🙅🏻‍♂️

SQLアンチパターン覚え書き

2023/09/11に公開
名前 何がダメか 解決方法 備考
信号無視 1つのカラムにIDを複数格納 中間テーブルを持つ
複数列属性 カラムを連番で増やす 適切なリレーション xxx2 が出てきたら危険
闇雲インデックス インデックスを張りまくる 絞る
幻のファイル カラムにファイルパスを格納 BLOB型の検討
読み取り可能パスワード パスワードを格納 ハッシュ化
31のフレーバー 限定する値をENUMで定義 別テーブルで管理
ランダムセレクション order rand() offset rand(count)
丸め誤差 float decimal 緯度経度でありがち
SQLインジェクション where("id = #{params[:id]}") where(id: params[:id])
疑似キー潔癖症 欠番を埋めたがる 埋めたがらない
貧者のサーチエンジン like '%foo%' FULLTEXT等
魔法の豆 モデルに書かない 書く
とりあえずID ほぼ使わないカラムができる 外部キーをそのままPKにする 解決する必要なし
ポリモルフィック 整合性が揺らぐ・柔軟性がない 使わない 便利な面も多い
外部キー嫌い foreign_key: false foreign_key: true テストではまる要因
メタデータ大増殖 テーブルを連番で増やす 増やさない
曖昧なグループ group by A で select B Bが必要な理由を考える
スパゲッティクエリ 複雑すぎるSQL シンプルにする 設計から見直そう
臭いものに蓋 エラーをないがしろにする しない
恐怖のUnknown NULL許可 NOT NULL 代用で -1 とかダメ
素朴な木 連携は parent_id だけ 入れ子集合との併用がよさげ 一長一短ある
暗黙の列 SELECT * 明示指定 正規化した利点はどこへ?
entity-attribute-value 融通が効かない
外交特権 SQL言語だけ特別扱いする しない DB管理者ってなに?

信号無視

ActiveRecord::Schema.define do
  create_table :users do |t|
    t.string :friends_ids
  end
end
user = User.create!
user.friends_ids = 8.times.collect { User.create!.id }.join(",")
user.friends_ids  # => "2,3,4,5,6,7,8,9"

さすがにこんなことをしているのは見たことがない。

複数列属性

ActiveRecord::Schema.define do
  create_table :users do |t|
    t.string :avatar1
    t.string :avatar2
  end
end

ありがち。二つぐらいならいいかで放置していると収拾つかなくなる。デメリットしかない。

闇雲インデックス

ActiveRecord::Schema.define do
  create_table :users do |t|
    t.string :name, index: true
    t.timestamps    index: true
    t.index [:name, :created_at, :updated_at]
    t.index [:created_at, :updated_at]
    t.index [:name, :created_at]
    t.index [:name, :updated_at]
  end
end
ActiveRecord::Base.connection.indexes(:users).count  # => 7

インデックスは SELECT が速くなる一方で INSERT が遅くなる。またメモリも消費する。そのバランスを無視してインデックスを作りまくると INSERT 多めのテーブルでは負荷になる。かといってそのちょうどいいバランスが難しかったりする。

幻のファイル

user = User.create!(file_path: "path/to/file.png")
File.exist?(user.file_path)  # => false

ドキュメントが一切ないプロジェクトを引き継いだあと、これで事故ったことがある。勘違いでファイルだけを掃除してしまったり、引っ越しする時にファイルを置き去りにしてきて、不整合に繋がる。

とはいえ、ファイルは DB に入れるものではないという認識の方がまだ一般的である。将来、DB の性能が上がればこの常識も変わるかもしれない。

読み取り可能パスワード

ActiveRecord::Schema.define do
  create_table :users do |t|
    t.string :password
  end
end
user = User.create!(password: "foo")
user.password  # => "foo"

