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知らないでは済まされないオープンソースのライセンス
OSSライセンス
OSSライセンスについて個人的にまとめてみました。ただ、私は法務関係者ではないので理解が正確ではない箇所もあるかもしれません。正確な理解をしたい場合は原文を読むことをお勧めします。
そもそもOSS(オープンソース)とは?
- ソースコードが入手可能で、なおかつ誰でも自由に利用、改変、再配布 が可能なライセンスをOSSライセンスと呼ぶ。
- Open Source Initiative(OSI)がOSSの定義を公開している。
注意点
- ソースが開示されているだけでOSSを名乗るのは不適切。
- 無料のソフトであっても、ソースが開示されていなかったり、OSSの定義に反した制限があったりする場合はOSSではない。
- ライセンスに従えば商用、非商用問わず使える。売っても構わない。
- 著作権を放棄したわけではない
ライセンスって何だっけ?
- 英語の"License"は認可、許可という意味。
- ソフトウェアにおけるライセンスとは、この条件を守ればこのソフトウェアを使ってもいいという使用許諾のこと(例: お金を払う、非商用に限る…etc.)。
注意点
- ソフトウェア・ライセンスの根拠は主に各国の著作権法であり、ライセンスは法律そのものではない。
- ライセンスを準拠せずにソフトウェアを使うということは不正コピーを使うのと同義、コンプライアンス違反。
OSSライセンスのカテゴリ
数多あるOSSライセンスはざっくりと3つのカテゴリに分けられる。
- コピーレフト型 (伝播性が強い)
- コピーレフトなソフトウェアに依存するソフトウェアは、同じライセンスを適用しなければならない。
- 準コピーレフト型 (コピーレフト型より伝播性が少し弱い)
- 準コピーレフトなソフトウェアを”組み込んで”使う場合は、同じライセンスを適用しなければならない。
- 非コピーレフト型 (最も制限が緩い)
- 非コピーレフトなソフトウェアを利用するソフトウェアであっても、同じライセンスを適用する必要はない。
コピーレフト?
コピーレフトとは一言でいうと伝染型のライセンス。コピーライトをもじってコピーレフトと名付けられた。一種の洒落。
著作権を保持したまま、二次的著作物も含めて、誰でも著作物を利用・改変・再配布できなければならないという考え方。
利用者に制限を課すコピーライト(著作権)の仕組みを逆手に取って、自由を強制できるようにした。
メリット
- 永久に自由が保証される。一般使用者が気をつけるべきことはほぼない
デメリット - コードを独占的に使用することはできない
- 企業に嫌煙されやすい
代表的なOSSライセンス
コピーレフト型
- GNU GPL
準コピーレフト型
- GNU LGPL
非コピーレフト
- BSD License
- MIT License
- Apache License
GNU GPL
使用例
- Linuxカーネル
- GIMP
- GCC
要点
- 誰でも自由に利用・改変・再配布できる
- 著作権表示の明記義務
- 無保証
- GPLなコードを含んだソフトウェアを配布する場合は改変部分もGPLライセンスにしなければならない
- 対象ソフトウェアを利用する場合に限り、対象ソフトウェアに含まれる特許を自由に利用できる (ver. 3から)
GNU LGPL
使用例
- 7-Zip
要点
- 誰でも自由に利用・改変・再配布できる
- 著作権表示の明記義務
- 無保証
- LGPLのソフトウェア自身を修正・改変して配布する場合はLGPLにしなければならない
- LGPLを利用したソフトウェアを配布する場合、そのソフトウェアはユーザ自身のための改変とリバース・エンジニアリングを許可しなければならない
補足
- ライブラリに使われていることが多い。
- 外部ライブラリとして使用する場合でもリバースエンジニアリングは許可する必要あり。
- 静的リンクにするとLGPLの適用範囲になるという解釈が多い。
BSD License, MIT License
使用例
- FreeBSD
- jQuery
2条項BSD License, MIT License (ほぼ同じ規定)
- 著作権表示の明記義務
- 無保証
BSD Licenseのみ - 書面による特別許可なしに、著作権者の名前と貢献者の名前を使わない(3条項)
- ソフトウェアの機能あるいは使用について言及している広告媒体には、必ず謝辞を記載しなければならない(4条項)
補足
- BSD Licenseには、2条項、3条項、4条項のものがあり、制限が増えていく。
- BSDのソフトウェアとGPLのソフトウェアを結合すると全体がGPLになります。ただし、BSDのソフトウェアが消えてなくなるわけではないので、元のBSDのソフトウェアのみを参照しているソフトウェアはGPLの適用範囲にはならず、BSDのみを準拠していればOKです。
Apache License
使用例
- Apache
MIT Licenseとほぼ同じ条項に特許条項を追加したライセンス
- 著作権表示の明記義務
- 無保証
- 対象ソフトウェアを利用する場合に限り、対象ソフトウェアに含まれる特許を自由に利用できる
- 利用者が前述で与えられた特許に対して特許訴訟を起こした時点で、特許ライセンスは停止される
補足
著作権保持者が全員同意すればライセンスは任意のものに変えられます。ただし、一度公開したOSSは消えないのでユーザは変更前のOSSライセンスで配布済みのソフトウェアを使用できます。また、一度公開したOSSソフトウェアを誰かが再配布しても、それを止めることは出来ません。
まとめ
- コードを公開したくない場合に、コピーレフトなコードは使えない
- 非コピーレフトなライセンスでも著作権表示の義務がある場合が多い
参考文献
- 可知 豊 "オープンソース・ライセンスの談話室 よくある質問" https://www.catch.jp/oss-license/faq/
- Open Source Initiative, 八田真行訳 "オープンソースの定義" http://www.opensource.jp/osd/osd-japanese.html
- Free Software Foundation, Inc. "コピーレフトって何?" https://www.gnu.org/licenses/copyleft.html.en
- Free Software Foundation, Inc., 八田真行訳 "GNU 一般公衆利用許諾書" http://www.opensource.jp/gpl/gpl.ja.html
- Free Software Foundation, Inc., 八田真行訳 "GNU 劣等一般公衆利用許諾書" http://www.opensource.jp/gpl/gpl.ja.html
- Open Source Initiative "The 3-Clause BSD License" https://opensource.org/licenses/BSD-3-Clause
- Open Source Initiative "The MIT License" https://opensource.org/licenses/MIT
- The Apache Software Foundation "Apache License Version 2.0" https://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0
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