Azure Center for SAP Solutions (ACSS) を使って SAP on Azure の展開 (つづき)
前回からしばらく時間が空いてしまいました..。
今回は SAP ソフトウェアのインストールと、SAP GUI から接続してみます。
- ACSS の展開を行うネットワークインフラストラクチャーの構築
- ACSS インフラストラクチャーの展開
- SAP インストールメディアの準備
- SAP インストール (ここから)
4. SAP インストール
初めに今回は高可用性を選択しているので、サービス プリンシパルを作成しておきます。高可用性の場合、Pacemaker によりクラスター管理が行われます。
このクラスター管理で要となるが、フェンスエージェント であり、
サービスが稼働するプライマリノードの調子が悪いことを察知した場合、そのノードを停止、プライマリの変更を行います。
この停止を行うために、サービスプリンシパルをフェンスエージェントに持たせます。
$ az ad sp create-for-rbac --name labacssfencing --role owner --scopes "/subscriptions/<サブスクリプション ID>"
Creating 'owner' role assignment under scope '/subscriptions/<サブスクリプション ID>'
The output includes credentials that you must protect. Be sure that you do not include these credentials in your code or check the credentials into your source control. For more information, see https://aka.ms/azadsp-cli
{
"appId": "<appID>",
"displayName": "labacssfencing",
"password": "<password>",
"tenant": "テナントID"
}
それでは、SAP のインストールを行います。
仮想マシン等のインフラ部分が展開し終わると、下のように "Software" が "Pending" 状態になっています。
また、対象 VIS を選択すると、SAP をインストールするようリボンが表示されますので、これをクリックします。
インストールに際して予め必要な事項の説明が表示されますので、
Next を選択します。
インストールするソフトウェアのバージョン、および BOM (Bill of Material) ファイルの保存場所を選択します。
BOM ファイルは先のメディアをダウンロードしたストレージ アカウントにあります。
次に、冒頭で作成したサービス プリンシパルの appId
および password
をそれぞれ入力します。それが完了するとインストールが始まります。
インストールの工程と進捗画面になります。
進捗の更新は非同期に行われますので、この画面以外に遷移したとしても処理が中断されることはありません。
インストールが終わると VIS 一覧の画面でも完了している表示に替わります。
インフラの展開時と同様に、SAP ソフトウェアのインストールや各種設定も Ansible にて実行されており、ACSS の展開時に作られたストレージ アカウント (リソースグループ mrg-SID-xxxxxx に作成) に格納されています。
ここまでで、高可用構成で SAP システムの展開ができました🎉
それでは最後に、SAP GUI から接続を行ってみます。
app
サブネットに winclient
(Windows Server 仮想マシン) を展開します。
仮想マシンの展開を終えたら、SAP for Me より SAP GUI をダウンロードします。
解凍し SAP_GUI_for_Windows_8.00_Comp._1_\PRES1\GUI\Windows\Win64
フォルダにある SapGui64Setup
ファイルを開きます。
下記画面の選択を除き、ウィザードで特段変更なく進めてインストールを終えます。
次に、SAP GUI から接続するに際して、メッセージサーバー (ACSC) に接続する必要がある。
このメッセージサーバーの TCP ポートを C:\Windows\System32\drivers\etc\services
に設定する。
# 記載内容
sapms<SID> 36<ASCS インスタンス番号>/tcp
# 記載例
sapmsyo1 3600/tcp
参考; 既定のインスタンス番号
また、クライアントから ASCS および App サーバーの FQDN 名にて名前解決が必要になります。
ここでは簡易的に hosts ファイルに書いておきます。
10.23.0.8 yo1ascsvm0.yo1.contoso.com
10.23.0.9 yo1ascsvm1.yo1.contoso.com
10.23.0.4 yo1appvm0.yo1.contoso.com
10.23.0.5 yo1appvm1.yo1.contoso.com
これで準備が整ったので、SAP GUI を起動し接続情報を入力する。
ACSC に接続する場合には、"Connection Type" で "Group/Sever Selection" を選択します。
すると、先に入力した内容を元に、接続先が選択されますので、"Next" を押します。
次の画面では、Client ID (000
) および User (例えば SAP*
) を入力します。
パスワードは、リソースグループ mrg-SID-xxxxxx に作成されるキーコンテナーに格納されていますので、
そちらにて確認します。
これでログインができました。
以上、Azure Center for SAP Solutions (ACSS) で SAP システムの展開を行いました。
この他にも既存 SAP システムの登録や、監視エクスペリエンスとの統合など、まだまだ紹介しきれていないシナリオがありますので、
ご興味があればご確認いただけると幸いです。
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