Python開発コミュニティのいざこざのその後
今年の夏くらいに Python理事会が古参開発者を追い出して開発者コミュニティが騒動に という記事を読みました。かなり興味深く読んだのですが、そういえばそろそろ渦中の人であるTim Peters氏の謹慎が解ける頃だなと思い、その後を調べてみました。
そもそも何があったか
元の記事であるPython理事会が古参開発者を追い出して開発者コミュニティが騒動に にかなり詳細、かつ丁寧に書いてあるので、こちらをぜひお読みください(こちらは私の記事ではないです)。
要約すると以下です。
- Pythonコミュニティで、理事会によるフェローの解任権限を過半数の秘密投票で可能にする規約変更が提案され、Tim Peters氏が全会一致を主張して強く反対した。
- 結果として、Tim Peters氏は行動規範違反を理由に3か月の活動停止処分を受けた。
- コミュニティ内で賛否両論が巻き起こっている。
discuss.python.org
予想に反し、大元のディスカッションスレッドにTim Peters氏は戻ってきました。
それまでの流れからすると、文章自体はかなり穏当です。とはいえ、字面通りに取るべきではないでしょう。次のセクションにも記載しましたが、Tim氏はかなりPython理事会に対して不満を持っているようです。彼はその不満を、自身のブログに記載することにしたようです。
Tim Peters氏の反論ブログ
前述の通り、Tim Peters氏自身が、今回のBANに関する所見を記事にしていました。また、こちらの記事に対して、Chris McDonough氏(Tim Peters氏の元同僚で、Tims氏の擁護記事を書いていた人物)が新たに記事 を書いています。
Chris氏は、そもそもPython理事会がTim氏をBANした理由である行動規範違反など、元からなかったのではないかと疑っているようです。そして、Python理事会に対して、Tim氏のBanに関する議論を公開するよう求めています。
また、Tim氏自身も、BANの理由となった投稿に対する反論記事を書いています。それ以外にも、Tim氏は今回の件に関して自身のブログに記事を大量に投稿・更新しています。おかげでGitHubにも草が生えまくってます。
Redditでも、概ねPython理事会への不審を表すコメントが多いです。事実かはさておくとしても、Redditorは
「Python理事会は(あらゆる人をBANできるような)強権を持ちたがっており、Tim氏はそれを疑問視した。しかし、そのことを不愉快に思った委員会は適当な理由をでっち上げてTim氏を罰した」
というような捉え方をしているようです。
また、こんなコメントもありました。
In Python, explicit is better than implicit, privacy is a convention that can be bypassed, obfuscation is not respected, we’re consenting adults, and a sly nod to Monty Python is appreciated by most.
The Python Steering Council would do well to apply the principles that made Python one of the dominant programming languages.
Tim氏がThe Zen of Python の筆者であることも考えると、かなりの皮肉ですね。
HackerNews
かなりTim氏に同情的なコメントが多いです。
まとめ
Tim氏のブログで、 Mea Culpaという記事があります。直訳すると「私の罪」ですが、今回の事件を振り返り、ある種の諦観のようなものを感じさせます。
Pythonというコミュニティが変わろうとしているのだと感じました。Pythonは、多くの人にとってはただのツールだと思いますが、それに深く携わってきた人にとっては、ただのツール以上の思いがあるのだと思います。
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