Anycubic i3 Megaの改造まとめ
ガイド
SaTT99氏のPrusa i3の改造まとめ記事みたいなものがi3 Megaでもあると便利そうなので記録しておきます
気付いた順に適当に書いてるので順番バラバラです(一段落したらZenn以外にまとめ直すかも)
おすすめ度:おすすめ度が高いものほど簡単で効果が高いです。
費用:パーツの印刷に伴うフィラメント代は含まれません。 新たに何かを購入する必要があるもののみ記載しています。
基本的に改造手順などの詳細は記載しません。あくまでこういう改造をしたという記録です。
改造は自己責任でお願いします。
パーツの購入先
Amazonで出品されている3Dプリンタパーツは出自がわからない中華からの輸入品なので、基本的には購入しするべきではない。同じ中華なら出品者がはっきりしているAliexpressやBanggoodで買ったほうが良い。
・Aliexpress
Aliexpressは特に以下の2ショップが良い。ここで大抵揃う
BIGTREETECH
TriangleLab
・Banggood
Aliにないものはこちらで買う。Aliより到着までが早いので(1週間くらい)、急ぎならこちら
・E3D Online
高品質なホットエンドやノズル、モータなど
Z軸エンドストップのネジ固定
おすすめ度:★★★★★
費用:0円
Z軸のエンドストップスイッチを押すための長ネジは遊びが大きく取られているので、揺れなどでZ軸のホーミング時にずれが生じる
これでネジを固定して揺れを防止する
参考:I3MEGAのカチャカチャ音を止めて、Zホーミングを安定させる
OctoPrint
おすすめ度:★★★★★
費用:5000~10000円(Raspberry Pi購入の場合)
デフォルトの状態ではSDカードから印刷 or USB接続でPCから直接STLファイルを送る方法でしか印刷できず、手間や設置場所の制約がある
OctoPrintをインストールしたRaspberryPi(or PC)をUSB接続しておけばLAN経由で印刷が可能になる
基本的にはRaspberry Piでの運用が推奨されているが、UbuntuなどをインストールしたPCでも使用できるので、余っているPCがあればOctoPrint用にRaspberry Piを購入する必要はない。
octoprint.org
カスタムMarlin
おすすめ度:★★★★★
費用:0円
プリインストールされたMarlinベースのFWはソフト的なレベリングが行えないが、有志が作成したカスタムMarlinはメッシュレベリングというベッド上の各ポイントごとのレベリングが行える(デフォルトは5x5の25点)。これによりベッドの歪みに対応できる。
Linear Advance、デフォルトのモータドライバ(A4988)以外のモータドライバ対応など、様々な恩恵が受けられる。
その他の利点はここを参照
パーツクーリングファンの交換
おすすめ度:★★★★☆
費用:0円
プリントヘッドに搭載されているパーツクーリングファンは左側から風を吹き付けるタイプなので、右側にオーバーハングがあるとうまく冷却されずダレることがある。
1面にのみオーバーハングがあるモデル(3DBecheyなど)であればモデルの向きに気をつければ良いが、そうでないモデルはどうしようもないので、パーツクーリングファンを交換するのが手っ取り早い。
ダイレクト化する以前に使用していたのはこれ
既存の部品の使いまわしで取り付け可能。耐熱温度の問題でPLAではなくPET-G or ABSで印刷する必要あり(難易度的におすすめはPET-G)
エンクロージャ
おすすめ度:★★★★☆
費用:1000円~(エンクロージャの種類による)
エンクロージャ=囲い
3Dプリンタの周囲温度を上げ、反りなどの印刷不良を防ぐ効果がある。
単純に騒音やホコリ対策にもなるので場所があるなら設置したほうが良い。
最悪ダンボールで囲うだけでも周囲温度は目に見えて変わる。
有名所だとIKEAのLACKを使用した自作エンクロージャだが、組み立てとパーツの調達・印刷が面倒なので個人的には微妙。
IKEAの収納にガラス戸を付けるのが一番手っ取り早かったので、STUVA+GLASSVIKで作成した。
現在はSTUVAが終売しているので、後継品っぽいPLATSAが代わりになりそう。
モータドライバ交換
おすすめ度:★★★☆☆
費用:4000円(TMC2208)
標準装備のモータドライバ(A4988)は安い代わりにピロピロうるさいので、必要であれば静かなモータドライバに交換する。
特に設定不要で使える[1]TMC2208が手軽。
デフォルトのFWはA4988にしか対応していないので、カスタムMarlin(or Klipperなど)に書き換える必要がある。
参考:
Anycubic i3 MegaのモータードライバをTMC2208にした話
I3MEGAのモータドライバーを変更する
Anycubic i3 MEGA アップグレード計画② 静音化しよう!
