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【デブサミ2025登壇ブログ】mentoにおける Zoom SDKの活用方法とその学び

2025/02/19に公開

セッション概要

https://event.shoeisha.jp/devsumi/20250213/session/5595

登壇資料(私のパートのみ)

https://speakerdeck.com/matsumatsu20/mentoniokeru-zoom-sdknohuo-yong-fang-fa-tosonoxue-bi

はじめに

今回Developer SummitでZoomのセッションの中でZoomのSDKを活用している顧客の代表としてお話する機会をいただきました。何気に初めてのデブサミの参加だったのですが非常に楽しく、リラックスして臨めました。

mentoではコーチングの事業をしておりますが、オンラインセッションというビジネス上ど真ん中の部分にZoomを利用しています。また、ZoomのSDKの中でもMeeting SDKのZoom ISVという仕組みを使い、そこから最近ではVideo SDKを使ったビデオ通話機能自体の実装まで取り組んでおり、かなりZoomのエコシステムを活用している自負があります。

登壇資料はSpeakerDeckにあげていますが、補足もあるので当日お話した内容をこちらにブログとしてしたためます。

mentoにおけるコーチングの実現方法の歴史


mentoは2019年にサービスローンチし、そのタイミングではまだ対面でのコーチングと、オンラインでのコーチング半々くらいで運営していましたが、その後コロナ禍があり対面がほぼなくなったタイミングでオンラインコーチングに完全に切り替えています。
当時はコーチが持っているZoomやGoogle Meet等でMTGリンクを発行していただき、そこでコーチングを実施しただく、といった流れになっていたのですがそこからZoom ISVを活用しmentoのZoomリンクを発行する仕組みに変え、現在ではもう一歩進んでVideo SDKを用いた独自のビデオ通話機能を提供するに至っています。(一部の顧客のみ利用開始状態)

それぞれなぜやったのか、その結果どうなったのかを説明していきたいと思います。

Zoom ISVによるZoom Meetingについて

まず、当時の課題としてビデオ通話の仕組みを「中央集権」化したかった、というのがあります。
これは当たり前といえば当たり前なのですが、コーチがそれぞれビデオ通話サービスからリンクを発行する状態から、mentoの管理化でビデオ通話される状態に持っていく必要がありました。

目的としては以下の3つです

サービス体験の統一

そもそも、サービス体験として選ぶコーチによって体験が変わる、というのは非常に不自然です。顧客からすれば同じmentoというサービスのコンテンツの一つであり、そこでサービスの体験や品質の差分が出ることを是正したいと感じていました

ガバナンスの強化

法人のお客様の利用が非常に増えてきたタイミングでもあったため、ガバナンスを強化していく必要もありました。特にコーチングという機微な情報を扱う可能性が高いプロセスにおいて、下記のようなデータ活用も見越すと、早期に中央集権化を進める必要がありました

コーチングのデータを活用したプロダクト開発

コーチングの録画データを元にしたプロダクト企画の構想があり、それを実現するに当たりセキュリティ要件を満たしたmentoのストレージレイヤに一元管理する必要がありました。そのためにも個々のアカウントではなく、mentoが発行したビデオ通話システムの利用がMUSTでした

そのうえでなぜZoom ISVなのか

フレキシブル/スケーラブルな運用が可能

簡単に言うとISVとはオンデマンドにZoomユーザーを発行し、使った分だけ支払うというスキームです。アカウント発行も容易で、ログインレスでMeetingにも入れるため、我々のようなプラットフォームビジネスと非常に相性がよい仕組みです

https://explore.zoom.us/ja/isv/

コストメリット

プラットフォームビジネスならではですが、アカウントごとに仕様量が大きく異なったり時期要因など、利用量のボラティリティが高いので、従量課金の料金体系は明確にコストメリットがありました。
その分、時間あたりの単価はやや割高なので試算は重要です

使い慣れたUXで提供できる

これが非常に大きいメリットだと捉えているのですが、世の中の人はかなりZoomというインターフェースに慣れており、そのメリットは大きいです。中にはビデオ通話のことを「Zoom」と呼んでいる人もいるくらい人々に受け入れられているUXで、オンボーディングコストをかけずにサービス展開できるのは明確な強みになります

Zoom ISVの成果や学びについて

シームレスに全コーチングをmento管理下に移行完了

ユーザーとしても慣れたUXで提供でき、かつログインレスでアカウントを作る必要がないため非常にコスト低く導入が進み、スピーディーにすべてのコーチングをmento管理下に置くことができました

