LinuC システムアーキテクト試験を受けてみた (LinuC SA)
TL;DR
LinuCシステムアーキテクト試験[1] を受けました。なかなか面白かったです。
まだ新しい試験なためか、Web上にも情報が少なかったのでまとめてみます。
受けた動機
世の中にIT系の試験は数ありますが、その多くが特定の製品や技術に関するものだと思います。
そういった試験もとても有用ですが、もう少しIT全体のスキルを確かめてみたかったというのが大きな動機の一つです。技術のスペシャリストもかっこいいと思いますが、それらのスペシャリストと協働しつつ全体の調整を実施する役割も重要だと思う今日この頃です。
そういった試験で一番有名なのは IPA のシステムアーキテクト試験[2] かと思います。ですが、この試験は一年に一回しか受けられない、かつ、論文試験で結構な量手書きしないといけない、というのがネックで・・・。
来年にはIPAの試験も受けてみたいと思いますが、もう少し受けやすい試験ないかな、ということで探してみたところ、LinuCシステムアーキテクト試験[1:1] がありました。CBT形式で受けやすいですし、最近できて内容も新しそう、またサンプルの問題が結構面白く感じたので受けてみることにしました。
LinuCシステムアーキテクトとは
下記に公式サイトに記載されていた内容を引用します。
ITプロジェクトを成功に導く上級エンジニアの証明
LinuCシステムアーキテクトは、オンプレ/クラウド、物理/仮想化を含むLinuxの大規模システムのライフサイクル全体を俯瞰し、柔軟かつ拡張可能なアーキテクチャを設計・構築ができる「プレイングシステムアーキテクト」としての能力を認定します。
以下の知識と技術を持つことの裏付けとなります。
分散システムの処理構造について、典型的なパターンの特長を理解し使い分けられる。
プラットフォーム/ミドルウェア/ネットワーク/ストレージについて、Linux/OSSによる具体的な構成を決定し構築・設定でき、クラウドサービスの機能を用いたりリソースを動的に確保するなどの構成も必要に応じて選択できる。
非機能要件のそれぞれを実現するための要素技術を理解し、 Linux/OSSにより実践できる。また、クラウドネイティブな設計アプローチや開発手法を理解し、システムに採り入れられる。
安定稼働と継続的開発を見据えた監視やテスト体制を設計し、また運用中のトラブル対応を主導できる。
こんな職種に
ロー/ミドルレベルのインフラエンジニアで (スペシャリティではなく)、アーキテクトを目指す人
ミドルレベルのアプリケーションエンジニアで、アーキテクトを目指す人
ということで、中級レベルな人が受けることを想定されているようです。実際受けてみても、それなりに経験のあるITエンジニアなら、結構地力だけでも行ける気がします。ただ、そんな人でもいろんな分野の内容を総ざらいするにはいい感じなのかなと思いました。また、LinuCと名が付きますがあまりOSは関係ない印象です。
勉強方法
これは結構困りました。新しい試験だからか専用の参考書はないですし、Web上にも情報があまりないです。一応、参考教材としては以下が示されていますが、
インフラデザインパターン 安定稼動に導く127の設計方式(株式会社技術評論社/2014年2月)
インフラ設計のセオリー 要件定義から運用・保守まで全展開(リックテレコム/2019年1月)
2022年度版OSS鳥瞰図(日本OSS推進フォーラム/2022年9月)
CNCF Cloud Native Interactive Landscape(Cloud Native Computing Foundation/2023年8月)
ソフトウェアアーキテクチャの基礎―エンジニアリングに基づく体系的アプローチ(オライリー・ジャパン/2022年3月)
入門 モダンLinux―オンプレミスからクラウドまで、幅広い知識を会得する(オライリー・ジャパン/2023年4月)
量が多いですし、これ全部読むのはかなり大変です。私は結局、ソフトウェアアーキテクチャの基礎だけ読んで挑むことにしました。ちなみにこの本はめっちゃ勉強になるので、別に試験受けなくてもお勧めです。
試験結果と感想
システムアーキテクト試験は2つあり、それぞれ試験結果は以下でした。
- LinuC システムアーキテクト SA01試験: 600
- LinuC システムアーキテクト SA02試験: 500
ちなみに、合格点は 500 です・・・ということで、めちゃくちゃギリギリでした。試験料も一試験 27,500円 (つまり、合計55,000円!!!) なので、少なくとも私にとっては安くない金額ですので冷や汗書きました。
上でも書いたところはありますが、ざっと感想を書いておくと
- LinuCと書いてあるが、あんまりLinuxは関係ない印象
- 結構細かいところまで聞かれる(サンプル問題もありますが、それよりもっと突っ込んで勉強しておいたほうが良いと思います)
- ある程度経験ある方なら「あーあれね」くらいのノリで解ける問題もある
- 結構悩む選択肢もある(これは模範解答知りたいところ)
という感じです。
全体として受けて色々勉強になるところは多いです。ただ、これ受けて受かったからどうだ、というものでもないので、これをきっかけに苦手分野を勉強するために使うくらいのノリがいいのかなと思いました。
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