🦔

【脳が覺醒すゑ】怪レい数学定義集【1秒で成績を20上げます】

に公開

はじめに

数学の定義ってイメージを掴めていても、意外と数式として厳密に書こうとすると間違えてしまうことありますよね。

この記事では、そういった怪レい定義をパッと思いつくものをいくつか書いてみました。思いつきで書いたのであんまレパートリーないですが、新しいのが思いついたら追記するかもしれません。

(大変なので怪レい定理や怪レい証明は本記事では取り扱いません。また、「数字を長方形に並べたものを行列という」「n\in Nを限りなく大きくしたときf(n)が近づく値を\lim_{n \to \infty} f(n)と書く」などのそもそも数学的な言明とは呼べないものも除外しています

よろしくお願いします。

怪レい定義集

1. 群の定義

集合 GG上の二項演算\cdot\colon G\times G\to Gの組 (G, \cdot)は次を満たすとき群という。

  1. \forall x, y, z\in G, (x\cdot y)\cdot z = x\cdot (y\cdot z)
  2. \exists e\in G, \forall x\in G, e\cdot x = x\cdot e = x
  3. \forall x\in G, \exists y\in G, x\cdot y = y\cdot x = e
怪レいポイント

3のe←ガチで誰これ。必ずしも間違っているとまではいかないが、怪レい定義の代名詞。条件2と3をくっつけるか、(G, \cdot, e)として定義するか、そこまでするなら(G, \cdot, (\text{-})^{-1}, e)という定義を採用するか。

\cdotGに閉じている」とかいう条件をいれる奴がいたらはっ倒しましょう。(特殊な文脈でない限り)

2. モノイド準同型

モノイド (M, \cdot_M), (N, \cdot_N)の間の写像 f\colon M\to Nは次を満たすときモノイド準同型という。

f(x\cdot_M y) = f(x)\cdot_N f(y)
怪レいポイント

モノイド準同型は単位元の保存も定義に入れる必要がある。群はf(e)=f(ee)=f(e)f(e)ゆえf(e)^{-1}を両辺かけることで単位元の保存が言えるが、モノイドではそうではない。

3. 同相写像

位相空間 (X, \mathcal{O}_X), (Y, \mathcal{O}_Y)の間の全単射な連続写像 f\colon X\to Yを同相写像という。

怪レいポイント

同相写像は逆写像も連続である必要がある。

4. T_2分離公理

位相空間 (X, \mathcal{O})は次を満たすときT_2であるという。

\forall x, y\in X, \exists U, V\in\mathcal{O}, x\in U\ \&\ y\in V\ \&\ U\cap V=\emptyset
怪レいポイント

x\not=yを条件に入れ忘れている。

5. T_1分離公理

位相空間 (X, \mathcal{O})は次を満たすときT_1であるという。

\forall x, y\in X, x\neq y\implies\exists U\in\mathcal{O}, x\in U\ \&\ y\notin U
怪レいポイント

yを含みxを含まない開集合の存在も同時に定義に入れる必要がある。そのどちらかの存在だけで良いというのがT_0分離公理である。

6. 部分束

(L, \le)の部分集合 L'\subseteq Lへの制限として得られるposet (L', \le')は次を満たすとき部分束という。

  1. (L', \le')は束である。
怪レいポイント

束はただのposetではないので、上限・下限演算との整合性も定義に必要。つまり、

  1. (L', \le')の上限・下限は(L, \le)の上限・下限と一致する。

という条件も必要。

7. 部分再帰的関数

次で定義される自然数上の関数 f\colon\N^n\rightharpoonup\Nを部分再帰的関数という。(一般にf\colon A\rightharpoonup BAからBへの部分関数を表すとする)

  1. \mathrm{zero}() = 0\colon\N^0\to\N, \mathrm{succ}(x) = x + 1\colon\N\to\N, \pi_i^n(x_1, \ldots, x_n) = x_i\colon\N^n\rightharpoonup\Nは部分再帰的関数である。
  2. h\colon\N^m\rightharpoonup\N, g_i\colon\N^n\rightharpoonup\N\text{ for }1\le i\le mが全て部分再帰的関数ならば、次のf\colon\N^n\rightharpoonup\Nは部分再帰的関数である。
f(x_1, \ldots, x_n) = h(g_1(x_1, \ldots, x_n), \ldots, g_m(x_1, \ldots, x_n))
  1. h\colon\N^{n+2}\rightharpoonup\N, g\colon\N^n\rightharpoonup\Nが部分再帰的関数ならば、次のf\colon\N^{n+1}\rightharpoonup\Nも部分再帰的関数である。
f(x_1, \ldots, x_n, y) = \left\{\begin{array}{ll}g(x_1, \ldots, x_n) & \text{if } y = 0\\h(x_1, \ldots, x_n, y-1, f(x_1, \dots, x_n, y-1)) & \text{if } y > 0\end{array}\right.
  1. g\colon\N^{n+1}\rightharpoonup\Nが部分再帰的関数ならば、次のf\colon\N^n\rightharpoonup\Nも部分再帰的関数である。
f(x_1, \ldots, x_n) = \mu_y(g(x_1, \ldots, x_n, c)=0)

ただし、\mu_y(g(x_1, \ldots, x_n, c)=0)g(x_1, \ldots, x_n, c)=0となる最小のc\in\Nを返す関数であり、そのようなc\in\Nがなければ未定義とする。

怪レいポイント

部分関数の等号とか合成とかの取り扱いはちゃんと理解できてると仮定しても、最小化関数の定義が怪レい。厳密には最小化関数の定義の前半部分は「g(x_1, \ldots, x_n, c)=0かつ\forall z<c\in\N, g(x_1, \ldots, x_n, z)\mathord\downarrowを満たす最小のc\in\Nを返す」がより正確。
これは暗黙の了解として有識者が書いてたら理解を疑うことはないが、自主ゼミとかで見かけたら必ず確認入れる書き方。

おわりに

皆さんも怪レい定義には気をつけましょう!(もし解説の中に怪レい解説があったらガチでごめんなさい!)

Discussion