コーチングのデータを活用した機能開発の促進

元々の目的だったデータ活用機能については、コーチングのサマリーを自動で作成する「AIサマリー」としてリリース。お客様からも好評の声をいただいており、HRテクノロジー大賞の部門賞も受賞しました

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000048788.html

Zoom Video SDKの導入について

Zoom ISVには非常に満足していたものの、mentoとしてコーチングをする独自のビデオ通話機能を提供することになり、そこでVideo SDKの導入を意思決定しました。

まず、なぜ独自のビデオ通話機能を作る必要があったのかでいうと、理由としては以下の2点です

シームレスなプロダクト体験にしたい

現状のZoom ISVはあくまでもZoomなため、コーチングセッションZoomアプリが立ち上がり、プロダクトのユーザー体験が分断してしまいます。例えばその後すぐに内省のアンケート書いて欲しい、など、mentoのアプリケーションで連続的に体験を提供するのが難しく、シームレスなプロダクト体験にしたいと考えていました。

ビデオ通話の中にプロダクトとして介入できない

Zoom ISVを用いて、ビデオ通話の中に介入しようとすると、Zoomアプリを作ったりとあくまでのZoomのエコシステムの中で実現する必要があり制限が多くありました。その点、自作のビデオ通話機能であればそれが可能で、特にリアルタイムなデータ取得やそれを元にした解析やクライアント・コーチへの情報提供等、プロダクトでできることの幅が広がるため、今後のプロダクト企画の拡張性のために必要でした

そのうえでなぜZoom Video SDKなのか

一応他にも選択肢はあり、例えばSendbirdなども機能要件を満たすAPIを提供していますし、すべて自前で実装するという方向性もありました。が、結果として以下の2点を理由にZoom Video SDKを選択しています。

https://sendbird.co.jp/

自前で実装するのがリソース×ケーパの観点で難しかった

ビデオ通話機能を自前実装する場合Web RTCを使ったりと専門的な実装が多く、かつブラウザの仕様等の知識も多く求められます。まだまだアーリーフェーズのスタートアップでここをすべて自分たちで作るより、ビデオ通話のコアの部分は専門ベンダにお任せしてそれ以外のコアドメインである「コーチング」の部分の実装に集中できる体制が理想でした

ミッションクリティカルな機能になるため信頼性を担保したかった

コーチングセッションは我々のプロダクト価値のど真ん中であり、安定的に高品質なサービスを提供する必要があります。そう考えると何よりも重要なのは信頼性と実績。巨人の肩にちゃんと乗ることが重要で、国内外で大きな実績を持つZoomのSDKを使うことにしました

Zoom Video SDK導入の成果や学びについて

現在Video SDKを用いたオンラインコーチング用のビデオ通話機能はリリースされており、一部企業のみに公開されている状態です。まだ展開自体は一部なので成果は出ていませんが、現時点での学びをいくつか紹介します

チャットや背景画像等、ビデオ通話の周辺機能の支援が大きい

ビデオ通話機能を作っていると、チャット機能や背景画像選択・ぼかし等、単純なVideo通話の機能以外にも必要な要件は多々でてきます。Video SDKの場合そこもSDKとしてサポートしているので基本的にはそれに乗っかっていけばZoom相当のものが作れる用になってるのは非常にメリットでした。

とはいえは本家ZoomやGoogle Meetは非常に機能リッチなため差分が大きい

自分たちとしては一生懸命ビデオ通話機能を実装していたとしても、どうしてもユーザーは普段使っているZoomやGoogle Meetと比較します。例えば、美肌機能やPicture In Pictureなど、数年前はなかったような機能も当たり前に使っており、そこからのデグレードに見えてしまいます。実際自分たちもユーザー要望でPicture In Picture相当の機能を作るに至っています

ブラウザやハードウェア起因のトラブルに悩まされる

一部WebAssenblyに依存していたり、カメラやマイク等のハードウェアとの兼ね合いがあるので不具合発生時のシューティングが非常に難しいという問題があります。ただ、ここに対してのソリューションとして「Zoom Probe SDK」というものが昨年末に発表されており、光が見えてきている状態です。

https://developers.zoom.us/docs/probe-sdk/

まとめ

  • ZoomのSDKや用意されている仕組みを使うことによって、様々な抽象度でビデオ通話を自社アプリケーションに組み込むことができる
  • 裏側のレイヤの実装や、データの取扱いの部分をZoomに任せることができより自分たちのコアビジネスの実装に集中できる
  • 価格面では試算が必要、安くはない。が、それに見合う品質とsanoさんのサポートがあります
  • リアルタイム文字起こしや今後のAI系の機能拡充もあり進化が楽しみ

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