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「Claude Codeで効率的に開発するための知見管理」をコマンド1発で自分のプロジェクトに反映する方法

に公開

はじめに

開発プロジェクトにおいて、コードの知識管理やドキュメント整備は重要ですが、手間がかかる作業でもあります。しかし、LLMの力を借りることで、先駆者が構築した知見を瞬時に自分のプロジェクトに適用できる時代が到来しました。

背景:話題になった記事

こちらの記事が開発者コミュニティで話題になっています。

https://zenn.dev/driller/articles/2a23ef94f1d603

この記事では、Claudeを使った効果的なコード知識管理システムの構築方法が紹介されています。

課題

上の記事を読むと普通のかたは「自分のレポジトリにも適用して試したい!」と思います。
しかしながら、実際に自分のレポジトリに取り込むとなると以下の手順が必要そうだなぁと考えると思います。

  • 記事を読んで内容を理解し、大まかな手順を理解する。
  • 細かい設定やドキュメントを新規作成していく。
  • 自分のプロジェクトに合わせてカスタマイズ

そうすると、めんどくさくなって放置してしまいます。

LLM時代の知識習得

しかし、このような「Before LLM」の思考パターンは既に古いものです。

現在は、LLMの力により、攻殻機動隊や映画Matrixのように知識を瞬時にインストールできる時代が到来しています。

実践方法

ワンライナーコマンドで完了

以下のコマンドをコピー&ペーストするだけで導入が完了します:

echo 'https://zenn.dev/driller/articles/2a23ef94f1d603 上記の記事を理解して、今作っているリポジトリに対しても同じファイル構成で作って。' | claude

こんな雑なプロンプトでもマルチモーダルなLLMなのでちゃんとURLを読みに行って理解して、自分のレポジトリに反映してくれます!

結果:数分で知見を獲得

数分後には、自分のリポジトリでもdrillerさんが蓄積した知見を活用できるようになります。

生成されるファイル構成

❯ tree .claude
.claude
├── common-patterns.md
├── context.md
├── debug
│   ├── archive
│   ├── sessions
│   └── temp-logs
├── debug-log.md
├── project-improvements.md
├── project-knowledge.md
└── settings.local.json

実際の生成例

TypeScriptで構築した個人開発サービスのリポジトリで実行した結果、以下のようなドキュメントが生成されました:

❯ head -n 20 .claude/**/*md
==> .claude/common-patterns.md <==
# よく使用するパターン

## 開発コマンド

### 基本開発フロー

```bash
# 開発サーバー起動(デバッグインスペクター付き)
pnpm dev

# ビルド(サイトマップ自動生成付き)
pnpm build

# 本番サーバー起動
pnpm start

# リンティング
pnpm lint

# サイトマップのみ生成

==> .claude/context.md <==
# プロジェクトコンテキスト

## 概要

- プロジェクト名: トライアスロン リザルト分析アプリケーション
- 技術スタック: Next.js 15.3 + TypeScript 5.2 + Tailwind CSS 4.1
- 目標: 日本のトライアスロン大会結果分析と AI によるパフォーマンス分析・トレーニング提案

## プロジェクトの背景

- 日本のトライアスロン大会の結果データを分析
- 選手の過去の成績から傾向を分析し、AI(llama3-70b-8192)による個別のトレーニング提案を提供
- 2011 年から 2025 年までの豊富なデータを活用した統計分析

## 制約条件

- **データソース**: TSV ファイルベース(データベース不使用)
- **パフォーマンス**: Vercel Speed Insights 使用、レスポンス重視
- **SEO**: サイトマップ自動生成、OGP 設定必須
- **モバイル対応**: レスポンシブデザイン必須

==> .claude/debug-log.md <==
# 重要なデバッグ記録

## [2024-12-10] TSV ヘッダーマッピングエラー

**症状**: 新しい年度のデータ追加時に「undefined column」エラーが発生 **環境**: Node.js 18.17.0,
Next.js 15.3 **再現手順**:

1. 新しい年度の TSV ファイルを`public/master/2025/race_name/result.tsv`に配置
2. ページアクセス時にデータ読み込みエラー

**試行錯誤**:

- ❌ TSV ファイルの列名確認 → 列名は正しい
- ❌ ファイルパス確認 → パスも正しい
- ✅ `lib/data.ts`の headerMappings に該当年度・大会の設定がない

**最終解決方法**:

