[Cisco]ルーティングについて!#2-③(アドミニストレーティブディスタンス値)
アドミニストレーティブディスタンス値を自分なりに解説
自分なりにダイナミックルーティングを解説します~
アドミニストレーティブディスタンス値とは?
アドミニストレーティブディスタンス(Administrative Distance、略してAD値)とは、ルーティングプロトコルが受け取った複数の経路情報の中で、どの経路を信頼してルーティングテーブルに登録するかを決めるための「信頼度の指標」です。
簡単に言うと、複数のルーティングプロトコルから同じ宛先へのルート情報が送られてきたときに、どのルートを優先して使うかを決める数値です。
AD値が小さいほど、そのルート情報は「信頼できる」と判断され、優先的に選ばれます。逆に数値が大きいものは信頼度が低く、ルーティングテーブルに登録されにくくなります。
例:代表的なAD値一覧
ルーティング情報の種類 | AD値 | 説明 |
---|---|---|
直接接続されているネットワーク | 0 | もっとも信頼性が高い |
スタティックルート(手動設定) | 1 | 管理者が手動で設定したルート |
EIGRP(内部) | 90 | Cisco独自の高速距離ベクター型ルーティングプロトコル |
OSPF | 110 | リンクステート型ルーティングプロトコル |
RIP | 120 | 古い距離ベクター型ルーティングプロトコル |
外部EIGRP | 170 | EIGRPの外部ルート |
未知またはルートなし | 255 | ルートとして選択されない |
なぜAD値が重要か?
たとえば、ルーターが同じ宛先ネットワークの経路をRIPとOSPF両方から受け取った場合、AD値が小さい方(OSPFの110)が優先されます。これにより、ネットワーク管理者は複数のルーティングプロトコルが混在する環境でも、安定して効率的に経路を選択できるのです。
自分なりのイメージ
AD値は「ルートの信頼度ランク」のようなもので、数字が低いほど「この経路は信頼できるよ!」という意味です。
だから、もし同じ宛先が複数あったときは、AD値が小さいルートが選ばれ、ネットワークのデータはそこを通っていきます。
次は、このAD値が実際のネットワーク設定でどのように使われているかを見てみましょう!
アドミニストレーティブディスタンス値の実際の使い方
ルーティングテーブルへの影響
ルーターは複数のルーティングプロトコルや静的ルートから受け取ったルート情報をすべて保持していますが、ルーティングテーブルには最も信頼できるルートだけを1つだけ登録します。
この時に使われるのがAD値です。
- ルーターは宛先ネットワークごとに複数の経路を比較します。
- AD値が最小の経路を選び、ルーティングテーブルに登録します。
- AD値が大きい経路はバックアップルートや無視されます。
具体例:スタティックルートとダイナミックルーティングの競合
例えば、
- スタティックルートのAD値は1
- OSPFのAD値は110
のため、同じ宛先へのルートが両方あるときは、スタティックルートが優先されます。
このように、ネットワーク管理者は意図的にAD値を利用して、ルートの優先順位を調整できます。
AD値のカスタマイズ
多くのルーター(特にCisco製品)では、管理者がAD値を手動で変更することも可能です。
管理者がAD値をカスタマイズすることで、特定の経路を優先的に使ったり、逆に避けたりすることができます。
例えば、ある経路をバックアップ用にしたい場合、その経路のAD値をあえて大きく設定することで、通常時は他の経路を使い、障害発生時のみバックアップ経路に切り替わるようにできます。
カスタマイズ例
-
静的ルートのAD値を変更
通常は1ですが、例えば10に変更すればOSPF(110)より優先されなくなり、より優先したい経路を動的ルーティングに任せることができます。 -
ダイナミックルーティングのAD値を変更
OSPFやEIGRPのルートのAD値も変更できるため、特定のダイナミックルーティングの経路を優先的に使うよう調整できます。
まとめ
- アドミニストレーティブディスタンス(AD値)は、複数の経路情報の「信頼度」を示す数値で、数値が小さいほど信頼度が高い。
- ルーターは同じ宛先の複数の経路を受け取った際に、AD値が最小の経路だけをルーティングテーブルに登録する。
- スタティックルートやダイナミックルーティングの経路の優先順位はAD値で決まり、管理者はAD値を調整してネットワークの経路制御ができる。
- AD値を理解し活用することで、複雑なネットワーク環境でも効率的で安定した経路選択が可能になる。
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