「Hey, Siri」でmomoを起動し、外から自宅の様子を見れるようにした話

公開:2021/01/02
更新:2021/01/10
9 min読了の目安(約8600字TECH技術記事

やりたいこと

iPhoneに「Hey Siri, 家の様子を見せて」のように呼びかけると、Safariで家の様子(ペットや、子供の様子など)見れるようにしよう、というのが今回の狙いです。そのために次のアプリやサービスを利用します。

  • Raspberry Pi (Zero, 3, 4 など)
  • WebRTC Native Cleint Momo
  • Sora Labo
  • HomeKit
  • Homebrige

全体図はこちらです。

全体図

WebRTC Native Client Momo とは

WebRTC Native Client Momoとは、時雨堂が公開している、WebRTCを使えるネイティブクライアントアプリです。

Webブラウザで利用することが多いWebRTCを、ネイティブアプリとして利用できるようにしたオープンソースソフトウェアです。
映像、音声の送信だけでなく、受信にも対応しています。単独で使ったり、同じく時雨堂が提供しているサーバーと連携して利用できます。

複数のプラットフォームをサポートしていますが、Raspberry PiやJetsonシリーズなど、小さなコンピューターの性能を使い切ってくれるところが非常に魅力的です。

Sora Labo とは

同じく時雨堂が開発しているWebRTC SFU Soraを試すことができるサービスです。検証用途なら無料で利用できます。(法人の場合は検証用途でも申請が必要です)

HomeKitを使うには

HomeKitはAppleの提供するスマートホーム用のサービスで、インターネット経由でも利用できます。HomeKitを利用するには、家のネットワークに中心となる「ホームハブ」を設置する必要があります。2020年12月現在、「ホームハブ」として利用できるのは次の3つです。

  • AppleTV(第3世代以降)
  • iPad
  • HomePod / HomePod mini

AppleTVを持っている人は、それを利用するのがスムーズです。私はiPadで利用してますが、安定して利用するには常時ACアダプターにつないでおく必要があります。ホームハブの設定については省略します。公式ページなどを参考にしてください。

Homebridgeとは

Appleのスマートホーム向けの仕組みであるHomeKitに、対応デバイス以外をつなぐことができるソフトウェアです。npmで対応するプラグインを探すことができます。

こちらも色々なプラットフォームで動作しますが、スマートホームと言ったらRaspberry Piで動かしたくなります。

Raspberry piにmomoをインストール

今回はRaspberry Pi 4にセットアップしました。

ダウンロード

こちらの手順にしたがってモジュールをダウンロード、解凍します。

また未インストールであれば、libnspr4, libnss3といった関連するライブラリもインストールしてください。

テストモードでの確認

USBカメラまたはRaspberry Piのカメラモジュールを接続し、こちらの手順にしたがってテストモードで起動します。

./momo --no-audio-device test

この時、カレントディレクトリに解凍してできたhtmlフォルダーが必要です。

momoが起動したら、ブラウザーで http://RaspberryPiのIPアドレス:8080/html/test.html にアクセスします。[Connect]ボタンをクリックして、カメラの映像が表示されることを確認しましょう。

Soraモードでの利用

momoの映像配信をインターネット経由で見たいので、サーバー連携させます。連携には次の2種類が選べます。

今回はSora Laboを使わせていただきました。GitHubアカウントでサインインして「シグナリングキー」を取得しておきます。

検証目的では無料で利用できますが、条件があるので確認しておきましょう。

  • 商用目的での利用できません
  • Sora Labo は検証目的以外では利用できません
  • 法人や個人事業主での利用は申請が必須です

などなど。
Soraモードでのmomoからの映像配信は次のように行います。

./momo --no-audio-device sora wss://sora-labo.shiguredo.jp/signaling githubのID@ルーム名 \
 --auto --audio false --video true --video-codec-type H264 --video-bit-rate 800  \
 --role sendonly --metadata '{"signaling_key": "取得したシグナリングキー"}'

ブラウザでの受信は、Sora Laboのダッシュボードから、「シングルストリーム受信」のサンプルを開き、ルーム名を指定してビデオコーデック「H264」を選んで接続、映像が受信できることを確認してください。

あるいは、私が用意したこちらのサンプルでも接続できます。

※長時間の接続はできませんので、momoおよびブラウザは確認が終わったら終了させてください。

momoの起動スクリプトの用意

後で利用するため、次の様にシェルスクリプト(sora.sh)を用意しておきます。今回は momo のバイナリを /home/pi/momo/ にインストールした場合を例にしています。自分の環境に合わせて、momoのバイナリをフルパスで指定してください。

#!/bin/sh

nohup /home/pi/momo/momo --no-audio-device \
 sora wss://sora-labo.shiguredo.jp/signaling githubのID@ルーム名 --auto \
 --audio false --video true --video-codec-type H264 --video-bit-rate 800 \
 --role sendonly --metadata '{"signaling_key": "取得したシグナリングキー"}' &

