画伯だけどUXデザイン始めてみた:1. 優れたUXとは?編
はじめに
株式会社ミラボで先月からモバイルアプリTm(flutter)にジョインしました 入谷 です。
待望のモバイルアプリ開発が出来ることになったので、せっかくなのでこれを機にUXについても学習を始めます。
UXの理屈を学びつつ、せっかくなので成果物も載せていきます。
第1回 優れたUXとは?
目次
- 優れたUXとは?
- UXリサーチをやってみる
- ワイヤーフレームを描いてみる
- ハイファイプロトタイピングを作ってみる
- ケーススタディしてみる
UXデザインを学ぼうと思ったきっかけ
初めに、私は絵がド下手で、色彩感覚にも乏しいです。
四足歩行の動物を描こうとするとどうしても脚が平面に並んでしまいますし、奥行きを表現することも出来ません。
思えばフロントエンド〜インフラまで手掛けてきたものの、所謂"デザイン"部分からは逃げ続けてきたエンジニア人生でした。
開発をしていると、「なんか使いづらそう」や「デザインがなんかイケてない」みたいな感覚を持つことがあっても、"何が"、"どう"良くないのか、どう改善すれば良いのか全く分からない自分に気づきました。
私の色彩感覚やデザインセンスは、今すぐにどうにかなるレベルではないと自覚しています。
せめて「どうすればユーザーにとって使いやすくなるのか」を、感覚や経験、他者の模倣ではなく、論理的に解決する方法を身につけたいと思い、この取り組みを始めました。
※スポーツで言うと試合しかしたことがない状態の私。まずはキャッチボールやルールを覚えることから始めていきます。
Google UX Design Certificationというコースで学んでいきます。
これはかなり基本的な内容を学ぶコースで、UXとは?から始まり、UXリサーチやFigmaを使ったモック作成までを1から学べるレベル感です。
優れたUXとは?
そもそも、なぜ「優れたUX」について考える必要があるのでしょうか?
UXデザインの成果を定量的に図ることは難しく、ビジネスへの直接的な影響を測定するのも容易ではありません。
しかし、優れたユーザビリティとデザインに重点を置いた企業は、競合他社よりもパフォーマンスが優れていることがマッキンゼーの調査で提唱されています。
出典: McKinsey & Company, 経営におけるデザインの価値, 2023.
良いデザインの指標を定義し、そのスコアが高い企業ほど年間成長率も高いという結果が示されています。
4つの指標
優れたUXには、明確に定義された以下の4つの指標があります:
-
使いやすい: 構造が明確で、直感的に操作できること。
例: 航空会社アプリでフライト予約がスムーズに行える設計。 -
公平である: 多様なユーザーのニーズに応えること。
例: 絵文字に多様な肌の色や性別を反映したデザイン。 -
楽しい: ユーザー体験に喜びや感動を与えること。
例: 動画アプリのパーソナライズされたおすすめ機能。 -
便利である: ユーザーの問題を解決し、目標達成を助けること。
例: 銀行アプリの送金や請求書支払い機能。
Booking.comに見る優れたUX
Booking.comは、これらの指標を分かりやすく満たしていると言えるでしょう:
- 使いやすい: 旅先での使用を考慮したモバイルフレンドリーさ
- 公平である: 世界中で使われるための多言語対応とLGBTQ+への配慮
- 楽しい: プランニングをより想像豊かにするユーザーレビューの充実っぷり
- 便利である: トラブル発生時の24時間サポート
これらを踏まえると、優れたUXとは単なる「見た目の美しさ」に留まらず、ユーザーが「使いやすい」と感じたり、「自分のためのサービスだ」と思える体験を提供するものだと言えます。
ひいては、プロダクトとはユーザーに寄り添い価値を提供するためのものであり、その価値を最大化するには、デザインが単なる外見や機能ではなく、ユーザーの体験全体を支えるものである必要があるのです。
ユーザー中心設計
当然ですが、誰のためのアプリ開発なのかを考えると、答えはユーザーのために他なりません。
ユーザー中心設計とは、製品の設計においてユーザーのニーズを最優先に考えるアプローチです。
考慮すべき項目
ユーザー中心設計を考える際には、以下の項目を検討するのが良いとされています:
-
ユーザーには、考慮すべき障害や制約があるか?
例: 片手しか使えない場合など。 -
ユーザーは、テクノロジーにどの程度慣れているか?
例: スワイプ操作やアイコンの意味が理解できるか。 -
ユーザーは、製品やサービスにどのようにアクセスしているか?
例: オフライン環境や断続的な接続。
前述のマッキンゼーの調査によると、デザイン案や仕様書の作成前にユーザー調査を行う企業は全体の50%に過ぎないそうです(P12)。
開発者として「こう使ってほしい」と考えることはできますが、ユーザーにとっての感覚や感情は想像の域を出ることはありません。
だからこそ、ユーザーリサーチを通じて彼らが置かれている状況を深く理解することで、デザインの質を向上させることができるのです。
終わりに
エンジニアがUXを学ぶということ
AWSなどのクラウドインフラが台頭したことで、インフラ専門家でなくてもインフラに触れる機会が増えました。同様に、フロントエンドエンジニアがバックエンドAPIの構築やデータベース設計を担当するケースも増えています。
専門性に縛られず、フロントエンドエンジニアがデザインに触れる機会を増やしていくのも、この流れを考えると自然なことかもしれません。
知識の領域を広げることは、たとえ浅くでも新たな視点を取り入れるきっかけとなります。それは結果的に、自身の専門分野にも良い影響を与え、総合的なスキルアップにつながると私は考えています。
次回
次回から手を動かしていきます。
架空のモバイルアプリを題材にして、ペルソナ、ユーザーストーリー、ユーザージャーニーの作成を行います。
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