AfterEffectsを使って炎を作ろう
デザイン2課のGです。
普段は遊技機系のエフェクトの作成、コンポジット、オーサリングなどを行っております。
今回は遊技機には欠かせない炎エフェクトの作成を行ってまいります。
炎エフェクト
エフェクトが使用されています。そのため、我々も炎系のエフェクトを使うことが非常に多いです。
その炎ですが、主に3つのパターンで作成されています。
- 素材集を利用する
- 3DCGソフトなどでシミュレーションして作成
- After Effectsで作成
それぞれの利用の仕方にもよりますが長所と短所があります。
素材集は簡単に利用できリアルな炎を反映できますが、キャラやロゴの周りにまとわりつくような
炎を作り出せないという汎用性があまりありません。
3DCGは汎用性が高くリアルな炎を作成できますが、シミュレーションにかなり時間がかかることが多く、トライアンドエラーを気軽にやりづらいという短所があります。
After Effectsに関しては、ものすごくリアルな炎とまではいかないですが、汎用性も高く、レンダリング速度も速いという利点があります。
今後はAIによる動画生成というのも出てくるかと思いますが、自分はまだそこまで動画生成を
行っていないため今回は割愛します。
炎の元を作成する
After Effectsで炎を作成するにはいくつか方法があります。標準のエフェクトのみでも作成できますし
プラグインを使ったやり方でも、多くの種類があります。
その中でも今回私が作成する方法は、プラグインを使用した方法です。
使用するプラグインはこちらです。
・Particular: 炎の元を作成するために使用
・Mir: 炎の質感を出すために使用
・Shine: 炎の色を出すために使用
・ReelSmart Motion Blur: 炎の質感を向上させるために使用
このように、プラグインをそれぞれ用途に分けて使用していきます。
まずは、炎の元を作成していきます。
プロジェクトウィンドウに炎Aというフォルダを作成してコンポジションを作成します。
コンポジションのサイズは任意のサイズで作成していただいて問題ありません。
(今回は1280x1024にしています)
コンポジション名は「炎A_01ptcl」としておきます。
素材は60fのループ素材にしたいので、尺は120fにして、のちのちフェードでループするようにします。
作成したコンポジションと同じサイズの平面を作成し、Particularを割り当てます。
Particularで炎のベースを作成する
Particularを割り当てたら、画像のようにパーティクルが下から上へ動くように、
パーティクルのサイズやエミッターのサイズと位置を調整してください。
パーティクルの寿命間のサイズは、開始時に0、中間で100、終了時に0になるように調整します。
寿命や速度のゆらめきに関してですが、速くダイナミックな動きにしたい場合は高めの数値を入れます。
Particularのバージョンによって同じ数値でも見た目が全然変わってしまうため
バージョンごとに入れる数値は変わってくるうえ、項目自体も異なるため、
それぞれに合ったバージョンの対応が必要になります。
今回、私はTrapcode Suite 2024のParticularを使用して作成しました。
主な動きは「変位」項目の「流れY」でスピードを調整し、「スピン」で揺らめきを調整しています。
画面下から発生させ、画面中央から上部にかけて消えるように調整しています。
Particularの調整が済んだら、タービュレントディスプレイスを割り当てて揺らめき感を出すように
オフセットYを上方向に移動させます。「タービュレント」のサイズは比較的小さめが良いでしょう。
炎に質感をつける
次は、先ほどのパーティクルに炎の質感をつけていきます。
新たにコンポジションを作成します。コンポジション名は「炎A_02mir」にして尺とサイズは炎A_01ptclと同じにします。
先ほどParticularを割り当てたコンポジション「炎A_01ptcl」を配置します。
配置したコンポジションは表示をオフにしておきます。
黒平面を配置してMirを割り当てます。
さらにMirを割り当てた黒平面の下のレイヤーに黒平面を配置します。
そうすることによってアルファがない状態のコンポジションになります。
Mirですが、まずサイズをコンポジションより若干大きくします。(同じサイズだと画面端が揺らめいたときに見切れるため)
「ジオメトリ」項目の「頂点XY」を300に設定します。
「テクスチャ」項目の「テクスチャレイヤー」にコンポジション「炎A_01ptcl」を割り当てます。
割り当てるとパーティクルの形にMirが割り当てられるような感じになります。
この状態だと、パーティクルはアニメーションしますがMirはアニメーションしないので
「フラクタル」項目の「エボリューション」と「オフセットY」にキーフレームかエクスプレッションで数値を入れ、
上へアニメーションさせるようにします。速さはパーティクルと同じくらいに設定してください。
また、お好みで「個別の振幅」と「個別の頻度」で炎の質感と大きさを調整します。
炎をループさせる
次に先ほど作成した炎A_02mirをループさせていきます。
「炎A_03loop」というコンポジションを作成します。尺は60フレームでサイズは同じです。
「炎A_02mir」を配置します。
「炎A_02mir」は120フレームなので、コンポジションを60フレームのところで2分割します。
分割された61フレームから120フレームのコンポジションを最初のフレームに移動させ、レイヤー1に配置します。
1フレームから60フレームのものをレイヤー2に配置します。
レイヤー1のコンポジションの最初のフレームで、透明度にキーフレームを打ち、100の値にします。
次に60フレームまで移動して0の値を入れます。
これにより、レイヤー1は60フレームかけてフェードしていきます。
「炎A_02mir」で一番下のレイヤーに黒を配置させ、アルファをなくしたのはこのためです。
アルファがあるとレイヤー2も透明度のキーフレームを作成する必要があり、ループの見栄えも若干悪くなるためです。
炎の質感向上と色をつける
「炎A_04color」というコンポジションを作成し、
「炎A_03loop」を配置します。
エフェクトのShineを割り当てます。
「合成モード」を「なし」に、「レイの長さ」を0にします。
「カラー変換機能」で色を選択し、「ブーストライト」で明るさの調整を行います。
こちらに関しては他の色を付けるエフェクトでも全然問題はありません。
個人的にShineにしている理由は、色調整が細かくできるうえ、
明るさなどの調整も一度にできるので重宝しています。
次にトーンカーブを割り当て、「チャンネル」の「アルファ」を選択し、炎の範囲とシャープを調整します。
次にグローを割り当て、より炎の明るさを調整します。
最後にReelSmart Motion Blurを割り当てます。
こちらを割り当てることで、より炎の質感が向上します。
以上で、炎Aが完成です。
さらに質感を向上させる
炎Aだけでもそれなりに炎っぽいエフェクトが作成できたと思いますが、
炎Bを作成して炎Aと合成させます。合成の仕方は加算やスクリーン、オーバーレイなど好きな合成の仕方で大丈夫です。
炎Bは炎Aと同じ方法で作成しますが、Particularの上昇スピードやMirの速さや大きさを変えます。
1つの炎だけだと、速さが一定に感じられ、少し味気ない感じがしますが、
2つ違う速さと大きさの炎を合成することで、一定感が薄まり、よりリアルな感じが出ます。
これで炎のエフェクトは完成です。
その他、Particularで火の粉を作成したり、他のエフェクトを割り当てるなど、
いろいろなエフェクトを追加するとさらに質感を向上させることができますので、
自分の好みの炎を作る工夫をしてみると面白いと思います。
Particularのエミッターをキャラクターや文字のアウトラインにすると、
キャラクターからオーラを発生させるようなことも可能なので、そちらも試してみてください。
以上、読んでいただきありがとうございます。
こちらを読んで少しでも炎の作成に役立てれば幸いです。
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