またシェルスクリプトには次の様に実行権限をつけておきます。

$ chmod +x sora.sh

Raspberry PiにHomebrigeをインストール

こちらの記事を参考に、Raspberry Pi 4にHomebridgeをインストールしました。

Homebridge本体

私の環境では、Node.jsやavahiはインストール済だったので、Homebridgeのインストールから実施します。また今回はグローバルではなく、ユーザー(ここではpiユーザー)のホームディレクトリ下にインストールしました。

$ cd
$ mkdir homebridge
$ cd homebridge
$ npm install homebridge

warningが出ますが、ひとまずインストールはできたようです。

$ npx homebridge

として起動されることを確認します。

プラグイン

Homebridgeはいろいろのなプラグインを利用できるのが魅力です。

今回はこちらのプラグインを利用します。

$ npm install homebridge-cmdswitch2

Homebridgeの指定

Homebridgeをインストールすると、 ~/.homebridge ディレクトリができているはずです。そこに設定ファイルを作成します。

$ cd ~/.homebridge/
$ vi config.json

config.jsonの内容は次の様になります。 platforms の部分か今回設定する箇所です。

config.json
{
    "bridge": {
        "name": "Homebridge",
        "username": "xx:xx:xx:xx:xx:xx",
        "port": 51826,
        "pin": "xxx-xx-xxx"
    },

    "description": "raspberry4",

    "accessories": [],

    "platforms": [{
      "platform": "cmdSwitch2",
      "name": "MultiSwitch",
      "switches": [{
        "name" : "momo",
        "on_cmd": "/home/pi/momo/sora.sh",
        "off_cmd": "killall momo",
        "state_cmd": "ps h -C momo",
        "polling": true,
        "interval": 5
       }]
    }]
  • on_cmd ... オンにする際に実行するコマンド
    • 用意したシェルスクリプト(sora.sh)を絶対パスで指定します(パスは環境に合わせて修正してください)
  • off_cmd ... オフにする際に実行するコマンド
    • プロセス名前を指定してkillする、簡易的な対応
  • state_cmd ... 状態取得のためのコマンド
    • ps でプロセス名を探すことで、簡易的に実現

起動の確認

Homebridgeをインストールしたディレクトリに移動し、次の様に起動します。

$ npx homebridge

iPhoneやMacの「ホーム」アプリに、momoが表示されればOKです。タップしてオン/オフが切り替わることを確認してください。

Macのホームアプリ

同時に、次のことも確認します。

Homebridgeの自動起動

ここまで準備ができたら、こちらの記事を参考にsystemdを使ってHomebridgeを自動起動させます。

関連ファイルの用意

下記はpiユーザーのホームディレクトリに設定ファイルを置いた場合の例です。実際の環境に合わせて設定してください。

# Defaults / Configuration options for homebridge
# The following settings tells homebridge where to find the config.json file and where to persist the data (i.e. pairing and others)

HOMEBRIDGE_OPTS=-U /home/pi/.homebridge
[Unit]
Description=Node.js HomeKit Server
After=syslog.target network-online.target

[Service]
Type=simple
#User=homebridge
User=root
EnvironmentFile=/etc/default/homebridge

# Adapt this to your specific setup (could be /usr/bin/homebridge)
# See comments below for more information
#ExecStart=/usr/local/bin/homebridge $HOMEBRIDGE_OPTS
ExecStart=/home/pi/homebridge/node_modules/homebridge/bin/homebridge $HOMEBRIDGE_OPTS

Restart=on-failure
RestartSec=10
KillMode=process

[Install]
WantedBy=multi-user.target

今回はhomebridgeをグローバルにインストールぜすに、piユーザーのホームの下にインストールしているため、それに合わせた設定にしています。実際の環境に合わせて適宜記述してください。
またユーザーは手を抜いてrootで起動していますが、適宜実行用のユーザーを作って、その権限で起動してください。

サービスの登録

$ sudo systemctl daemon-reload
$ sudo systemctl enable homebridge
$ sudo systemctl start homebridge

これでhomebridgeが自動起動するようになりました。リブートして確かめてください。

Siriとの連携

最後は、iPhoneのSiriを使ってmomoの起動ができるようにします。

ショートカットアプリへの登録

iPhoneに「ショートカット」アプリがあるので、それを利用します。使い方は公式サイトを参考にしてください。

参考までに、私が用意したショートカットの内容はこちらです。

ショートカットの設定例

同様に、たとえば「モモを消す」ショートカットも作成し、momoをオフにします。

ショートカットの実行

ショートカットアプリを開いて「モモを見る」をタップすると、次の2つが実行されます。

  • ホームアプリを使って、momoをオンに
  • Safariで配信を見るためのページをオープン

あとはSafariで[connect]ボタンをタップすれば、どこからでもmomoの映像を見ることができます。

Siriで起動

作成したショートカットは次の様にSiriを使って呼び出すことが可能です。

  • 「Hey Siri, モモを見る]
  • 「Hey Siri, モモを消す」

まとめ

momo, Sora Labo, HomeKit + Homebridge, Siri + ショートカットアプリ、を組みあわせることでiPhoneから自分の家の様子を見ることができるようになりました。残念ながら外出する機会自体が減っている今日この頃ですが、何かの参考になれば嬉しいです。