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真空管って何?初期コンピュータを支えた謎の電子スイッチを全力で理解してみた

2024/12/02に公開

最近、コンピュータの歴史を調べる機会がありました。私たちが普段使っているスマートフォンやノートパソコンのようなコンパクトで高速なデバイスは、一体どこから始まったのか。そして、「真空管」という言葉を聞いたとき、これは一体何だったのかと気になったんです。今回の記事では、真空管の仕組みやその役割について、私自身が調べて学んだことを共有したいと思います。


真空管って何をするもの?

まずは基本から。真空管は、内部が真空状態にされたガラス製の筒の中に、いくつかの金属部品が配置されたものです。初期のコンピュータでは、この真空管が「スイッチ」として使われていました。

スイッチといっても、普段私たちが目にする機械的なスイッチではありません。真空管は電子の流れを制御することで、電流を「オン(流れる)」「オフ(流れない)」に切り替える電子スイッチとしての役割を果たしていました。これが、コンピュータが「0」と「1」を扱うデジタルの世界を実現する基盤となっていたのです。

真空管が作り出す論理回路

真空管は、単独ではただの電子スイッチですが、これを複数組み合わせることで論理回路を作り上げます。論理回路とは、コンピュータが計算や条件分岐などの処理を行うための基礎的な回路のことです。

AND回路:両方オンならオン

例えば、AND回路では、「入力Aがオンで、かつ入力Bがオンのときだけ出力がオンになる」という動作をします。これを真空管で実現するには、2つの真空管を使い、両方の入力がオン(1)にならない限り出力がオンにならないように設計します。

NOT回路:反転の仕組み

一方、NOT回路は「入力がオンなら出力はオフ、入力がオフなら出力はオン」という反転の動作をします。この反転の仕組みは、真空管のグリッド(制御格子)に負の電圧をかけることで実現されます。グリッドに負の電圧をかけると、電子の流れが止まり出力がオフになる。この特性を使って、入力信号を反転させる回路を構成しました。

真空管でNAND回路をどう作った?

次に少し進んで、NAND回路について考えます。NAND回路は、「AND回路の出力を反転させたもの」です。つまり、入力AとBの両方がオン(1)の場合には出力がオフ(0)になり、それ以外の場合には出力がオン(1)になるという動作です。

これを実現するには、まずAND回路を作り、その後にNOT回路を接続します。つまり、真空管を複数組み合わせることで、このような複雑な論理動作が可能になりました。

真空管はどう制御されていた?

真空管を動作させるためには、「どこに正の電圧、どこに負の電圧をかけるか」が重要です。この制御は、クロック信号制御回路によって行われていました。クロック信号とは、コンピュータ内のすべての回路を同期させるためのタイミング信号で、これに従って真空管にかかる電圧が切り替えられていました。

また、真空管がどのタイミングでどのような動作をするかは、プログラムや設計段階で決められており、配線や外部の制御回路によってその動作が管理されていました。

初期コンピュータでの真空管の苦労

真空管を使ったコンピュータには、いくつかの大きな課題がありました。

課題 内容
膨大な数の真空管 複雑な論理回路を作るには数千〜数万本の真空管が必要だった。
熱の問題 真空管は高温になり、冷却が必要だったため装置が巨大化した。
壊れやすさ 真空管は消耗品で、頻繁な交換が必要だった。

例えば、初期のコンピュータ「ENIAC」では約18,000本もの真空管が使われていました。この膨大な数を維持するのは、設計・運用の両面で非常に大きな負担でした。

真空管からトランジスタ、そして現代へ

これらの課題を解決するために、1950年代後半になると、より小型で耐久性が高く、省電力なトランジスタが登場しました。トランジスタは真空管と同様に電流のオン・オフを制御できますが、真空管に比べて圧倒的に小型で効率的でした。その後、トランジスタをさらに集積して作られた集積回路(IC)が普及し、現在のようなコンパクトで高性能なコンピュータが誕生しました。


まとめ:真空管の学びから現代を振り返る

今回真空管について調べてみて、私自身が驚いたのは、真空管という「シンプルな電子スイッチ」が、初期のコンピュータのすべての計算や制御を支えていたという事実です。

もちろん、真空管には多くの課題があり、現在ではその姿を見ることはほとんどありません。しかし、この技術があったからこそ、私たちは今のような小型で高性能なコンピュータを手にすることができているのだと実感しました。

これからも、私たちの身近な技術のルーツを振り返りながら、新たな知識を学んでいきたいと思います。この記事が、みなさんにとっても何か新しい発見のきっかけになればうれしいです!

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