Claude Codeのマルチセッション開発、tmux vs ccmanager どっちを選ぶ?
はじめに
最近、Claude CodeのMAX・Proプランが登場して、気兼ねなくAIコーディングエージェントを使い倒せるようになりましたね。そこで話題になっているのが複数のClaude Codeセッションを並行稼働させる手法です。
「AIに開発を任せる」を超えて、「複数のAIが協力して開発する」時代がやってきたわけですが、実装方法として主に2つのアプローチが注目されています(個人的にしてるだけかも):
- tmuxを使ったマルチエージェント開発
- ccmanagerを使った統合管理開発
今回は、この2つの手法を実際に調査・比較して、どちらを選ぶべきかをまとめてみました。
各手法の概要
まずは、それぞれの手法がどんなものかをざっくり把握しましょう。
項目 | tmuxベース | ccmanagerベース |
---|---|---|
コンセプト | AI組織による分業開発 | Git統合型並行開発 |
技術基盤 | tmux + 通信スクリプト | ccmanager + Git Worktree |
管理方法 | 複数画面分割 | 単一UI統合管理 |
tmuxベース:「AI会社」を作る
tmux手法は、複数の画面を分割して、それぞれで異なる役割のAI(社長、PM、エンジニア等)を稼働させます。まさに「AIの会社」を作るような感覚ですね。
社長AI → PM AI → エンジニアAI×3
各AIが専門性を持って、実際の開発チームのように協力します。
ccmanagerベース:Git統合で効率化
一方、ccmanager手法は、Git Worktreeと統合されたCLIツールで複数のClaude Codeセッションを管理します。ブランチベースの開発を効率化する感じです。
メリット・デメリット比較
実際に使う場面を想像しながら、それぞれの良い点・微妙な点を整理してみました。
tmuxベース手法
✅ メリット | ❌ デメリット |
---|---|
• AI間の役割分担が明確 • 大規模開発での分業効果 • 組織開発のシミュレーション |
• tmux操作の学習コストが高い • 複数画面監視の認知負荷 • 環境構築の複雑性 |
率直な感想:面白いし革新的だけど、慣れるまでが大変そう。tmuxの操作に慣れていない人は結構しんどいかも。上流工程の要件定義時のリサーチとかペルソナ考えるとかは良さそう。細かなIssueの改版を分業して作るのは、共通部分の共有とかまだまだ課題はある。タスク分解の難易度が高そう。
ccmanagerベース手法
✅ メリット | ❌ デメリット |
---|---|
• 既存ワークフローと共存 • 統合UIで管理が簡単 • Git操作の自動化 |
• AI間協調が限定的 • カスタマイズ性に制約 • 新規ツール学習が必要 |
率直な感想:実用的で導入しやすい。既存の開発スタイルを大きく変えずに済むのは魅力的。
どんな場面で使い分ける?
実際の開発現場で、どちらを選ぶべきかの指針をまとめました。
tmuxベース:「AI組織」開発
適用場面 | 具体例 |
---|---|
大規模プロジェクト | フロント・バック・インフラを分業 |
実験的開発 | AI協調プロセスの研究 |
専門性重視 | UI専門・ロジック専門等の明確分業 |
ccmanagerベース:「効率重視」開発
適用場面 | 具体例 |
---|---|
個人開発 | 複数機能の並行開発 |
既存環境重視 | tmuxワークフローを維持したい |
Git中心開発 | ブランチ戦略を重視 |
複数人開発ではどちらがいい?
個人的に一番気になったのがこの点です。チーム開発での使いやすさを考えると、ccmanagerベースの方が現実的だと思います。
ccmanagerが有利な理由
Git Worktreeとの親和性
- 各開発者が独立したブランチで作業
- マージ・競合解決が既存のGitワークフローで可能
- コードレビュープロセスとの統合が自然
環境の独立性
- 各開発者が自分のペースでAIを活用
- 他メンバーの作業に干渉されない
- 既存の開発環境を維持可能
tmuxが不利な理由
- AIエージェント間の通信が人間の協調と重複して混乱
- 誰がどのAIをコントロールするかの調整が必要
- リモート作業での画面共有が困難
- タスク分割とコード管理が複雑
選択指針
結局どちらを選ぶべきか、フローチャート形式でまとめました。
(あくまで筆者の現在の感覚です。使いこなしていくと違うのかもしれません)
あなたのプロジェクトは?
┌─ 大規模・複雑プロジェクト ─→ tmuxベース
│ ├─ フロント・バック・インフラ分業
│ ├─ UI専門・ロジック専門で分担
│ └─ チーム開発シミュレーション
│
├─ 個人・中小規模開発 ─→ ccmanagerベース
│ ├─ 複数機能の並行開発
│ ├─ ブランチ戦略重視
│ └─ 既存tmuxワークフロー維持
│
└─ 研究・実験目的 ─→ tmuxベース
├─ AI協調プロセス研究
├─ 新開発手法の検証
└─ 組織パターン実験
個人的な結論
AI・効率化好きとしての率直な感想をまとめると:
ccmanagerベースから始めるのがおすすめです。理由は:
- 導入コストが低い:既存環境を大きく変えなくて済む
- 実用性が高い:すぐに開発効率化の恩恵を受けられる
- チーム開発に対応:複数人での開発でも使いやすい
tmuxベースは面白いし将来性もありますが、まずはccmanagerで複数セッション開発に慣れてから、必要に応じてtmuxベースを試すのが良さそうです。
まとめ
Claude Codeの複数セッション開発は、従来の単一AI開発からの大きな進歩です。どちらの手法も、今後のAI駆動開発の重要な基盤技術になると思います。
- tmuxベース:AI組織シミュレーション、実験的取り組みに最適
- ccmanagerベース:実用性重視、個人・チーム開発に最適
皆さんのプロジェクトに合った手法を選んで、AIとの協働開発を楽しんでください!
参考
以下、参考にしたGithubの一覧です。公開して下さり感謝いたします。
tmuxベース
1. Haconiwa
Kamui元木さんが開発中。tmux利用の元祖。
2. nishimoto265さんのオリジナルのClaude-Code-Communication
オリジナル版のClaude-Code-Communication。
3. あきらパパさんのClaude-Code-Communication
あきらパパさんがプロンプト等を発展させたClaude-Code-Communication。
4. nwiizoさんのccswarm
tmuxを使いつつもcmanagerに近いリスト形式でお目々に優しいTUI
ccmanagerベース
1. kbwoさんのオリジナルのccmanager
2. Codex CLIも利用可能にしたccmanager
筆者自身がCodex CLIも利用したくて改版したccmanager
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