Azure Stack HCI (23H2) に Azure Portal から VM を立てる
Azure Stack HCI (23H2) に Azure Portal から VM を立てる
Azure Stack HCI はオンプレミスにハードウェアを設置するものですが、実は、Azure上に VM をデプロイするかのように、 Azure Portal から Azure Stack HCI 上に VM をデプロイすることができます。
上図イメージのように、利用者はいつも Azure Portal を利用しながら、用途に応じて、例えば、社外に出しづらい処理を実施するサーバー類はオンプレミス上の Azure Stack HCI クラスター上にデプロイしよう、といったデプロイ先の使い分けができます。
また、Azure Portal でデプロイできるということは、実際には ARM テンプレートを作成した上で API を通じて デプロイ を実施する (つまり IaC になっている) ということであり、一度作成したテンプレートを使いまわして、同じ構成の VM を何度もデプロイするといったことも可能になります。
手順
以下の手順で Azure Stack HCI 23H2 に VM をデプロイしてみます!
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- Azure Marketplace から VM イメージを追加する
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- 論理ネットワークの作成
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- Azure Stack HCI 上に、仮想マシンを作成
なお、今回利用する Azure Stack HCI クラスターは、hcibox で用意した疑似環境となっています。hcibox の環境を用意する手順は別途記載していますので、そちらを参照ください。
Step1. Azure Marketplaceから VM イメージを追加する
Azure Portal から Azure Stack HCI 上への VM デプロイを行うためには、Azure Stack HCI クラスター上に VM イメージ を予め用意し、かつ、そのイメージを Azure から指定できる( Azure から認識できる)必要があります。
Azure Stack HCI クラスター上に VM イメージを用意する方法はいくつかありますが、今回は、Azure Marketplace で提供されているイメージを使用して、Azure Stack HCI VM イメージを準備していきます。
Azure Portal - [Azure Arc] - [Azure Stack HCI] - [すべてのクラスター] と進み、作成済みの Azure Stack HCI クラスターを開くと、リソース欄に [VMイメージ] というメニューがあります。
[VMイメージの追加] を開き、Azure Marketplace から VM イメージを追加していきます。なお、Azure Marketplace から追加する VM イメージで現在選択可能なのは以下のイメージとなっています。
今回は、Windows Server 2022 Datacenter: Azure Edition - Gen2
イメージを選択して、VM イメージを追加していきます。
VMイメージを Azure Stack HCI 上のどのクラスター共有ボリューム (CSV) に配置するかは、Azure Stack HCI 上の CSV と対応する Azure リソースである ストレージパス を選択するかたちで指定できます。
実施時の各画面のキャプチャは、以下に畳んで記載しておきます。
Azure Marketplace から VM イメージを追加する : 画面キャプチャ
[VMイメージの追加] を開き、Azure Marketplace から VM イメージを追加していきます。
ダウンロードするイメージを選択し、イメージ名等を指定します。
[確認及び作成] に進み、続けて、[作成] を選択します。ダウンロードが開始されます。
ダウンロードにかかる時間は、イメージのサイズやネットワーク環境によって異なりますが、今回は 3時間程度 かかりました。
Step2. 論理ネットワークの作成
Azure Stack HCI 上にデプロイする VM を、どのようなネットワークに所属させるのかを指定するためには、VMイメージの場合と同様、Azure が認識できる Azureリソース が必要になります。
この Azure Stack HCI 上にどのようなネットワークが存在するかを示す Azureリソース が、論理ネットワーク です。
論理ネットワークは、DHCP があれば動的に指定することも、静的に指定することもできます。静的にした場合には、デフォルトゲートウェイや DNS サーバーも指定する必要があります。
