強や、脳の力をあまり必要としないその他の作業(私の場合は、データの視覚化や統計の勉強、または個人的なプロジェクトに取り組むこと)に充てています。一日の中で最も生産性の高い時間帯に勉強することで、できるだけ効果的かつ効率的に勉強できるようにしています。
最も生産性の高い時間帯は人それぞれです。昼間に最も効率よく働ける人もいれば、夜に最も効率よく働ける人もいます。ポイントは、毎日同じ時間に勉強の予定を立てることです。それだけでなく、脳が特定の時間帯を勉強と関連付け始める必要があります。こうすることで、集中力を長く維持でき、勉強が始まった瞬間から本を読む準備が整います (勉強するために気分を高めるために 10 分間携帯電話をスクロールするのとは対照的です)。
確かに、精神的に負荷がかかる学習と、そうでない学習に分かれていると感じることあります。
私の場合は特に学習負荷を感じるのは、統計的に深い理論や最適化のようなアカデミックかつ数理的な領域の学習が該当します(もしくは未開拓の初学分野)。
学習負荷がかかる分、集中力を使うため数時間単位で時間を確保しておくことを意識していますね。
データサイエンス関連の組織論やビジネス領域など、数式やコーディングを必要としない学習については、負荷がかからないため隙間時間や寝る前に進めることが多いです。
Step2. Pick a place to study(勉強する場所を選ぶ)
The bottom line is that your brain is really good at associating specific locations with specific activities. This is why many college students will choose to go to campus to study even if they could just study from home. Thus, when it comes to self-studying a topic, it’s important to give your brain a leg up by letting it know that it’s time to focus when you sit down in a particular spot every day.
The same philosophy should be used when picking your place to study. Having a pre-determined place to study tells your brain that every time you sit down there, it’s time to do work. This should be a place with excellent lighting, plenty of space for all of your study materials, and as good an ergonomic setup as you can make.
[訳]
要するに、脳は特定の場所と特定の活動を関連付けるのがとても得意なのです。多くの大学生が、自宅で勉強できる場合でも、キャンパスに行って勉強することを選択するのはそのためです。したがって、あるトピックを自習する場合、毎日特定の場所に座ったときに集中する時間だと脳に知らせることで、脳を後押しすることが重要です。勉強する場所を選ぶときにも同じ考え方を当てはめましょう。勉強する場所をあらかじめ決めておくと、そこに座るたびに、勉強する時間だと脳に認識させます。勉強する場所は、十分な照明があり、勉強に必要なすべての資料を置くのに十分なスペースがあり、できる限り人間工学的に優れた環境が整っている場所であるべきです。
習慣化を実践していく上で、脳にスイッチを入れることは重要ですね。
私は以前テレビが目の前にあるリビングのテーブルで学習をしていました。日常的にくつろぐこともある空間で学習すると、集中力が続かず学習とは関係のない動画コンテンツを視聴してしまうことがありました。よって学習を行う際は極力外出をして集中できる環境に移っていました。
現在は学習(作業)スペースを確保したので自宅で勉強することがほとんどです。学習する環境を決めておくとスイッチの切り替えが容易になるのでどのような環境で普段学習を行うかはしっかりと考えるべきポイントだと思います。
Step3. Know what you’re going to study before you sit down(事前に勉強する内容を決めておく)
Knowing what you’re going to study before you sit down is a crucial part of maintaining a routine. Spending 10–20 minutes looking through your materials and trying to find video lectures is a waste of good study time, and a hassle that can actually make you resent the time you spend studying. Instead, take 30 minutes to an hour every Sunday night to plan out exactly what you’re going to be studying each day of the coming week. This should include laying out all of the topics you’ll cover in a day (be realistic and don’t overwhelm yourself) as well as queuing up video lectures, resources, and the code files you’ll be working on. This is also the time to charge your electronics, organize your study space, and maybe prepare some grab-and-go study snacks to keep you going.