ただ偉いだけの人が権限を持つプロジェクトでありがち。ハッシュ同士を比較すればいいのでパスワード自体を保存する必要はない、という簡単な話が理解できない人もいる。

31のフレーバー

ActiveRecord::Schema.define do
  create_table :users do |t|
    t.column :foo, "ENUM('a', 'b')"
  end
end
User.create!(foo: "a")  # => #<User id: 1, foo: "a">
User.create!(foo: "b")  # => #<User id: 2, foo: "b">

列挙型を使うと負債化する。値が指す情報はもうないからといって拡張性が終わっている機能を使ってはいけない。

そういう意味で言うと ActiveRecord の enum も同様で、マジックナンバーだらけのレガシーなアプリをリファクタリングする過程で列挙型にすることはあっても、最初から列挙型に寄せていくメリットはない。大事に育てたいプロジェクトであれば丁寧に別テーブルとする。

ランダムセレクション

User.order("RAND()").take  # => #<User id: 1>

何も考えてないとやってしまいがち。単にランダムに一件欲しいなら次のようにすると O(1) になる。

User.offset(rand(User.count)).take  # => #<User id: 1>

丸め誤差

ActiveRecord::Schema.define do
  create_table :users do |t|
    t.float :a
    t.column :b, :double
    t.column :c, "DECIMAL(65, 30)"
  end
end
v = 5.5555555555555555555555555555555555555
user = User.create!(a: v, b: v, c: v).reload
user.a.to_d  # => 0.555556e1
user.b.to_d  # => 0.5555555555555555e1
user.c.to_d  # => 0.5555555555555555e1

初めて緯度経度を扱ったときこれではまった。

SQLインジェクション

id = "0 or name = 'admin'"
User.where("id = #{id}").to_sql  # => "SELECT `users`.* FROM `users` WHERE (id = 0 or name = 'admin')"
User.where("id = #{id}").take    # => #<User id: 1, name: "admin">

有名だけどこんな風に書いてるのは見たことがない。

疑似キー潔癖症

User.pluck(:id)                                       # => [1, 3]
sql = "SELECT id + 1 FROM users WHERE (id + 1) NOT IN (SELECT id FROM users) LIMIT 1"
id = ActiveRecord::Base.connection.select_value(sql)  # => 2
User.create!(id: id)                                  # => #<User id: 2>

id が整数だったとしてもハッシュと同じ扱いで考えるべきだが、連番の数字に固執してしまう人がまれにいる。

貧者のサーチエンジン

Article.where(["content LIKE ?", "%キーワード%"])

たしかにいけてないが数万件ならこの方法でじゅうぶん。

魔法の豆

user.rb がこれだけ

app/models/user.rb
class User < ActiveRecord::Base
end

書くのはリレーションのみ。いやリレーションもほぼ書かない。一方、コントローラーは特盛り。挙げ句、わけのわからないサービスクラスなどを量産し始める。

とりあえずID

ActiveRecord::Schema.define do
  create_table :users do |t|
  end
  create_table :profiles, id: false do |t|
    t.belongs_to :user
  end
end

class User < ActiveRecord::Base
  has_one :profile
end

class Profile < ActiveRecord::Base
  self.primary_key = :user_id
  belongs_to :user
end

user = User.create!                  # => #<User id: 1>
user.create_profile!(:user => user)  # => #<Profile user_id: 1>

すべてのテーブルのプライマリーキーを id で統一しよう、がダメだと言っている。Profile#user_id が一意であれば Profile#id は余計だという考え方だが、そこまでしてカラムを削る必要に迫られたことはない。

ポリモルフィック

ActiveRecord::Schema.define do
  create_table :users do |t|
  end
  create_table :comments do |t|
    t.belongs_to :commentable, polymorphic: true
  end
end

class User < ActiveRecord::Base
  has_many :comments, as: :commentable
end

# あらゆるレコードにコメントできるモデル
class Comment < ActiveRecord::Base
  has_many :comments, as: :commentable # 自分に対してもコメントできるようにするため
  belongs_to :commentable, polymorphic: true
end

user = User.create!              # => #<User id: 1>
comment = user.comments.create!  # => #<Comment id: 1, commentable_type: "User", commentable_id: 1>
comment.comments.create!         # => #<Comment id: 2, commentable_type: "Comment", commentable_id: 1>
comment = user.comments.create!  # => #<Comment id: 3, commentable_type: "User", commentable_id: 1>
comment.comments.create!         # => #<Comment id: 4, commentable_type: "Comment", commentable_id: 3>
id commentable_type commentable_id
2 Comment 1
4 Comment 3
1 User 1
3 User 1

