Linuxデスクトップに開発用の仮想マシン(VM)を構築する (KVM/QEMU + virt-manager)
はじめに
Web開発やサーバーサイドの学習を進めていると、「クリーンな環境でOSのインストールから試したい」「本番環境に近い構成をローカルで再現したい」といった場面がよくありますよね。
そんな時、Linuxデスクトップ上で動作する**KVM (Kernel-based Virtual Machine)**は、非常に強力で軽快な仮想化ソリューションです。
この記事では、自身のWikiメモを元に、GUIツールである 「仮想マシンマネージャー(virt-manager)」 を使って、開発用のLinux仮想マシンを簡単に作成する手順と、快適に使うための重要なTipsを共有します。
KVMとは?
KVMは、Linuxカーネル自体に組み込まれている仮想化機能です。ホストOS型(VirtualBoxやVMware Workstationなど)と比べて、ハイパーバイザー型に近いアーキテクチャで動作するため、パフォーマンスが良いという特徴があります。
Step 1: KVMと関連パッケージのインストール
まず、KVM本体と、仮想マシンを管理するためのツール群をインストールします。 (Fedora/Rocky LinuxなどRPM系の場合)
sudo dnf install @virtualization
@virtualization
グループをインストールすることで、qemu-kvm
, libvirt
, virt-manager
などが一括で導入されます。
インストール後、libvirtd
サービスを起動し、自動起動を有効にします。
sudo systemctl start libvirtd
sudo systemctl enable libvirtd
Step 2: 仮想マシンマネージャーでVMを作成する
virt-manager
は、KVMをGUIで直感的に操作できるツールです。
-
インストールメディア(ISO)の準備:
仮想マシンにインストールしたいOSのISOイメージ(例: Rocky Linux 9のISO)を事前にダウンロードしておきます。 -
仮想マシンマネージャーの起動:
ターミナルからvirt-manager
と実行するか、アプリケーションメニューから「仮想マシンマネージャー」を起動します。 -
新規仮想マシンの作成:
ウィザードに従って、以下の項目を設定していきます。- インストール方法: 「ローカルのインストールメディア」を選択し、ダウンロードしたISOイメージを指定します。
- メモリとCPU: 仮想マシンに割り当てるリソースを決定します。
- ストレージ: 仮想ディスクのサイズを決定します。
⚠️【重要】ストレージの作成場所
デフォルトのままだと、仮想ディスクのイメージは/var/lib/libvirt/images/
に作成されます。ルート(/
)パーティションの容量が少ないと、ホストOSのディスクを圧迫する可能性があります。
「ストレージをカスタマイズ」を選択し、容量の大きい/home
以下のディレクトリなどに仮想ディスクを作成することをお勧めします。
-
インストールの開始:
設定を完了すると、コンソールウィンドウが開き、OSのインストーラーが起動します。あとは通常のOSインストールと同じ手順で進めれば、仮想マシンの完成です。
Step 3: 快適に使うためのTips
インストールしたての仮想マシンは、少し操作性が悪いことがあります。以下の設定で劇的に改善します。
マウスカーソルを自由に移動させる
ゲストOS(仮想マシン)とホストOS(自分のPC)の間でマウスカーソルを移動するのに、いちいち「Ctrl+Alt」を押すのは面倒ですよね。
これを解決するには、仮想マシンを一度停止し、「ハードウェアの詳細」画面から**「入力」→「EvTouch USB グラフィックタブレット」**を追加します。
これにより、マウスカーソルがウィンドウ間をシームレスに移動できるようになり、操作性が格段に向上します。
おわりに
KVMとvirt-manager
を使えば、Linux上で非常に手軽に、かつ高性能な仮想環境を構築できます。
新しい技術を試すための実験場として、あるいは本番環境の再現として、自分だけの仮想マシンはエンジニアにとって強力な武器になります。ぜひ、あなただけの開発環境を育ててみてください。
この記事で紹介した内容以外にも、技術情報をブログで発信しています。
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