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ルーティング設定
- ルーティングとは
- ネットワークパケットの経路選択のこと
- 「データの配送経路」のようなもの
- パケットを最適な経路で目的地まで届ける仕組み
- ルーティングテーブル
- パケットの経路情報を保持するテーブル
- 「配送先の住所録」のようなもの
ルーティングテーブルの確認方法:
# 現在のルーティングテーブルを表示
ip route show
# または従来のコマンド
route -n
出力例:
Destination Gateway Genmask Flags Interface
0.0.0.0 192.168.1.1 0.0.0.0 UG eth0
192.168.1.0 0.0.0.0 255.255.255.0 U eth0
- 主要な用語解説:
-
Destination(宛先)
- パケットの配送先ネットワーク
- 0.0.0.0はデフォルトルート(どこにも該当しない場合の転送先)
-
Gateway(ゲートウェイ)
- パケットを転送する次のルーター
- 0.0.0.0は直接接続されているネットワーク
-
Genmask(サブネットマスク)
- ネットワークの範囲を指定
- 255.255.255.0は/24と同じ意味
-
Interface(インターフェース)
- パケットを送出するネットワークインターフェース
- eth0, eth1などの物理インターフェース
- ルーティングの設定方法
静的ルートの追加:
# 新しいルートの追加
ip route add 192.168.2.0/24 via 192.168.1.254
# または従来のコマンド
route add -net 192.168.2.0/24 gw 192.168.1.254
ルートの削除:
# ルートの削除
ip route del 192.168.2.0/24
# または従来のコマンド
route del -net 192.168.2.0/24
- よく使用されるルーティング設定
デフォルトゲートウェイの設定:
# デフォルトルートの追加
ip route add default via 192.168.1.1
# または従来のコマンド
route add default gw 192.168.1.1
- 永続的な設定方法
Debian/Ubuntu系:
# /etc/network/interfaces に記述
auto eth0
iface eth0 inet static
address 192.168.1.10
netmask 255.255.255.0
gateway 192.168.1.1
RedHat/CentOS系:
# /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0 に記述
DEVICE=eth0
BOOTPROTO=static
IPADDR=192.168.1.10
NETMASK=255.255.255.0
GATEWAY=192.168.1.1
- LPIC試験でよく出題されるポイント:
- ルーティングテーブルの読み方
- 静的ルートの追加・削除方法
- デフォルトゲートウェイの設定
- ネットワークインターフェースの設定
- 設定ファイルの場所と書式
- ipコマンドとrouteコマンドの違い
- 実践的な例:
異なるネットワーク間の通信設定:
# ネットワークA(192.168.1.0/24)からネットワークB(192.168.2.0/24)への経路設定
ip route add 192.168.2.0/24 via 192.168.1.254
トラブルシューティング:
# ルーティングの確認
ip route show
# 経路の追跡
traceroute 192.168.2.10
# パケットの到達確認
ping 192.168.2.10
routeコマンドについてもっと詳しく
routeコマンドには2つの形式があります:
-
route
コマンド(従来の形式) -
ip route
コマンド(新しい形式)
両方とも同じような機能を持っていますが、今回は従来のroute
コマンドを中心に説明します。
- 基本的なrouteコマンド
# ルーティングテーブルの表示
route
route -n # IPアドレスを数値形式で表示(ホスト名を解決しない)
- よく使用するrouteコマンドのオプション
-n # ホスト名を数値で表示
-v # 詳細な情報を表示
-A # アドレスファミリーの指定
-F # ルーティングテーブルの表示
- ルートの追加(add)
# 基本形式
route add [-net|-host] 宛先 netmask サブネットマスク gw ゲートウェイ
# 具体例
route add -net 192.168.2.0 netmask 255.255.255.0 gw 192.168.1.1
route add -host 192.168.2.10 gw 192.168.1.1
- ルートの削除(del)
# 基本形式
route del [-net|-host] 宛先
# 具体例
route del -net 192.168.2.0 netmask 255.255.255.0
route del -host 192.168.2.10
- デフォルトゲートウェイの設定
# デフォルトゲートウェイの追加
route add default gw 192.168.1.1
# デフォルトゲートウェイの削除
route del default
- 実際の使用例と出力の見方
ルーティングテーブルの表示例:
$ route -n
Kernel IP routing table
Destination Gateway Genmask Flags Metric Ref Use Iface
0.0.0.0 192.168.1.1 0.0.0.0 UG 0 0 0 eth0
192.168.1.0 0.0.0.0 255.255.255.0 U 0 0 0 eth0
各フィールドの意味:
- Destination: 宛先ネットワーク
- Gateway: ゲートウェイアドレス
- Genmask: サブネットマスク
- Flags: ルートの状態フラグ
- U: ルートが有効
- G: ゲートウェイを使用
- H: 特定のホスト向け
- Metric: 経路のコスト
- Ref: 参照カウント
- Use: ルートの使用回数
- Iface: 使用するインターフェース
- よくある設定例
特定のネットワークへのルート追加:
# 192.168.2.0/24ネットワークへのルート追加
route add -net 192.168.2.0 netmask 255.255.255.0 gw 192.168.1.254
# 特定のホストへのルート追加
route add -host 192.168.2.10 gw 192.168.1.254
- LPIC試験でよく出題されるポイント
- routeコマンドの基本的な使い方
- ルーティングテーブルの読み方
- フラグの意味(U, G, H など)
- デフォルトルートの設定方法
- ネットワークルートとホストルートの違い
- トラブルシューティングの例
# 現在のルートを確認
route -n
# 特定の宛先への経路をテスト
ping 192.168.2.10
# 経路の追跡
traceroute 192.168.2.10
実は、ip route
コマンドはroute
コマンドの後継として開発されました。両方とも使えますが、最近のLinuxディストリビューションではip route
の使用が推奨されています。ただし、LPIC試験では両方の形式について理解しておく必要があります。
特に気を付けるべきポイント:
-
-net
と-host
の使い分け - netmaskの正しい指定
- デフォルトルートの設定方法
- フラグの意味