Cosmos DB in Fabric 登場 - Mirroring との比較を添えて-
Cosmos DB in Fabric 登場 - Mirroring との比較を添えて-
はじめに
先日 Microsoft Build 2025 にて、Cosmos DB in Fabric のプレビューが発表されました。SQL DB in Fabric に続く第 2 弾として登場した機能ですが、Mirroring 機能との違いも含め整理しようと思いこの記事を書いています。
参考にしたサイトもぜひご覧ください。
- Fabric Blog — Cosmos DB is now directly available in Fabric (Preview)
- Azure Blog — Powering the next AI frontier with Microsoft Fabric and the Azure Data Portfolio
本記事では、Cosmos DB in Fabric の概要と Mirroring 機能との比較をメインに紹介します。なお、本機能はプレビュー段階のため、ブログ内容と異なる点が今後出てくる可能性があります。更新には努めますが、あらかじめご了承ください。
Cosmos DB in Fabric とは
“SaaS × 統合型データプラットフォーム” 第 2 弾としての Cosmos DB
以前 SQL DB in Fabric が登場し、東日本リージョンの Fabric でも利用可能となりましたが(それに関するブログは書いていません)、今回その「Fabric 上にトランザクション DB をワンプッシュで作れる」シリーズの第 2 弾として、Semi‑Structured(JSON など)データを扱える NoSQL DB を Fabric で作成できるようになりました。Fabric が掲げる “SaaS × 統合型データプラットフォーム” 実現の一環ですね。
このリリースのポイントは次のとおりです。
- Fabric UI から Cosmos DB を選ぶだけでワンクリック作成。SaaS 型なのでインフラ管理が不要
- Cosmos DB in Fabric に格納されたデータは OneLake で利用でき、Analytics / BI で即時活用が可能
- Azure Cosmos DB が提供する Vector Search を標準サポートし、AI ワークロードに対応
ポイント 2 ですが、Cosmos DB のデータは Delta 形式で OneLake に反映されるため、Power BI から DirectLake でリアルタイムに可視化できます。Mirroring との比較は後述しますが、Cosmos DB in Fabric は書き込みもできるため、Fabric ノートブックで分析し、そのままデータを更新するといった操作も可能です。
Vector Search については DiskANN + Hybrid Search をサポートしているようです。Fabric 内で RAG などの AI ワークロードを完結できるのは魅力的ですね。検証できたら別記事で紹介したいと思います。
作成方法
ここでは作成手順を簡単に記載します。とはいえ “ワンクリックで作成” を謳っているため、ほとんど説明は要りません。
Fabric を開き、ワークスペースで「New Item(新しい項目)」を選択します。
上の画像は、あえて Mirroring された Cosmos DB も含めたスナップショットです。選択を間違えないように注意してください。
あとは名前を付けるだけ。Azure Cosmos DB を通常作成する際に必要なリソースグループや容量モード(Provisioned / Serverless)、冗長性、ネットワーク、バックアップ設定などは Cosmos DB in Fabric では不要 です。SaaS DB であることを実感できます。ここで終わりでは寂しいので、Cosmos DB in Fabric の中身を少し見てみましょう。プレビューにつき機能追加などの変更がある点はご了承ください。
作成すると次のような画面になります。
Azure Cosmos DB を使ったことがある方ならお分かりでしょうが、Data Explorer そっくりです。操作に慣れている方であればすぐに使いこなせるはずです。
試しに Sample という Collection(Cosmos DB コンテナー)を作成してみました。
ここでも Azure Cosmos DB の Data Explorer とほとんど変わりません。JSON ファイルをアップロードしてデータを格納することもできます。
Collection の設定でも TTL の有無や Index Policy の編集が行えます。
Mirroring との比較
Mirroring vs. Cosmos DB in Fabric
Fabric には既存の Cosmos DB を OneLake に“持ってくる” Mirroring 機能があります。Mirroring の目的は 既存 Cosmos DB データを No‑ETL で OneLake へ複製 することで、結果は読み取り専用のレプリカです。
一方 Cosmos DB in Fabric は OLTP + 分析を Fabric 内で完結 する目的で使われることを想定しています。主な違いを以下にまとめました。
観点 | Cosmos DB in Fabric | Cosmos DB Mirroring |
---|---|---|
目的 | OLTP + 分析を Fabric 内で完結 | 既存 Cosmos DB データを No‑ETL で OneLake へ複製 |
書き込み可否 | Fabric から CRUD 可能 | Fabric 側は読み取り専用。更新は元 DB で実施 |
コスト | 現在は CU 無料、正式リリース時に RU ⇔ CU 換算ルール発表予定 | レプリケーション自体は無料 |
前提条件 | Fabric から新規作成のみ | 既存 Cosmos DB 必須、Continuous Backup 有効化と Public Network 許可が必要 |
これらの違いから、Mirroring は既存リソースを ETL なしで Fabric 内で分析したいシナリオ向け、Cosmos DB in Fabric はインフラ管理が不要な NoSQL DB を新規で立てたい場合や RAG など AI ワークロードに適すると考えられます。まだ登場したばかりなので、今後さらなる使い方が増えるかもしれません。
まとめ
以上です。今後も機能は拡張される見込みのため、引き続き情報を追いかけて本ブログを更新していきます。新しい記事も公開予定ですので、ぜひそちらもご覧ください。
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