データサイエンティストが選ぶべき道は?事業会社で得られる3つのメリット
事業 x データサイエンティスト(以下DS)ってぶっちゃけどう?
総合職です
事業 x DSは、2010年代、各事業会社がDSを採用し始めたことに端を発するここ15年ぐらいの話。近年になって型が完成したかも。
それまでは統計の仕事と言えば、インテージ・マクロミル・数理システムのような専門会社に発注していたのを内製化した形。専門会社ではなく事業会社に入社するので、専門家以前に、総合職になる。
※自分も2014年リクルートに採用されて、それからも小売(ドラッグストア)、小売向け広告、ABEMA(動画配信サービス)で計10年ほど働いてきた。それ以前も自分の開発した機能に値段をつけて売る、バリバリの事業会社であった。
メリット①お金
事業にいた方が儲かると思うが証拠は出せない。(ちゃんとした統計情報をもっているわけではないので)概ね、事業の給与テーブルに乗り、給与は業界で決まるので、金融業界・コンサル業界が給与高めになったり、メーカーが給与低めになったりはする。この知識自体もDSだけやってたらつかない。
ただ、会社の給与水準とは別に、ビジネスリテラシーがつくので、結果的にお金が儲かる。
結局、プログラミング言語の動く仕組みがわかっていた方が、うまくプログラミング出来るのと同じで、お金が動く仕組みが解っていた方が、うまくお金儲けができる。
だから極論、無給でもデータサイエンスしたい・・・という人はのぞいて、ほとんどの人に事業会社在籍経験は生涯年収を上げるような働きをすると思う。
メリット②仲間
何かをするとき、それがひとりでできないことであれば、仲間集めが必要である。
事業会社の仕事のほとんどは、異なる職能が、協力してプロジェクトを組んで、収益目標を達成する仕事である。
だから、仲間集めのコツが身に付く。
特に事業をやるときはDSが何人集まっても収益にならない(自分だけでいい)わけで、異なる職能を巻き込む力が必須。
結局、確率論の原理がわかっていた方が、うまく統計値を読めるのと同じで、人が集まる仕組みが解っていた方が、うまく人を巻き込むことができる。
だから極論、ひとりで上手く切り出された課題についてのデータサイエンスだけしたい・・・という人はのぞいて、ほとんどの人に事業会社在籍経験は生涯仲間人数を増やすような働きをすると思う。
メリット③知識
これは今の時点で考えていることではないと思うが、データサイエンティストを辞めたくなったり、巨大AIがシンギュラリティに到達して、人間程度のデータサイエンス能力が無価値になった場合、ドメイン知識に強いと簡単にキャリアチェンジできる。
例えば小売であれば3C的な知識。小売と卸とメーカーの関係や、幅広い商品知識、マーチャンダイジング活動を遂行するための自社業務フローに関する知識、あと消費者動向の知識が重要である。
動画配信サービスであればやはり3C的な知識。世の中にある全動画サービスの機能的な差別化要因や、マーケティング訴求力の差異、開発体制、技術ポートフォリオ、IPホルダーや製作委員会やタレント・芸能事務所についての知識、動画小売のマーチャンダイジング活動を遂行するための自社業務フローに関する知識、緊急対応の体制づくり、あと消費者動向の知識が重要である。
結局、SGDの原理がわかっていた方が、うまくバッチサイズや学習率を調整できるのと同じで、ドメイン知識がわかっていた方が、柔軟な問題設定や問題解決ができる。
あとまぁ、お金のところにも該当するが簿記ができないと話にならない。周りは割とできるし、英語以上に重要な公用語と言える。
自分だとデータサイエンスをやらなくても、いつでも小売店員・小売本部・動画配信関連・リボン図ビジネスあたりには就職できる。
また、周りでDSを辞めて事業にフルコミットしてる人間もいる。これは事業会社のローテーションのようなものに過ぎないのかも知れない。個人的にはDSが事業フルコミットになっていくのは良い事だと思う。
だから極論、データサイエンスを出来ないならもう働かないでござる・・・という人はのぞいて、ほとんどの人に事業会社在籍経験は保険を増やすような働きをすると思う。
デメリット
事業会社所属以外の経験があまりないので、よくわからない。専門家になりたい人生だった・・・
ただ、総合職なのでデータサイエンティスト採用でも初期配属が営業とか、工場とかは聞いたことある。本人は嫌がって会社辞めてた※個人の感想です
具体的なキャリアのスタート方法
事業とひとくちに言ってもいろいろ仕事があるが、もしかしたら10種類ぐらいしかないのではないか。
仕事 | 説明 |
---|---|
Customer Relationship Management | 顧客満足度を上げる仕事 |
マーケティング | 新規顧客の創造 |
ナーチャリング | 既存顧客のエンゲージメントを高める |
広告 | 広告収益を得る=SS + DS。Supply Side=広告を見る人を供給する仕事、Demand Side=見せるものを供給する仕事。 |
製造 | 動画業界で言えばコンテンツ。動画を買う・動画を撮影する・Intellectual Propertyを開発する。 |
Platform開発 | Intellectual Propertyのためのプラットフォームを作る |
コスト削減 | 自動化などを行い省人化する。 |
Research & Development, BizDev,事業企画 | (新規)事業機会を作る仕事 |
ファイナンス,経営管理 | 管理会計的な仕事。トレーダー的な仕事もある。 |
Human Resource | 育成予測・退職リスク予測など |
これ以外の仕事の分野、例えば広報などでデータサイエンスしている人にはまだ会ったことがない。
最終的には、起業、という事になるだろう
儲かっているかは知らんけど、周りで起業してるDSはやはり事業出身が多い。
おわりに
事業というものは成立自体が尊いことで僕は好きなんですよね。
人が集まってお金が動く、ということはクラメールラオの式が成立するぐらい不思議でかつ当たり前なことで。
事業は数学だと思うんです(完)
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