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One big tip I’ll leave you with is that as soon as you’ve completed your studying to-dos for the day, stop. Stop your work right there and walk away — you’re done for the day. Yes, you can always say just one more calculus problem or just one more Leetcode challenge. However, this will lead you down a one-way street to Burnoutville — trust me. So, keep yourself fresh and raring to continue with your studying by quitting once you’ve completed all your studying for the day. This is a great way to ensure you maintain the routine by not letting yourself get overworked.
[訳]
座る前に何を勉強するか決めておくことは、ルーティンを維持する上で非常に重要です。教材に目を通したり、ビデオ講義を探したりするのに 10 ~ 20 分費やすのは、勉強の貴重な時間を無駄にし、勉強に費やす時間を恨むほど面倒なことです。その代わりに、毎週日曜日の夜に 30 分~ 1 時間かけて、次の週の各日に何を勉強するかを正確に計画してください。これには、1 日に扱うすべてのトピックの計画 (現実的で、自分に負担をかけすぎないこと) と、ビデオ講義、リソース、および作業するコード ファイルのキューの作成が含まれます。これは、電子機器を充電したり、勉強スペースを整理したり、勉強を続けるために手軽に食べられる勉強用のスナックを用意したりする時間でもあります。
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私が皆さんにお伝えしたい重要なヒントは、その日の勉強の課題を終えたらすぐにやめること。その場で勉強を止めて立ち去れば、その日の勉強は終わりです。もちろん、あと1問だけ微積分の問題を解くとか、あと1問だけLeetcodeの課題をこなすとか、いつでも言うことができます。しかし、これでは燃え尽き症候群への一方通行に陥ってしまいます。信じてください。ですから、その日の勉強をすべて終えたらやめることで、気分をリフレッシュし、勉強を続ける意欲を保ってください。これは、過労にならないようにすることで、ルーチンを維持するための優れた方法です。
何を学習するのかロードマップを引くことは重要ですよね。
私の場合は常に数カ月先までの学習ロードマップを引いて起き、定期的に自分の現状を鑑みてロードマップを修正していくことを行っています。
毎週何を学習するかを考えるのではなく、自分の中の「中期的な目標」に向かってやるべきことの順番を構成します。
その上で、上記のように週間でどのように進めていくのか、ざっくり構想する形で計画立てています。
重要なのは、学習目標はあくまで「目標」として捉えることです。
必ず達成しなけらばならないタスクとして日々学習に取り組んでおくと、学習に着手できなかった場合に不当に自身を戒める感情に陥る可能性があるので、深刻になりすぎずに習慣を構築していくことを意識します。
Step4. Put it in your calendar(カレンダーに記入する)
Now that you’ve determined what time of day you’ll study, where you’ll study, and what you’ll study, you need to put it all in your calendar. The calendar event should hold all of this information and should include a checklist of your study to-dos that can be checked off every time you complete a task.
Once something is on your calendar, it becomes important to complete and subconsciously you’ll begin to prioritize your daily tasks around your study time because your study time is “king”. Even if you’re doing the exact same thing every day, the reward center of your brain needs to get the endorphin rush of checking things off your to-do list. So, don’t forget to put all of your studying into your calendar.
