プロダクトオーナーとして走り出した1か月間の取り組みと課題
私はユーザ認証機能の開発や保守運用に携わっているエンジニアです。認証機能を社内外に提供するAPIの開発や、社内向けツールのフロントエンド開発をしています。チームに所属してから1年ほどが経ち、1か月前からスクラム上でのプロダクトオーナー(PO)となりました。この1か月間で取り組んだことや感じた課題をまとめました。
チーム内での役割
私はPOと開発者の2つのロールを兼任しています。
プロダクトオーナーは、「スクラムチームから生み出されるプロダクトの価値を最大化することの結果に責任を持つ」とスクラムガイドに規定されています。この役割に加えて、組織上の役割として、チーム目標の達成にも一定の責任を持っています。
一方で、開発者としてスプリントバックログアイテムにも取り組んでいます。POと開発者の作業割合はおおよそ1:1です。POと開発者を兼任することがどの程度一般的かは分かりませんが、スクラムガイドにはPOと開発者の兼任について特に記述はありません。ただし、ユーザー認証の分野では技術的に複雑な要素が多く、プロダクト理解がある方がPOを務めやすいと感じています。
チーム体制
チームは私のほかに、スクラムマスター1人と開発メンバー5人程度から構成されています。バックエンドの開発に加えて、プロダクトの保守運用や監視、APIの運用のためのKubernetesなどのインフラ管理にも取り組みます。スクラム開発は2週間スプリントで実施しています。
ステークホルダーとしては、開発部長や、私が担当するプロダクトを含む全体をマネジメントするプロダクトマネージャーがいます。案件によっては、開発部長より上位の役職者や、別のプロダクトマネージャーがステークホルダーになることもあります。
1か月で取り組んだこと
POになってから1か月間で、以下のことを取り組みました。
PO業務に慣れる
まずは前任のPOを参考にしつつ、チーム開発を円滑に進めるために求められるPOの業務をはじめました。最初はPOとして何をすべきか完全に把握できていなかったので、スクラムマスターと相談しながらPOとしての仕事に慣れていきました。
- プロダクトバックログの管理
- 案件の優先度付けや完了条件の決定
- スプリントバックログの確定
- ステークホルダーとの交渉・コミュニケーション
- 次のスプリントに実施予定のバックログアイテムの説明や、案件の優先度の調整
キックオフの実施
POに任命された翌週に、チームメンバーを集めてキックオフを開きました。このキックオフでは以下のことを目指しました。
- POの役割を明らかにすること
- POの業務内容を明示することで、チームメンバーがPOに何を求めればよいかを理解しやすくし、コミュニケーションを円滑にすることを目指しました。
- 課題感の共有
- チームが実施予定の案件の多くが運用で、プロダクト改善にほとんど時間を割けないことを、案件割合を可視化して共有しました。
プロダクトのサービス観点指標の可視化
日次のUUや認証成功率など、サービス観点での指標をグラフにして可視化しました。これはすぐに役に立つものではないですが、プロダクトの現在地を把握しやすくすることで、改善の方向性を定めたり、サービスに関する課題を発見する助けになると考えています。
課題と今後の取り組み
運用が工数を逼迫し、プロダクト改善に割く工数を確保できていない現状がある一方で、工数が割けたならばどういう方向にプロダクトを導くべきかという理想像がまだ明確にできていません。認証機能は直接利益を生むプロダクトではないため、KPIの設定が難しく感じています。今後の1~2か月では理想像を描くための行動や、KPI設定に取り組みたいと思います。
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