はじめに
この記事では、私が個人開発で経験した App Store のリジェクト事例とその解決方法について紹介します。
これまでに数々のリジェクトを経験しました。よくあるものや印象に残っているものをピックアップして紹介します。
基本的に審査はガイドラインに忠実ですが、実際にガイドラインに基づきどのようにリジェクトされるのか、これからアプリを提出しようとする開発者の手助けになればと思います。
概要
リジェクトを受けた主なガイドラインは以下の通りです：
- Guideline 1.5 - Safety - Developer Information
- Guideline 2.1 - Performance - App Completeness
- Guideline 2.3.10 - Performance - Accurate Metadata
- Guideline 2.5.10 - Performance - Software Requirements
- Guideline 3.1.2 - Business - Payments - Subscriptions
- Guideline 4.0 - Design
- Guideline 5.1.1 - Legal - Privacy - Data Collection and Storage
- Guideline 5.1.1 - Legal - Privacy - Data Collection and Storage (ⅹ)
それぞれのガイドラインについて、具体的なリジェクト事例とその解決策を以下にまとめました。
Guideline 1.5 - Safety - Developer Information
開発者情報がユーザーに質問やサポートの連絡手段を提供する必要がある旨について書かれた項目です。
サポート URL の不備
問題の詳細
The support URL specified in your app’s metadata, https://xxx, does not properly navigate to the intended destination.
Specifically, your support URL does not contain any contact details.
→ 利用規約に連絡先が記載されていない。
対応策
- 連絡先情報を利用規約などのサポート URL 先のコンテンツに追加
- 具体的には連絡先メールアドレスまたは X アカウントなどを記載
Guideline 2.1 - Performance - App Completeness
アプリの機能が完全に実装され、ユーザーが期待通りに動作することを確認するための項目です。
1. アプリ内購入商品の登録はあるのに導線がない
問題の詳細
We found that while you have submitted in-app purchase products for your app, the in-app purchase functionality is not present in your binary.
- （対象のアイテムの名前）
→ 開発途中で購入できない商品が含まれていた。
対応策
- 問題のある商品を削除
2. ATT ダイアログが表示されない
問題の詳細
Your app uses the AppTrackingTransparency framework, but we are still unable to locate the App Tracking Transparency permission request when reviewed on iOS 17.3.1, iPad and iPhone.
→ ATT ダイアログが表示されるタイミングが遅く、ホーム画面から一度遷移した後になってしまっていた。
対応策
- ATT ダイアログが表示されるタイミングや画面表示までの時間を調整
Guideline 2.3.10 - Performance - Accurate Metadata
顧客がアプリをダウンロードまたは購入する際に何を得られるかを正確に理解できるようにするための項目です。
iOS アプリに Android に関する言及がある
問題の詳細
提出された App には App Store ユーザーに関連性のないサードパーティプラットフォーム情報が含まれています
具体的には、アプリに Android に関する参照が含まれています。
→ iOS と Android で出していたアプリで、課金アイテムに「iOS と Android で購入情報は引き継がれません」と記載していた。
対応策
- Platform のハンドリングをして Android の場合にのみ「Android」と表示するように修正
Guideline 2.5.10 - Performance - Software Requirements
空の広告バナーやテスト広告を使用してアプリを送信しないこと。
プレビュー画像のスクリーンショットにテストの画像が含まれている
問題の詳細
Submitted screenshots include test advertisements.
→ AppStore に提出したプレビュー画像のスクリーンショットにテスト広告が含まれている。
→ 常時表示されるバナー広告がスクリーンショットに含まれていました。
対応策
- 広告が見えないように画像を調整
- 広告を非表示にする
Guideline 3.1.2 - Business - Payments - Subscriptions
サブスクリプションに関するメタデータ不足
自動更新サブスクリプション機能を提供するアプリには、必要なすべての情報を含むメタデータを提供する必要があります。
問題の詳細
このアプリの提出バージョン X.X.X では、自動更新サブスクリプションに必要な情報がすべて含まれていませんでした。具体的には、自動更新サブスクリプションの名前、期間、価格、およびプライバシーポリシーおよび利用規約（EULA）へのリンクが不足していました。
- 自動更新サブスクリプションの名前
- サブスクリプションの期間
- サブスクリプションの価格
- プライバシーポリシー及び利用規約（EULA）へのリンク
対応策
- 自動更新サブスクリプションの名前、期間、価格の詳細をアプリ内で適切に表示するように修正
- App Store の説明文にもサブスクリプション商品について上記の詳細を記載
Guideline 4.0 - Design
アプリのデザインとユーザーエクスペリエンスが一貫しており直感的であることを確認するため。
権限リクエストが英言語設定と一致しない
問題の詳細
アプリがカメラやマイクへのアクセスをリクエストする際のダイアログが英語になっていない
→ リクエスト許可ダイアログの文言が日本語のままになっていた
対応策
- 英語ローカライズしているときにはリクエストメッセージも英語にする
Guideline 5.1.1 - Legal - Privacy - Data Collection and Storage (iv) Access
データの使用目的を十分に説明すること。
写真フォルダのアクセス許可説明が不十分
問題の詳細
Your app requests access to photos but doesn’t explain the use sufficiently.
写真フォルダにアクセスすることができるアプリの開発で起こりました。
アクセスのときに表示される文言が説明不十分とも取れる内容でシンプルなものでした。
対応策
- 写真のアクセスの許可を求める理由を丁寧に説明するように修正
Guideline 5.1.1 - Legal - Privacy - Data Collection and Storage (ⅹ)
ギャンブルアプリに対する規制。
個人開発者によって提出されたシミュレーションギャンブルアプリを受け付けない
問題の詳細
We found that you have submitted this app under an individual account and the app includes simulated gambling features or you indicated in the Ratings section of App Store Connect that it contains gambling features.
→ 私が個人開発者アカウントで提出したバカラのアプリが該当しました。リアルマネーを賭けるシステムは無いものの、ギャンブルシミュレーションという扱いでリジェクトされました。
対応策
- ギャンブルコンテンツが含まれていない場合: App Store Connect でアプリの評価を修正して再提出
- ギャンブルコンテンツが含まれている場合: 法人アカウントに移行または他の種類のアプリを提出
私は法人アカウントを作成する必要は無いと判断し、App Store での提出をあきらめて、Play Store や Web で公開することにしました。幸いなことに、Play Store ではシミュレーションアプリが認められています。
まとめ
アプリ開発を行う際はガイドラインに忠実であることが重要であり、まずガイドラインを熟読しどのような規約があるのかを確認しておくことが良いでしょう。
ただし、ギャンブルシミュレーションアプリの事例のように、ガイドラインには直接書かれていなくても、含意として適用される項目もあります。
また、技術の進化に伴い新しい規約が追加される可能性もあります。
例えば個人として注目しているのが 「AI 生成コンテンツに関する規約」ですが、こちらについてはまだ明示がされていないため、今後どのように設定するのか注目しています。
そのため、ガイドラインは定期的に確認する必要があります。
審査についての基礎知識としてサマリとしてまとまっている App Review というページもあります。
審査についての基礎知識からよくある問題についても紹介しています。
App Review Guidelines が難解に感じる方はまずこの資料を読んでみるのが良いと思います。
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