Data Cloud Oneのメリット・デメリット・注意点をわかった範囲で整理してみた

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※この記事は個人の所感に基づいてまとめた内容です。

SalesforceのData Cloud Oneを触ってみて、感じたメリット・デメリットを整理しておく。自分用のメモも兼ねつつ、これから導入検討する人に少しでも参考になれば。

Sales/Service Cloudとの親和性が抜群

Data Cloud Oneを使ってまず感じたのは、Sales CloudやService Cloudとの親和性の高さ。既存オブジェクトとの連携が非常にスムーズで、複雑な設定やカスタマイズを加えなくても、Salesforce本体のデータ活用を自然に拡張できる。

取引先、取引先責任者、商談などの標準オブジェクトと、Data Cloudのデータを結びつける流れもシンプルで、違和感なく実装できる。あくまでSalesforce製品群の中でシームレスにデータ統合を実現したいケースに特に向いている。

ノーコード・ローコードでの初期立ち上げが現実的なレベルでできるのも大きな魅力だと感じた。

注意点:フローの限界に直面したらLWC/APEXが必要

Data Cloud Oneだけである程度のことはできるが、実運用を意識して使い込んでいくと、どうしても標準フローや画面コンポーネントの非機能制約にぶつかる。

例えば、動的な条件分岐が複雑になったり、標準コンポーネントでは表現できないようなインタラクティブなUIが欲しくなったりする場面では、結局LWC(Lightning Web Components)やApexでの開発が必要になってくる。

最初はノーコードで進められるが、プロジェクトの成長に合わせてエンジニアリングリソースを確保しておかないと、「できるはずだったのに詰まった」ということになる。あくまで、スモールスタート向きの製品であり、拡張性を求めるなら準備がいることは意識しておいたほうがよさそう。

関連リスト強化が個人的には優秀

個人的に一番気に入ったのは、関連リスト強化機能。

統合取引先(Unified Account)の直下に、任意のオブジェクトのデータをGUI上でポチポチ設定するだけで表示できる。5回くらい画面をクリックするだけで完了するので、感覚的には「画面レイアウトのカスタマイズをするくらいの気軽さ」で情報を追加できる。

しかも、標準オブジェクトだけでなく、Data Cloudで取り込んだ拡張データもこのリストに載せられるため、ユーザーのオペレーション効率がかなり上がる。データを探しにいくために画面を遷移する必要がなくなり、エンドユーザー体験の向上にも直結する。

小さな機能だけど、実際に触ると「これが地味に効く」と実感した部分。

まとめると

Data Cloud Oneは、Sales/Service Cloudとの連携で圧倒的な手軽さとスピード感をもたらしてくれる。特に標準機能でカバーできる範囲なら、ノーコード・ローコードで十分に実用レベルに達する。ただし、使い込むにつれてフローの非機能制約にぶつかるため、最終的にはLWCやApexによる拡張開発が視野に入る。

関連リスト強化のように、手軽に効果を実感できるポイントも多いので、スコープとゴールを明確にして取り組めば、十分に強力な基盤になり得る。

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