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IT系資格試験について考える

2024/04/29に公開

[第1稿 2024/4/28]

記事作成の動機

IT系資格について、一体なにが正解なのかよくわからなくなってしまったので、この際なので今まで自分が考えてきたことを書いてみた。
なお、筆者はIT系の開発職に就いて3年目(2024/4/28現在)であることを述べておく。

結論

ITSSを基準にして資格の難易度を把握し、自分のキャリアにあった資格を取得していこう!

前提知識

ITSS

ITSSとは「ITスキル標準(IT Skill Standard)」の略称[1]である。
「ITスキル標準V3 2011 1部概要編[2]」の「1.1 目的」によれば、ITスキル標準とは「“ビジネスの成功”の視点からプロフェッショナルが果たす役割と価値、必要なスキルを明確にすることが重要である。これらを体系的に整理し、客観的な指標として提供するもの」であるとされている。
また、レベル1からレベル7まで定められている。
端的に言えば、「ビジネス上でのITスキルに関する指標」だ。

情報処理技術者試験

IPAが実施し、経済産業省が認定している国家試験のこと。
試験区分は、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者、応用情報技術者、諸高度試験(ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデットシステムスペシャリスト、ITサービスマネージャ、システム監査技術者、情報処理安全確保支援士、以上9種)がある。

ITSSとIT系資格の関係性

スキル標準ユーザー協会がここ( https://www.ssug.jp/docs/ )で、ITSSと各種IT資格(ベンダー試験含む)との対応を公表している。(pdfのダウンロードには名前などの入力が必要なので注意せよ。)
ITSSと情報処理技術者試験との関係性のみ掲示しておく。

ITSSのレベル 情報処理技術者試験
レベル4 高度試験
レベル3 応用情報技術者
レベル2 基本情報技術者
レベル1 ITパスポート[3]

考え方

私の個人的な考え方を述べたうえで、一般的に考えていきたい。

自分の思考

私の考え方は非常にシンプルで、「持っておいて損のないもんなんだから取っておけばOK!」というものである。飯が食える時に飯は食っとくべきだし、資格も取れるときに取っちまえばいいんや、と。

だがしかし、我々はあくまで社会的な生き物なので、ここで社会一般での意見を考慮に入れる必要があるようだ。なので、以下で考えてみる。

一般論

しばしば「資格を持っている、持っていない」と「実務ができる、できない」の関係性について多くの人が叫び声をあげている。(「叫び声」には意見というほど考えていなさそうに見える意見という意味を込めている)どうやら、この2つについてその組み合わせを考えれば以下の4通りしか存在しないので、これら4つを考えておけば網羅的に考えたことになるだろう。

  1. 資格を「持っており」、かつ実務が「できる」
  2. 資格を「持っており」、かつ実務が「できない」
  3. 資格を「持っておらず」、かつ実務が「できる」
  4. 資格を「持っておらず」、かつ実務が「できない」

1. 資格を「持っており」、かつ実務が「できる」

いうことなし!己が道を行くのだ!(だと思う)

3. 資格を「持っておらず」、かつ実務が「できる」

古くからのIT技術者にはここに属する人が多いように思う。
転職などをする際に実務ができることを面接官に示す必要があると思うが、面接官はなにでそれを判断するのだろうか?技術系面接官に対しては、面接でのエピソードトークや実務能力を示す会社特有の試験などによって、その実務能力を示すことができるだろう。ただし、面接官が技術に必ずしも詳しいとは限らない可能性を考慮すると、相手にその判断の「根拠」を与えうる資格を履歴書に記載しておくことでより採用に近づくのではないかと思われる。
もちろん、技術に詳しくない面接官がいる会社なんてゴメンだ!という人にはこの戦略が適切だろう。

4. 資格を「持っておらず」、かつ実務が「できない」

頑張ってスキルを身につけようぜ!(自戒を込めて)
ここに該当するのは、未経験からの転職者や情報系の背景のない新卒者だろう。もし君がここに該当していたとすれば、仕事をしていてつらいだろうし、やめたいと思っているかもしれない。そして、その仕事のストレスをプライベートで発散しようとしているかもしれない。
私から1つアドバイスをするなら[4]、「1つでいいから実務ができる分野、部分をつくろう」というものだ。少しでも何か得意分野を作ってそこでの仕事をできるようになれば、少なくともその仕事については楽しくなっていくと思う。

2. 資格を「持っており」、かつ実務が「できない」

最も論争を呼ぶのはここだろう。
まずはこの手のタイプに対する典型的な言説・反応を取り上げて、結論へ至りたい。
SNS上では「資格を持っていても実務ができなければ意味がない」という意見がしばしばみられる。この意見について考えてみたい。
まずもって、この場合の「意味」とはなんだろうか?おそらくこの言説の背後には「実務の経験を反映させる資格を取るべき」という規範意識であるとか、「資格と実務(の出来)には相関関係があるべき」という信念が存在するように思える。これについては関知しない。思想信条の自由は憲法によって保障されているからね。
例えば、次の二次資料( http://www.skills.jp/column/detail-147.html )に含まれる表によれば、ITSSのレベル4程度では経験と実績のみで評価されるとは限らないし、組織の成員としての成果が評価されるようになるのもレベル4からである[5]。同図[5:1]に依れば、「社内に貢献」ができるのはレベル5からである。以上のような定義を踏まえれば、なんらかの資格を持っているから会社に貢献ができるような実務能力があると考えるのは過剰な期待であるように私は考える。高度試験に受かるというのは、あくまで基礎能力の取得から脱し(完全に脱することはないと思うが)、ビジネスへの貢献をしていくための転換点に至ったという目安でしかないと捉えるのが適切だろう。
ここからの帰結として、個人戦略としては高度試験に受かっていくのがある種1つのメルクマールとして意味付けられると思うので、なんの問題もないと思う。
しかしながら、「資格を持っていても実務ができなければ意味がない」などの反応が見られるために、戦略的に取得資格を公表していく必要はある可能性は否定できない(そんな頭の固い人と仕事したくないけどね)。ただ、SESなどの資格がなければプロジェクトに参画できないような場合は積極的に公表していけばいいだろう。ここは個人の戦略性によって変わるだろう。

脚注
  1. IPAの「ITスキル標準(ITSS)と関連資料( https://www.ipa.go.jp/archive/jinzai/skill-standard/itss/shiryou.html )」内の「「ITスキル標準はやわかり」-人材育成への活用-(V3 2011対応版)」によれば、「2002年12月に経済産業省から公表」され、「2004年7月に維持管理を独立行政法人情報処理推進機(以下、IPA)ITスキル標準センターに移管し、現在に至って」いる。 ↩︎

  2. https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/ps6vr70000004x60-att/000024840.pdf (リンク先はpdfのため注意せよ) ↩︎

  3. ITパスポートはビッグデータ、IoTなどの既存のITスキル標準V3に含まれない分野の出題を強化することに伴って関連付けを取りやめられた(2018年8月27日)が、参考程度に旧来の対応付けを用いて掲載する。( https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/download_v3_2011.html↩︎

  4. 自戒込めてます ↩︎

  5. https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/ps6vr70000004x60-att/000024840.pdf の35ページの図15 ↩︎ ↩︎

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