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ChatGPTでディベートのリンクマップを書く

2023/05/02に公開

前回作ったリンクマップが本末転倒だったので、再挑戦です。
https://zenn.dev/articles/ff859255f03f84/edit

前回の反省点

マインドマップとリンクマップの違いについて、理解しないままとりあえずそれっぽいマップを書かせようとしてしまったと思います。
反省点は以下の2点です。

  1. ChatGPTに多くの意見を出させられなかった。
  2. リンクマップにする過程で文字で議論がまとめられてしまい議論が広がらなかった

ChatGPTに聞いてみよう

石炭火力発電をすべて代替発電に切り替えたときに生じる論点をできるだけ多く書き出してください。

今回は最初に肯定否定を分類しないように、できるだけ多く書かせてみました。

論点一覧

石炭火力発電をすべて代替発電に切り替える際に生じる論点は以下のようなものがあります。

  1. 経済的なコスト: 石炭火力発電所の閉鎖や代替発電設備の導入には大きな費用がかかります。また、石炭火力発電から代替発電への移行には時間がかかるため、その間の電力供給とコストのバランスも考慮しなければなりません。

  2. 雇用: 石炭火力発電産業に従事する労働者の雇用問題が生じることがあります。再雇用やスキルの再編成が必要になる場合があります。

  3. 電力供給の安定性: 代替発電は太陽光や風力など、天候に影響を受けやすいため、電力供給の安定性が懸念されます。バックアップ電源や蓄電設備の整備が重要になります。

  4. 技術革新: 代替発電技術の研究開発には継続的な投資が必要です。技術革新によって発電効率やコスト削減が期待されますが、その達成度合いは不確実です。

  5. 環境への影響: 代替発電も一定の環境負荷があります。例えば、水力発電はダム建設による生態系への影響、太陽光発電は大規模な土地利用が必要などです。

  6. 地域の受け入れ: 大規模な代替発電設備の建設は、地域住民の理解や受け入れが必要です。風力発電のような設備は騒音や景観への影響が懸念されることがあります。

  7. エネルギー政策: 石炭火力発電から代替発電への移行は、国家や地域のエネルギー政策の見直しを必要とします。政策立案や実行において、国際的な協力や競争が重要になります。

  8. 国際関係: 石炭火力発電から代替発電への移行は、石炭輸出国との関係やエネルギー安全保障に影響を与える可能性があります。また、石炭火力発電の排除に向けた国際的な取り組みや、技術協力などの国際連携が重要になります。

  9. 廃棄物処理: 石炭火力発電所の閉鎖に伴い、廃棄物や解体資材の処理が課題となります。適切なリサイクルや廃棄方法を検討する必要があります。

  10. 代替発電の多様性: 代替発電には多くの種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。適切な発電手段を選択し、バランスの取れたエネルギーミックスを構築することが重要です。

  11. 計画立案と実行: 石炭火力発電から代替発電への移行は、長期的な計画が必要です。政策決定者や関係者が協力して、実現可能で効果的な計画を策定し、実行することが求められます。

  12. 社会的な意識の変革: 石炭火力発電から代替発電への移行は、広範囲な社会的意識の変革を伴います。市民や企業が環境に配慮した行動を取るようになり、持続可能なエネルギー利用が一般化することが望まれます。

  13. 電力市場の変化: 代替発電への移行に伴い、電力市場の構造も変化します。価格設定や供給・需要バランスの調整が求められるほか、新たなビジネスモデルやサービスが登場する可能性があります。

Mindmapにする

では、これをマインドマップの形式で書いてください。できるだけ内容を失わないよう、ブランチを適宜作成してください。

論点一覧→マインドマップ

石炭火力発電から代替発電への移行
├─ 経済的なコスト
│ ├─ 発電所閉鎖費用
│ └─ 代替発電設備導入費用
├─ 雇用
│ ├─ 再雇用
│ └─ スキル再編成
├─ 電力供給の安定性
│ ├─ バックアップ電源
│ └─ 蓄電設備
├─ 技術革新
│ ├─ 研究開発投資
│ └─ 発電効率・コスト削減
├─ 環境への影響
│ ├─ 水力発電
│ │ └─ ダム建設の生態系への影響
│ └─ 太陽光発電
│ └─ 土地利用問題
├─ 地域の受け入れ
│ ├─ 地域住民の理解・受け入れ
│ └─ 風力発電の騒音・景観問題
├─ エネルギー政策
│ ├─ 国家・地域の政策見直し
│ └─ 国際協力・競争
├─ 国際関係
│ ├─ 石炭輸出国との関係
│ ├─ エネルギー安全保障
│ └─ 国際連携・技術協力
├─ 廃棄物処理
│ ├─ 石炭火力発電所廃棄物
│ └─ 解体資材の処理
├─ 代替発電の多様性
│ ├─ 発電手段選択
│ └─ エネルギーミックス
├─ 計画立案と実行
│ ├─ 長期的計画策定
│ └─ 政策決定者・関係者協力
└─ 社会的な意識の変革
├─ 市民意識
└─ 企業意識
└─ 環境に配慮した行動・持続可能なエネルギー利用