汎用的なモデルにすると融通が効かなくなるという指摘で、たしかにそういう面もあるけど共通化できるメリットの方がはるかに大きいとわかってやってるなら問題ない。

外部キー嫌い

ActiveRecord::Schema.define do
  create_table :users do |t|
  end
  create_table :articles do |t|
    t.belongs_to :user, foreign_key: true
  end
end
Article.create!(user_id: 1) rescue $!  # => #<ActiveRecord::InvalidForeignKey: Mysql2::Error: Cannot add or update a child row: a foreign key constraint fails (`__test__`.`articles`, CONSTRAINT `fk_rails_3d31dad1cc` FOREIGN KEY (`user_id`) REFERENCES `users` (`id`))>

ユーザーID: 1 は存在しないのでエラーとしてくれている。このように無効な値が入ることを防ぐために foreign_key: true の指定が推奨されている。この機能は ORM がなかったころには安全性を保証するために役立ったかもしれないが、今どきは ORM を通じて操作するのが一般的なのでありがたみは少ない。

いや、それどころか、スムーズにデータを削除できず、開発時のストレスになることのほうが多い。それでも、やはり foreign_key: true は指定しておく方がいいんだろうなという気はする。

メタデータ大増殖

ダメな例:

ActiveRecord::Schema.define do
  (2000...2100).each do |year|
    create_table "users_#{year}" do |t|
    end
  end
end

User.table_name = :users_2016
User.create!  # => #<User id: 1>

User.table_name = :users_2017
User.create!  # => #<User id: 1>

やるとプロジェクトが終わる。

速度が問題なら次のようにパーティション分割する。ただAR経由でこの処理を書こうとするとわりとたいへんである。

CREATE TABLE users (
 id INTEGER AUTO_INCREMENT NOT NULL,
 created_at DATETIME,
 PRIMARY KEY (id, created_at)
);

ALTER TABLE users PARTITION BY HASH (YEAR(created_at)) PARTITIONS 3;
EXPLAIN PARTITIONS SELECT * FROM users;
id select_type table partitions type possible_keys key key_len ref rows filtered Extra
1 SIMPLE users p0,p1,p2 index NULL PRIMARY 9 NULL 1 100.00 Using index

曖昧なグループ

User.create!(name: "a", score: 1)
User.create!(name: "a", score: 2)
User.create!(name: "b", score: 3)
User.create!(name: "b", score: 4)
SQLite3
sql "SELECT id, AVG(score) FROM users GROUP BY name"  # => [{"id"=>1, "AVG(score)"=>1.5}, {"id"=>3, "AVG(score)"=>3.5}]

これは不思議だ。同じ名前のレコードが複数あったのになぜ特定の id を取得したのだろう?

MySQL
sql "SELECT id, AVG(score) FROM users GROUP BY name"  # => #<ActiveRecord::StatementInvalid: Mysql2::Error: Expression #1 of SELECT list is not in GROUP BY clause and contains nonaggregated column '__test__.users.id' which is not functionally dependent on columns in GROUP BY clause; this is incompatible with sql_mode=only_full_group_by>

MySQL では曖昧なクエリをエラーとしてくれている。

スパゲッティクエリ

sql <<~EOS  # => [{"user_id"=>1, "count_a"=>2, "count_b"=>2}]
SELECT f1.user_id,
       COUNT(a1.id) AS count_a,
       COUNT(a2.id) AS count_b
FROM favorites f1
LEFT JOIN articles a1 ON (f1.article_id = a1.id AND a1.name = 'a')
LEFT JOIN favorites f2 USING (user_id)
LEFT JOIN articles a2 ON (f2.article_id = a2.id AND a2.name = 'b')
WHERE f1.user_id = 1
GROUP BY f1.user_id
EOS

