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標準化をするべきかの基準:定型的で程よい粒度、リスクの大きさと対策可能性、発生頻度とコスト回収の見込み

2023/12/22に公開
  1. 誰がいつやっても、求められる結果に大きな違いがないこと
  2. 問題が起きた場合の損失も大きいが、事前対策によってリスクを下げたり回避できること
  3. 作業の発生頻度が高く、標準化のコスト回収が早い段階で見込めること

ここでいう「標準化」は次のような方法を総称しています。

  • 標準化:明確なアウトプットとそれを達成するための統一されたプロセスを構築すること
  • マニュアル化:誰がやっても同じ結果や効率にするために手順書を作成して使用を遵守すること
  • 平準化:チームメンバーの保有スキルや負担などが偏らないために機会や割り当てを均一にすること
  • 自動化:本当に人の手が必要な仕事に時間を確保するためにテクノロジーを使って人の介入を最小限にすること

※論理的に考えるとこうだよなを整理したものなので、実践にはもう少し詳細な基準や自分たちに合わせた調整が必要かもしれません

1. 誰がいつやっても、求められる結果に大きな違いがないこと

ある程度の定型的な作業や成果物でないと、標準化をすることがそもそも難しいです。

標準化をしたけれど、使うたびに調整ごとが多く、あまり効率化を図れないことも考えられます。
そんなときは対象とする範囲を狭めると標準化が有効な粒度になるかもしれません。

2. 問題が起きた場合の損失も大きいが、事前対策によってリスクを下げたり回避できること

PMBOKのリスク登録簿について調べてみると、以下のような基準が出てきました。

「発生確率」と「影響度」に関してそれぞれ1~5で設定をしていき、掛け合わせた数が5以上で「リスク中」、12以上で「リスク高」とする。
1~5の基準は次の通り。

  • 発生確率
    1. 非常にまれ
    2. 低い
    3. 五分五分
    4. 高い
    5. ほぼ確実
  • 影響度
    1. 極めて小さい
    2. 小さい
    3. 中くらい
    4. 大きい
    5. 極めて大きい

この基準の場合は「リスク高」が比較的多くなると思うので、標準化対象は「リスク高」の中から事前に対策が可能なものとなりそうです。

発生確率と影響度を掛け合わせた表組み リスク高が8つ、リスク中が9つ、リスク低が8つあります

3. 作業の発生頻度が高く、標準化のコスト回収が早い段階で見込めること

8時間かかる作業Aがあるとします。
作業Aに通常通り8時間をかけ、さらに標準化のために4時間をかけたとします。合計で12時間となり、通常の1.5倍です。
ですが、標準化をしたおかげで2回目以降は半分の時間である4時間で作業Aが完了できます。

つまり、作業Aがもう一度発生すれば合計時間は変わらなくなりますし、3回目以降は繰り返すごとに効果が高まります。
今回の例で作業の累積時間を計算すると、3回目は0.83倍の時間で、4回目は0.75倍、5回目は0.7倍のように繰り返すごとに効率化されます。

標準化を進めるにあたって「どれだけの利益が見込める」のかを想定しておくのは大切だと思います。「早く作って、早く利益を回収すること」の力は大きいので、全体的な優先度がどうしても落ちてしまうからです。

なので、次の2つをひとつの基準にして考えてみると「標準化するべきか」の答えに辿りつきやすくなるかもしれません。

  • +0.5倍の時間で標準化をすること
  • 3回以上の作業が発生するか考えてみること

「大多数のメンバーが対象になるか?」「削減効果がかなり大きくなりそうか?」のような視点で棚卸ししていけるとよさそうです。
複数人でのやり取りが必要になる標準化だと、また違った基準が必要になると思います。

標準化した作業の賞味期限を考慮しておく必要もあり、それによってはアップデートしたり、別のやり方に変える必要性が出てくるかもしれません。
いずれにしても必要なものは、「標準化にかかるコスト」「削減可能な時間」「発生頻度」の3つだと考えています。

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