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【流体力学:第2回】運動量保存とオイラー方程式
【流体力学:第2回】運動量保存とオイラー方程式
前回は流体の質量保存則から 連続の式 を導きました.
今回は運動量保存則に基づいて,流体の運動を支配する オイラー方程式 を導いていきます.
1. 運動量保存則(ニュートンの運動方程式)
流体力学の基本原理は,ニュートンの運動方程式に立脚しています.
「質量 × 加速度 = 外力の総和」という形です:
ここで,
-
: 速度ベクトル\boldsymbol{u} -
: 密度\rho -
: 単位質量あたりの体積力(例:重力)\boldsymbol{f} -
: 応力テンソル(表面力を記述する)\boldsymbol{T} -
: 制御体積V -
: その境界面S (=\partial V)
左辺は「制御体積内の運動量の時間変化率」,右辺は「体積力+表面力」を意味します.
2. 応力テンソルの分解
流体の応力テンソル
ここで,
-
: 圧力p -
: 単位テンソル\boldsymbol{I} -
: 粘性応力テンソル\boldsymbol{\tau}
非粘性流体(理想流体) を仮定すると,粘性応力は無視できるため
となります.
3. オイラー方程式の導出
制御体積形式から微分形式へ移ると,
が得られます.これが オイラー方程式 です.
- 左辺:慣性項(加速度 × 質量)
- 右辺:圧力勾配による力、物体力(例:重力)
4. 重力場の場合
重力加速度
5. 非圧縮性流体におけるオイラー方程式
非圧縮性流体 (
と表せます.
6. まとめ
運動量保存則(ニュートンの運動方程式)を流体に適用すると オイラー方程式 が得られます.また,非粘性流体・非圧縮性の場合は,圧力と重力だけで運動が支配されます.
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