また、非常に面白い点として、論理ネットワーク自体は静的であっても、デプロイする VM の IP アドレス について動的に払い出すことができる、というものがあります。
それでは論理ネットワークを作成していきます。
なお今回は、Azure Stack HCI の環境は、実機ではなく、HCIBOX を利用した疑似環境となっています。
HCIBOX の場合、作成されていた ネットワーク周り の構成は、以下のようになっており、VLAN200 にタグ付けされた 192.168.200.0/24 サブネット を利用して論理ネットワークを作成しています。
HCIBOX のネットワーク構成
今回、 VLAN200 にタグ付けされた 192.168.200.0/24 サブネット を利用して、 論理ネットワークの作成 を行っていきます。
[論理ネットワーク]を開き、[論理ネットワークの作成] より、論理ネットワークを作成していきます。
論理ネットワーク名は、Azureリソースとして表示される名前ですので、判別しやすいものを指定します。
仮想スイッチ名は、Azure Stack HCI クラスター上に存在する 外部VMスイッチを指定する必要があります。外部VMスイッチについては、以下コマンドを Azure Stack HCI ノード上で実行して確認が可能です。
AZSHOST01 > Get-VmSwitch -SwitchType External
Name SwitchType NetAdapterInterfaceDescription
---- ---------- ------------------------------
ConvergedSwitch(hci) External Teamed-Interface
ネットワーク構成 タブ で、DHCP を利用するか、静的に指定するかを選択します。
静的の場合には続けて、アドレス空間、IP プール、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー、VLAN ID を指定します。
DHCP を利用する場合には、他には VLAN ID を指定するのみです。
デプロイは数分で完了します。
なお、HCIBOX の場合には、以下記載の通り、論理ネットワークを作成してくれるスクリプトが用意されています。
Step3. 仮想マシンの作成
いよいよメインとなる、Azure Stack HCI 上への VM 作成です。
[仮想マシン] から [VM の作成] を選択し、VM の作成を行っていきます。
作成時に選択できる項目のキャプチャを載せておきます。
- サブスクリプション/リソースグループの指定
- 仮想マシン名の設定
- セキュリティの種類 : 標準/トラステッド起動
- ストレージパス (仮想マシンの OS ディスク、構成ファイル、ISO ファイルを配置するCSV) を : 自動選択/手動選択
- VM イメージの選択 (Step1 で追加した VM イメージ)
- vCPU 数、メモリサイズ の設定 (動的にした場合には、最小 と 最大メモリ も指定)
- ゲスト管理を有効化
- ローカル管理者アカウントを設定
- ドメイン参加の設定(WindowsVMイメージを選択し、ゲスト管理を有効化していた場合に、可能)
追加でデータディスクを作成し、紐づけすることができます。(キャプチャでは osdisk と名前付けしようとしていますが、実際にはデータディスクであり、不要であれば紐づけしないことも可能です…笑)
ネットワークの設定を行います。任意のネットワークインターフェース名を入力し、論理ネットワーク (Step2 で作成した論理ネットワーク) を選択して作成します。
今回は、論理ネットワーク自体は静的ですが、ネットワークインターフェースに対しては動的割り当てするように、作成を行いました。
確認して作成を実施します。
20分程度と少し時間がかかりましたが、デプロイが完了しました。
確認してみよう!
Azure Portal の Arc マシン、Windows Admin Center 、Hyper-V管理ツール、どのツールからも VM が作成されていることが確認できます。
Azure Portal の Arc マシン で check
Azure portal の Windows Admin Center で check
Local の FailoverCluster 管理ツール / Hyper-V 管理ツール で check
ログインしてみる
今回構築した VM の Private IPaddress へ疎通可能なオンプレミス側PCのから、RDP をして確認してみます。
Azure Portal からデプロイする際に設定した ローカル管理者アカウント で、無事に接続ができました。
今回構築した VM (赤枠内) をいくつか確認すると、OS version が 2022 Datacenter Azure Edition となっていることなどが確認できます。
論理ネットワークで指定しておいた DNS や GW 設定に従って、名前解決や外部との疎通が可能であることや、デプロイ時に追加を指定した DataDisk が搭載されていることも確認できます。
参考
Discussion