目的思考のすすめ
はじめに
今回は、普段の業務に役立つちょっとしたTipsとして「目的思考」を紹介します。
目的思考とは、目的を起点にしてブレイクダウンし、どのようなアクションを取るべきかを考えるというものです。
具体例
早速、目的思考を取り入れた場合とそうでない場合の具体例を見てみましょう。
違いを感じ取ってみてください。
Webサービスを改善するケース
-
目的から考えない場合
- Webサービスが何故か時々ダウンするから、定期的に自動でサービスを再起動する仕組みをがんばって構築した
-
目的から考えた場合
- 自社のWebサービスの理想的な状態(ダウンタイム、レスポンスタイム、etcetc)はどういう状態かを決めて、その状態に近づける施策を総合的に考えた
データ集計を依頼されたケース
-
目的から考えない場合
- カスタマーサクセスの担当者からお客様に関するデータ集計の具体的な依頼があったので、言われた通り集計して渡した
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目的から考えた場合
- そのデータを何に使うのかをよく聞いてみたところ、その集計方法では目的に対して不十分で有ることがわかったので、より適切なデータや集計方法を提案し、役立つデータを渡した
なぜ目的思考なのか?
それは、なんといっても、目的を達成できるからです🙌
目的を起点に考えることで、山の頂上を見据えて登山ルートを選ぶように、ルートが多少異なっても目的にたどり着けます。しかし、目的を意識せずに施策を選ぶと、それが理想的なルートかどうかの判断がつかず、目的に到達できないことがあります。
目的思考
目的思考を詳しく見ていきましょう。
目的
目的は理想とする状態のことです。
目的を「状態」として考えることが今回の最重要ポイントになります!
”状態として考える”とは、「何をするか」ではなく「どうあるか」に焦点を当てることです。
「〜する」ではなく「〜し続ける」と言い換えられるような内容で考えると、考えやすいと思います。
例:
- 「英語を習得する」→一度達成したら終わる一過性のもの
- 「英語を自由に使い続ける」→継続的な状態
問題
問題とは、理想状態と現在の状態との差分のことです。
例:
- 理想状態
- 理想が「新しい家を買える状態」だとすると・・・
- 状態を測る指標は購入資金
- 理想状態では購入資金が4000万円
- 理想が「新しい家を買える状態」だとすると・・・
- 現状
- 購入資金1000万円
- 問題(理想状態と現実の差分)
- 3000万円の不足
課題
課題とは問題を逆にしたものです。
一般的には課題=問題のように扱われることも多いですが、ここでは問題を解決するために達成すべきことを「課題」と呼びます。例で見てみましょう。
例:
(「問題」での例の続きです)
- 問題(理想状態と現実の差分)
- 3000万円の不足
- 課題
- 3000万円を調達する
施策
施策とは、課題を達成するための手段となります。
例:
(「課題」での例の続きです)
- 課題
- 3000万円を調達する
- 施策
- 借りる
- 副業する
- 増やす(ギャンブル/投資/etc)
- などなど
まとめ
- 目的から考えよう
- 目的は状態として考えよう
これを意識しておくと普段の業務でも役に立つと思います。
おまけ:
目的思考が役立つシーン
シーン1:チーム振り返り
「普段の業務で何か課題は有りますか?」と質問されたときに漠然と気になり事を洗い出すのではなく、一旦、自分たちの業務の目的は何かを再確認し、そこから現状や問題・課題という順番で、目的達成に障害になっているものを考えると、より目的に直結した課題を洗い出すことができます。
シーン2:同僚からの相談
「〇〇ができなくて困っているんですよねー」と同僚に相談されたときに、いきなり施策から考え始めるのではなく、その方の目的を確認してから考えると”〇〇”以外にももっと良い施策が提案できるかもしれません。
例:
同僚がプリンタが使えなくて困っていたが、よく聞くと経費精算書類を提出したいということだったので、先月からペーパーレスになったのでWebから申請できることを教えてあげた。
ワークショップ
何人かのグループに分かれて、以下のお題のシーンを想定して目的、問題、課題、施策を考えて、グループ内でディスカッションしてみましょう。
お題:スポーツクラブのコーチの悩み
地域のサッカークラブのコーチから、「最近、チームの主力選手が練習にあまり参加しなくなって、チーム全体の士気が下がってきている気がするんです。どうしたものかなぁ・・・」と相談されました。
(👇️ヒントは下の方へスクロール👇️)
コーチの真の目的を推察(いろいろ考えられる):
- チームの士気を高め、全員が一丸となって練習に取り組んでいる状態
- コーチとしての管理能力やチーム作りのスキルを周囲に示したい
- 実際には主力選手の態度に不満を抱いており、その選手を抑制したい
このように実際のケースでは相談内容からだけだと様々な目的が考えれる場合が多いです。
このワークショップを通してそれを実感し、普段の業務でも目的を確認する習慣がつけば、皆さまや皆様のチームの目的達成により近づけるのではと思います。
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