上流工程と下流工程の異なる作業と必要なスキル
IT業界へのエンジニアとしての転職を検討している方、またはその仕事に興味を持っている方々の中には、「上流工程」および「下流工程」という用語を聞いたことがあるかもしれません。これらは、システム開発時の作業内容を区別するための言葉です。要するに、「前半の作業=上流工程」、「後半の作業=下流工程」というふうに区分けできます。この記事では、これらの作業の違いと必要なスキルについて詳しく説明していきます。
1. システム開発のプロセス:上流工程と下流工程の作業
上流工程と下流工程の違いについて説明する前に、まずはシステム開発のプロセスについて説明しましょう。一般的なシステム開発のプロセスは、要件定義、設計、開発(プログラミング)、テスト、リリース、および運用保守の6つのステップから成り立っています。これらの作業は順番に進行し、上流から下流へ進むというイメージがあり、このために「ウォーターフォール・モデル」と呼ばれています。どの段階で作業が進行中であるか、または遅れているかを確認しやすく、非常に管理しやすい手法です。
+ 要件定義:クライアントの要望を確認し、どのようなシステムを開発するかを決定します。また、これにかかる費用と期間も示します。
+ 設計:具体的な外観や形状を決定します。これに基づいて設計書も作成されます。
+ 開発(プログラミング): 設計書に基づいて、プログラミング言語を使用して実際のシステムを開発します。多くの人がエンジニアまたはプログラマとして連想する作業はおそらくこの段階です。
+ テスト:開発物が正常に動作するかどうかを確認します。また、動作するかどうかだけでなく、要件定義および設計段階で指定されたものが満たされているかどうかも重要です。
+ リリース・運用保守:完成品をクライアントに提供します。必要であれば不具合を修正します。
2. 上流工程と下流工程の違い
ウォーターフォール・モデルの視点を考えると、「上流」「下流」という用語が非常に理にかなっていることでしょう。これらの用語は、作業の前半部分を川や滝の上流になぞらえ、後半部分を下流になぞらえ、⑴要件定義と⑵設計を「上流工程」とし、⑶開発(プログラミング)と⑷テストを「下流工程」と呼びます。 言い換えれば、上流工程は何をどのように作成するかを考えるプロセスであり、下流工程は具体的な作業プロセスです。
上流工程と下流工程の違い
下流プロセスと上流プロセスは、ソフトウェア開発プロセスの2つの重要なプロセスです。 それらは相互に強いつながりと影響を及ぼします。 そのつながりについて詳しくは、こちらをご覧ください。
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3. 必要なスキル
これらの工程には、専門的な知識とスキルが必要ですが、各作業の特性に応じて必要なスキルについて詳しく見てみましょう。
3.1. 上流工程
3.1.1. ヒアリング能力(コミュニケーション能力)
上流工程では、今後作成するものを正確に示す能力が非常に重要です。システムを作成し終えた後に、クライアントの要求とは異なる場合、全てを最初からやり直さなければならないかもしれません。したがって、要件定義の段階でクライアントから要求事項を正確に引き出し、両者の理解が一致するようにする必要があります。
3.1.2. 提案力
また、クライアントは必ずしもITの専門家ではないかもしれません。クライアントの要求をわかりやすく説明し、さらに優れた提案を行う場面も多く発生するでしょう。
3.1.3. マネジメント能力
設計書を作成する際、その内容は著者だけが理解できれば十分ではありません。誰もが理解できるようにする必要があります。具体的であればあるほど、下流工程の作業がスムーズに進行するでしょう。このプロセスでは、作業の分担方法、進捗管理、指示出しの役割も担います。
3.1.4. 幅広い専門知識
そして、これらの作業を実行するためには、経験を積むことと、幅広い知識を備えることが必要です。
3.2. 下流工程
3.2.1. プログラミング能力
下流工程では、設計書の内容を論理的に理解し、正確に実行する技術が必要です。設計書を正しく理解し、実際に形にする力がなければ、設計書がどれだけ適切でわかりやすいものであっても、意味を持たなくなります。
3.2.2. コミュニケーション能力
プロジェクトチーム内で他のメンバーと協力して一つのシステムを完成させる場合、コミュニケーション能力も欠かせません。
経験が浅いエンジニアは通常、この工程から始めることが多いです。責任は上流工程よりも軽いかもしれませんが、クライアントが受け取る成果物を実際に作成し、期待どおりのものを提供する責任があります。
4. まとめ
上流工程と下流工程の違い、およびそれぞれで必要なスキルについて理解いただけたでしょうか。どちらの方が良いということではなく、どちらもが上手くできて初めて優れたシステムが完成すると筆者は考えています。自身の手で実際に作業をするのが好きという方はプログラミング能力をさらに極め下流工程で活躍することを目指しても良いでしょうし、自身のアイデアを形にしたいあるいはチームリーダーとして活躍したいと考えている方は上流工程を目指しても良いでしょう。本記事がエンジニアを目指す皆様の今後の指針として参考となれば幸いです。ご拝読ありがとうございました。
システム開発で下流工程は大切なプロセスであります。もし下流工程の詳細にご興味があれば、リンクをクリックして、参考してください。
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