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AfterEffectsを使ってインパクトエフェクトを作る

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アミューズメント事業部 デザインニ課 のKです。
普段はAfter Effects(AE)を用いて遊技機の映像を作る仕事をしております。
エフェクトを作ったり、背景を作ったり、たまにドット絵を打ったり、色々なものを作っています。

今回は、日頃作ることが多いエフェクトをひとつ紹介したいと思います。

インパクトエフェクト

遊技機映像の制作にエフェクトの存在は欠かせません。
遊技機特有のド派手な映像も、たくさんのエフェクトによって構成されています。
今回は何かと使用頻度が高い、パチンと弾けるインパクトエフェクトを作成する大まかな流れをご紹介
します。
https://www.youtube.com/watch?v=ug5wl-Wwkew
#1:エフェクトの始まり~終わりまでをイメージする
まず最初に、インパクトエフェクトは時間によって大きく3つに分ける事ができます。
1:「発生」エフェクトの起点が小さく強く光る。
2:「メイン」発生中の様子。エフェクトの印象がここで決まりやすい。
3:「余韻」発生が終わった後、全部消えるまでの静かな様子。

「メイン」の見た目を良くする事を目指しながら、エフェクトがどのように発生し、どのように消えて
いくかを考えて作成します。
今回は画面の中心から発生し、周囲へ散っていく方針で作成します。


2:構成する要素を作る

エフェクトを構成する要素として、今回は以下を白黒で作成します。
・エフェクトの発生源になる光
・画面を広く照らす発光
・発生源から伸びる太い線
・飛び出す細い線
・衝撃波のようなリング
・飛び散る光の粒

〇作る順番
中心部にある物や表示が大きい物から作り始め、大まかなイメージを確認しながら細かい要素の作成
へと進めていきます。

〇余韻を大事に
全ての表示時間を同じにはせず早めに消す物、最後まで見える物を考えて表示時間の差を付ける事で、
余韻の見た目が綺麗になります。
今回は、「速度を失った粒が最後に消える」方針にしています。

なぜ白黒で作るのか

エフェクトの作り方は人それぞれですが、私は白黒で作った後に着色する方法で進める事が多いです。
遊技機業務ではエフェクトの色変えが頻繁に発生するため、どんな色でも作ることが容易な白黒の
データを持っている方が都合が良いのです。
##素材は大きく作る
完成データの画面サイズが決まっている場合でも、こういったインパクト系エフェクトは画面より
大きく、正方形のコンポジションで作成するのがおすすめです。
画面サイズの二倍ほどの大きさで作っておけば、このエフェクトを画面端に配置する事になっても
エフェクトの端が見えることなく表示することができます。

またエフェクトは少し角度を変えてバリエーションを持たせることが時々あります。
正方形で作っておくことで、エフェクトを少し回転させるような調整にも対応しやすくなります。

3:色をつける

エフェクトの各要素に色をつけます。
着色には「VC Color Vibrance」を使用するのが手軽で見た目も良いです。
トーンカーブのRGBチャンネルで調整することもあります。全体に同じ色を付けるのではなく、
各要素へ個別に色をつけましょう。
少しずつ異なる色にすることで、完成したときの見栄えが変わってきます。

大きい物=メインの色
小さい物=少し色相をずらす
このような合わせで着色するとよいでしょう。

4:仕上げ

作った素材を統合します。 今回は光りものばかりなので、スクリーンや加算で重ねていきます。
今回は使用しませんが、演出によっては乗算や焼き込みを使用する事もあります。
最後に4色グラデーション+タービュレントディスプレイスでカラフルなモヤを作成し、
オーバーレイで薄く全体へ乗せます。こうすることで更なる多色感があらわれ、
単調なイメージを持たれにくくなります。

https://www.youtube.com/watch?v=ug5wl-Wwkew

振り返り

今回はAEでインパクトエフェクトを作成する流れをご紹介しました。

市場の映像クオリティは年々高くなっているのを実感しますが、シンプルなエフェクトの需要も
いつまでもあり続けます。エフェクト制作に挑戦する初級編としてインパクトエフェクトは良い題材に
なるかもしれません。

余談ですが、こういったエフェクトはAE以外の媒体でも作成の需要があります。
例えば現在ゲーム制作の世界で多く使用されているUnreal Engineでも「要素の作成→着色→合成」の
考え方でエフェクトが作成できます。
技術の流用が利く事もAEをやっていて良かったと思えた事のひとつです。

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