```typescript
// lib/data.ts のheaderMappingsに追加

==> .claude/project-improvements.md <==
# 改善履歴

## 2024-12-15: TSV データ処理の統一化

**問題**: 年度・大会ごとに異なる TSV 列名により、個別処理が必要で保守性が悪い

**試行錯誤**:

- ❌ 各年度・大会別に個別の処理関数作成 → コード重複、バグ多発
- ❌ 固定ヘッダー前提の処理 → 実データとの乖離
- ✅ headerMappings による統一的なマッピングシステム → 90%の処理統一化

**最終解決策**:

1. `lib/data.ts`に headerMappings オブジェクト作成
2. 年度・大会をキーとした動的マッピング
3. デフォルト値とエラーハンドリングの統一
4. 型安全な変換処理の実装

**教訓**: 設定駆動のアプローチにより、データ構造の変化に柔軟に対応可能

==> .claude/project-knowledge.md <==
# プロジェクト知見集

## アーキテクチャ決定

### データ処理システム

- **TSV ファイルベース**: データベース不使用でファイルベースのデータ管理を採用
- **理由**: シンプルな構成、Vercel での静的ホスティング最適化、データの透明性
- **学習**: 当初はデータベース検討したが、データ更新頻度とホスティングコストを考慮し変更

### ヘッダーマッピングシステム

- `lib/data.ts`の`headerMappings`で年度・大会別の列名差異を吸収
- **理由**: 各年度・大会で TSV の列名が異なるため統一的な処理が必要
- **学習**: 初期は個別処理していたが、メンテナンス性が悪く統一システムに変更

### AI 統合アーキテクチャ

- Groq SDK + llama3-70b-8192 による高速推論
- Upstash Redis による応答キャッシュ

生成されたドキュメントの特徴

生成されたドキュメントには以下のような実用的な情報が含まれています:

  • プロジェクトコンテキスト: 技術スタック、制約条件、背景情報
  • デバッグ記録: 過去に発生した問題と解決方法の詳細
  • 改善履歴: 試行錯誤の過程と最終的な解決策
  • アーキテクチャ決定: 設計判断の理由と学習内容

この手法の価値

時間効率の劇的な改善

従来であれば:

  1. 記事を読み込む(30分〜1時間)
  2. 自分のプロジェクトに合わせて設定を調整(1〜2時間)
  3. 試行錯誤しながら導入(数時間)

LLMを活用することで:

  1. コマンド実行(1分)
  2. 生成結果の確認と微調整(10〜15分)

知識の民主化

優秀な開発者が蓄積した知見を、経験の浅い開発者でも瞬時に活用できるようになります。これにより、チーム全体の開発効率とコード品質の向上が期待できます。

注意点とベストプラクティス

生成されたドキュメントの検証

LLMが生成したドキュメントは、必ず内容を確認し、自分のプロジェクトに適合するかチェックしましょう。

継続的な更新

プロジェクトの進化に合わせて、生成されたドキュメントも定期的に更新することが重要です。

まとめ

LLMの力を活用することで、先駆者が構築した知見を瞬時に自分のプロジェクトに取り込むことが可能になりました。

この手法により:

  • 開発効率の向上: 設定時間の大幅短縮
  • 知識の共有: 優秀な開発者の知見を誰でも活用可能
  • 品質の向上: 実証済みのベストプラクティスを即座に導入

「Before LLM」の思考から脱却し、新しい時代の開発手法を積極的に取り入れることで、より効率的で質の高い開発が実現できるでしょう。

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