[訳]
勉強する時間、勉強する場所、勉強する内容が決まったら、それをすべてカレンダーに記入する必要があります。カレンダー イベントには、これらすべての情報と、タスクを完了するたびにチェックできる勉強の ToDo のチェックリストを含める必要があります。カレンダーに何かを書き込むと、それを完了することが重要になり、無意識のうちに毎日のタスクを勉強時間を中心に優先順位付けし始めます。勉強時間は「王様」だからです。毎日まったく同じことをしているとしても、脳の報酬中枢は、ToDo リストの項目をチェックすることでエンドルフィンの急増を得る必要があります。ですから、勉強のすべてをカレンダーに書き込むことを忘れないでください。
ここだけは唯一共感できないポイントでした。
私も以前、学習をする予定をカレンダーに書き込んでいましたが、長くは続かなかったです。
カレンダーに書き込むと、その日のタスクが明確化します。しかし、一度学習の習慣を身に着けることができれば、上記のような管理をしなくても当たり前に学習を行うことができます。むしろ、普段使いのカレンダーが学習の予定で埋め尽くされるのは、重要な予定を見逃す恐れもあり厄介です。
また、カレンダーに予定を記述しておくと、予定通りにタスクが実行できなかった際に不要な焦りを感じることがありました。私にとっては、カレンダーに日々の学習予定を記入することは、精神衛生上良くなかったです。
私の中で、学習習慣は自己の中で成長させていくものだと考えており、徐々に学習の質や時間を最適化していくものだと思っています。
そのため、ガチガチにカレンダーで学習予定を立てるわけではなく、当たり前の習慣として日々学習に時間を使っていく方が私にとっては合っています。
おまけ 1. マインドフルネスを実践する
引用先のブログには記載されていませんが、マインドフルネスを実践することも重要だと考えます。
学習を行う上で、精神が安定していることは前提条件です。仕事やプライベートで精神的に負荷が生じた場合に机に向かっても、集中力が持たずだらだらしてしまうことがあります。
健康な精神を醸成するための実用的な手法として、「瞑想」をすることをお勧めします。
マインドフルネスにも様々な手法がありますが、一番手軽に実践できるのは瞑想だと思いますし、習慣的に実践することで脳がすっきりし集中力が増す感覚があります。少しスピリチュアルに思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、瞑想による効果は多くの研究で示されているので、学習を習慣化するのと同時に「瞑想」もルーティンに取り込んではいかがでしょうか?
マインドフルネスに関する書籍として、以下の本が参考になりました。
おまけ 2. 睡眠時間を確保する
習慣というより生産性を維持する上で必要なことかもしれませんが、しっかりと睡眠時間を確保することは重要です。
充分に睡眠時間を確保しないと、継続する意志力が低下します。学習に着手できたとしても、集中力が持たず散漫になります。
生産性高く学習の習慣を維持するためにも、自分に合った睡眠時間を確保しましょう。
私も寝不足になりがちで実践できているとは言い難いため、自分への戒めとしてこれを機に習慣を見直します。
おまけ 3. 影響(インパクト)を受ける
そもそも、現在学習の習慣を形成できていない人が、この記事を見て今日から習慣作りに取り組めることは、ほとんどないと思います。
こんな記事を書いておいて今更ではありますが、何かブログの1記事を読んだだけで生活習慣を変えるような影響を受ける人は少ないはずです。仮に始めたとしても、数日と持たないでしょう。
前提として、自分の中で習慣を変えるほどのインパクトのある出来事や、目標、動機がないと人は変わらないというのが持論です。
私の場合は、はじめはなんとなくスキルを習得したい程度でデータ分析に触れていたのですが、学習を進め実務における成功体験を積み重ねるうちにデータ分析の魅力に取りつかれていったという背景があります。本当に心の底から楽しいと思えるものを見つけたことが、現在の学習習慣の源泉となっています。
私は分析者のキャリアを始めるのは遅かったので、「本気で学習しないとデータサイエンティストになれない」という環境から、学習の習慣を形成する強い動機になりました。このような逆境ゆえのモチベーションというところでもありますが、実質的には強く叶いたい目標とそのためにすべきことが明確であれば、自ずと目標達成のために習慣を形成していくことになると思います。
おわりに
今回は学習の習慣についてお話しさせていただきました。
私も大きな目標を達成するためには日々の過ごし方を目標達成に向かって、より最適化していければと思います。
学習の習慣には、投資した時間と質の両方を固めていくことが重要です。
そのためにも、学習をすることを当たり前と思える感覚を醸成し、現在の自分のインプットが効率的であるか内省していくと、より良い習慣作りとなるでしょう。
私も業界をリードするようなデータサイエンティストになるべく、日々精進していきたいと思います。
最後に私が感銘を受けた名言として、羽生善治さんの言葉を引用して締めたいと思います。
何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。
報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続しているのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている
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