適宜ブランチを作成してくれました。

しかしここからが上手くいかないところでした。
リンクマップは「AだからBになる、BだからCになる」という構成をしています。
しかし上記を見る限り、以下のように構成されています。
・C、なぜならB、なぜならA、
・C、具体的にはB

そこで以下のように指示しました。

代替発電に切り替えたとき、時系列として先に起こることが最初のブランチになるよう再構成してください。内容はできるだけ失わないようにしてください。

しかしアウトプットはほとんど変わりませんでした。「時系列として先に起こる」ということの意味が分からないのかもしれません。

そのため、「なぜ」を挟んでほしいと思って以下のように指示しました。

あなたはそれらがなぜ起こるのか詳細に知っています。それぞれのブランチの間になぜそれが発生するのか一階層追加して書いてください。これを3回繰り返した結果をアウトプットしてください。

マインドマップ 「なぜ」

石炭火力発電から代替発電への移行
├─ 計画立案と実行
│ ├─ 長期的計画策定
│ │ └─ 移行には時間とコストがかかるため
│ └─ 政策決定者・関係者協力
│ └─ 複数の分野やステークホルダーが関与するため
(以下略)

内容としては良いのですが、後ろにつけてしまいました。
これは実際のディベーターもやってしまうことなのですが、思いついた順に書いてしまうとA→B→Cの構成にならず、これをシステムマップにして立論にしていく段階で再構成をすることになって論理が破綻する例が多いです。
リンクマップは初心者の時に教わるもので、しかもブレスト段階で使うので、良い悪いという評価を与えられないことが多いです。しかし、リンクマップの理論というのは本来もっと共有されるべきでしょう。

以下のように指示してみました。

あなたは抽象的な分類から具体化しているようです。具体的で時系列として先に起こることが先に書かれるように書き直してください。

ほとんど出力が変わりませんでした。

もっと直接的に理由が結論より先になるように指示しました。

あなたは結論の後に理由を書いているようです。理由が結論より先になるように書き直してください。

最初からこう言えば伝わったのだと思います。

前回同様mermaidのMindmapの例をコピペしてこのように書くように言います。
そこで気づいたのですが、リンクマップは肯定側なら青、否定側なら赤のように囲ったりしますよね。色で分類するのがmermaid.Mindmapの性質上できなかったので、代わりに文頭にメリットならM、デメリットならDMを付けるように指示しています。

すると、9割方Mであることが分かりました。
そこで、以下のように否定側の意見を求めました。

否定側の意見が肯定側と同数出るように議論を追加して書き直してください。

その後多少見た目の調整をし、以下のリンクマップを得ることが出来ました。

まとめ

最初に上げた問題点がどのように解決されたかまとめます。

  1. ChatGPTに多くの意見を出させられなかった。
    肯定側否定側に限定せず、最初にできるだけ多くの論点を出させることで、多くの意見を出させることができた。
  2. リンクマップにする過程で文字で議論がまとめられてしまい議論が広がらなかった
    今回はまとめる過程で情報を失わず、議論を広げることが出来た。
    意味があったと思われる指示は以下のもの。
    ・できるだけ内容を失わないように
    ・ブランチを適宜作成
    ・なぜ起こるのかの追加
    ・理由を結果より前に書く
    ・メリットとデメリットが同数になるように否定側の意見を追加

以上から、議論を広げるということにも意味があるように感じました。

人間のリンクマップ作りを奪うのか

今回はかなり良く出来たと思うのですが、それでも「論題の最初に読む本の目次だな」という感じがします。ChatGPTはブレストするけどリサーチしない部員の一人として迎えてあげたらよいと思います。
みなさんがこれ以下のリンクマップを書いているとしたら、もっと多くの論点を認識する必要があるでしょう。これ以上のリンクマップを書けているなら、何の心配もありません。

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