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電圧調整は必要 ↩︎
MOSFET増設
おすすめ度:★★★☆☆
費用:2000円(MOSFET購入)
標準装備のコントロール基板はヒートベッド・ホットエンドへの電力供給用のMOSFETが搭載されているが、小さいコントロール基板の上の実装なので、特にABSなどの高温印刷時の安定性・安全性に不安がある。
外付けのMOSFETを通して電力供給するようにすることで、高温設定時の温度の安定性が向上する。
内部にはMOSFETをマウントする場所は無いので、このような部品を印刷して固定できるようにする。
注意点として、MOSFETに付属しているケーブルは0.25sqで、ホットエンドやヒートベッドに電力供給するには細すぎるので、基本的には自分で用意した0.5sqなどの太めのケーブルを使用したほうが良い[1]。
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付属のケーブルをしばらく使っていたらPSUのコネクタ部分とケーブルの端子部分が焦げてました。下手したら火災になっていたのでよほどのことがない限り使用しないほうがいいです。 ↩︎
プリントヘッドのダイレクト化
おすすめ度:★★★☆☆
費用:5000円~(エクストルーダ、ホットエンドなど購入)
i3 Megaのフィラメント供給方法は、ボーデン式と呼ばれるヘッドとエクストルーダが離れていてPTFEチューブで接続されている方法だが、エクストルーダの動作から実際にヘッドへフィラメントが送られるまでにタイムラグがあるため、リトラクション量が多くなったり、フィラメント供給に関する問題を考えないといけない。
これを「ダイレクトドライブ」と呼ばれる、プリントヘッドにエクストルーダを直結した方式に変えることで、応答速度を向上させ、フィラメント供給に対する問題を軽減する。[1]
i3 Mega-Sに標準装備されているエクストルーダ(Titan Extruder)を使用しても良いが、個人的にBMG+E3D v6ホットエンドの組み合わせ[2]が使いたかったので、このモデルを使用してヘッドを組み立てた。
標準装備のTitan Extruder+v5ホットエンドを使用する場合ははるかぜポポポ氏が設計したモデルを使用すると良さそう。
※ヘッドなので耐熱温度が低いPLAでは印刷不可。PET-GかABSで印刷する必要がある。
エクストルーダ用モータはE3D純正のSlimline Motorがベストそう。入手性も品質も高いのでわざわざAliなどで買う理由があまりない。
オートレベリング化
おすすめ度:★★★★☆
費用:2000円(BLTouchクローン購入)
メッシュレベリングが可能になると5x5=25点のレベリングが必要になるため、正直面倒。
BLTouchというソレノイドを使用したプローブを取り付けることで、自動でレベリングができるようになる。
Aliを見るとクローンが大量に出品されているが、TriangleLabのものが安定している。
基本的にダイレクト化と同時に取付をするのが楽。
Titan Extruderを使用してダイレクト化した場合は、はるかぜポポポ氏のモデルをYan氏がRemixしたモデルを使用するのがよさそう。
取り付け後、FW側の設定が必須になる。
プラットフォームシート
おすすめ度:★★★★★
費用:3000円(3M プラットフォームシート 3枚入)
i3 MegaのベッドはUltrabaseと呼ばれるガラスに特殊な樹脂がコーティングされたもので、高熱時の樹脂の食いつきがかなり良いとされているが、PET-GやABSの印刷時には反りが発生することがあった。
3Mのプラットフォームシートは貼り付けるだけでよく、初期レイヤーの食いつきも非常に良いため、大物の印刷時にはあったほうが良いと感じた。
欠点として印刷可能範囲が狭まる(シートサイズが小さい)ため、ベッドを最大限利用したい場合は使用できない。
Klipper
おすすめ度:★★★☆☆
費用:0円
G-Codeの処理や演算をコントロール基板のMCUではなく、USB接続されているRaspberry PiやPCで行えるようにするファームウェア。
BMGやTitanなどギア比が高いエクストルーダ+0.9°(400step)のモータの組み合わせではMCUでは演算が間に合わない場合があるので、そういった構成をしたい場合はMarlinよりKlipperの方が向いている。
また、Ark-WelderというG2,G3命令が使えるようになるOctoPrint用プラグインを使用する場合も、演算リソース的にKlipperで制御した方がより解像度を上げられるために効果が出やすくなる。
それ以外のメリットとしては、設定ファイルが制御PC上にあるため、設定が変更/確認しやすい。Marlinの場合、設定を変更するためにはFWの書き換え→ビルド→書き込み という手順が必要になるので、特に大きく構成を変えた場合(ダイレクト化など)に効果が高い。