JOINの数に累乗して行が増えていく。無理に一つにまとめようとすると破綻する。難しいSQLを書けるのはかっこいいことでもないし、分割するのは恥ずかしいことでもない。

臭いものに蓋

User.count rescue 0  # => 0

なんかエラーが出たんでユーザーは 0 人ってことにしとこう。そういうやつのこと。

恐怖の Unknown

NULL が入っているせいで年齢がでないことに気づいたので、

user = User.create!
"#{user.age}歳"  # => "歳"

age カラムを必須にした。しかし、未入力の場合もあるので NULL のかわりに -1 を入れるルールとしてみた。

user = User.create!(age: -1)
"#{user.age != -1 ? user.age : "?"}歳"  # => "?歳"

ところが、次に20歳の人を登録すると平均が9歳になってしまった。

User.create!(age: 20)
User.average(:age).to_i  # => 9

これは次のように -1 を除外しなければならなかった。

User.where.not(age: -1).average(:age).to_i  # => 20

そして後日、疑問に思う。-1 って何?

このように「NOT NULL 制約すべきかどうかの判断」と「未入力の扱い方」を誤ると一気に負債を抱える。

素朴な木

名前 方法 良い ダメ 併用
素朴 parent のみ 美しい 遅い
経路列挙 path に '1/2/3/' ダサい
入れ子集合 子の範囲を保持 美しい 再計算が面倒
閉包 1:* の別テーブル 富豪的 面倒すぎる

「素朴な木」は兄妹や親へのアクセスなどがとてもやりやすい。そこで他の方法も利用したいなら「素朴な木」との併用がいい気がする。

暗黙の列

10.times { User.create!(bin: "x" * 1.megabyte) }
Benchmark.ms { User.all.to_a         }  # => 13.596000033430755
Benchmark.ms { User.select(:id).to_a }  # => 0.3570000408217311
Benchmark.ms { User.pluck(:id)       }  # => 0.2530000638216734

SELECT * がダメだと言うことだが実際にベンチマークを取って何秒も速くなるぐらいの効果がある場合のみカラムを絞るべき。そうでないと何のために正規化してあるのかわからない。

Entity Attribute Value

名前 仕組み 利点 欠点 複雑度 対象数(種類)
EAV テーブル1つ。キーと値でがんばる 列が増えない。検索が楽。 値用のカラム1つを汎用的に使うのに無理がでてくる。融通が効かない 1 多い
STI 結局テーブルは1つ。モデルを活用 無駄なNULLカラムだらけになる。列を増やしたくなくなってくる 2 数えられるぐらい
具象テーブル継承 べたっと分ける 無駄なカラムがでない 跨ぎ検索が辛い 2 数えられるぐらい
クラステーブル継承 「具象テーブル継承」の改良版 複雑 3 数えられるぐらい
半構造化データ TEXT型カラムを1つもつ シンプル 検索が難しい 2 多い
半構造化データ(JSON) JSON型カラムを1つもつ シンプル 検索できる 2 多い
  • EAV と STI の堺は曖昧で EAV でも key に応じて STI のように柔軟な処理が行うようにはできる
  • STI はその方法を、より明確にして対応するクラスに割り当てるようにする
  • 具象テーブル継承は、そもそも、それが嫌だったから、EAV にしたはずなので「元に戻す」のがはたして解決方法になるのか疑問
  • ActiveRecord::InternalMetadata は典型的な EAV
  • MySQL 5.7 から JSON 型が使える

外交特権

SQLを実行するにはデータベース管理者さまにお伺いを立て許可を頂かなければならない。

以前「SQLを」と発言した瞬間、おまえのような下っ端にデータベースを触る権限などないんだ、という主旨でプロジェクトマネージャー風の人から急に叱られたことがある。たぶんそういうプロジェクトのこと。

参照

https://www.amazon.co.jp/dp/4873115892

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