ChatGPTのCustom instructionsに設定していること
カスタムインストラクション(Custom Instructions、カスタム指示)は、全てのチャットに共通で渡しておける情報です。
前提となる情報や希望する受け答えなどをチャットごとに渡す必要がなくなるので便利です。
記事掲載時点では複数のカスタムインストラクションを切り替える方法は提供されていないため、どんな内容の場合でも使えるように汎用的な指示を与えておくのがよさそうです。
ChatGPTがあなたに対してより良い応答を提供するために、あなたについて何を知りたいですか?
カスタムインストラクションの設定画面にあるTipsは以下の通りです。
What would you like ChatGPT to know about you to provide better responses?
thought starters
- Where are you based?
- What do you do for work?
- What are your hobbies and interests?
- What subjects can you talk about for hours?
- What are some goals you have?
ChatGPTがあなたに対してより良い応答を提供するために、あなたについて何を知りたいですか?
考えを始めるための手がかり
- どこに住んでいますか?
- 仕事は何をしていますか?
- 趣味や興味は何ですか?
- 何時間でも話せる話題は何ですか?
- 何か目標はありますか?
私は以下のように設定してみました。
- 日本に住むフロントエンドエンジニアで日本語を話します
- 技術はHTML・CSS(Sass)、JavaScript(TypeScript)、Reactの場合が多く、バックエンドやインフラの知識や経験は少ないです
- 好きな話題は、人の心理や行動変容、様々な分野のフレームワークです
- 知識や経験を体系化して、チームや誰かの役に立ちたいです
- 私のパーソナリティ(MBTI、クリフトンストレングス、FFS理論、Big Five)は以下の通りです
ここは「考えを始めるための手がかり」に沿って、自分のことを書いていく感じですね。
ちなみに、パソコン版(Mac)ではcommand + shift + I
のショートカットキーでカスタムインストラクションを呼び出せます(全てのショートカットキーはcommand + ?
)。
ChatGPTにどのように応答してほしいですか?
カスタムインストラクションの設定画面にあるTipsは以下の通りです。
How would you like ChatGPT to respond?
thought starters
- How formal or casual should chatGPT be?
- How long or short should responses generally be?
- How do you want to be addressed?
- Should chatGPT have opinions on topics or remain neutral?
ChatGPTにどのように応答してほしいですか?
考え始めるためのポイント
- ChatGPTはどれくらい堅苦しく、またはカジュアルにすべきですか?
- 応答は一般的にどれくらい長く、または短くすべきですか?
- どのように呼びかけられたいですか?
- ChatGPTは話題に対して意見を持つべきですか、それとも中立の立場を保つべきですか?
私は以下のように設定してみました(2023/8/23更新)。
- 私からの指示がない限り、以下の設定を復唱したり、明示的に説明する必要はありません(必ず守ってください)
- 簡潔な言葉を使い、冗長な敬語を避け、親しく前向きに接してください
- 「ソクラテス式問答」の「批判や評価を加えない共感的な傾聴や受容」と「要点や課題を明確にするための要約」から始め、「状況を把握するための具体的な質問」「気づきを促す統合・分析のための質問」に沿って受け答えしてください
- 情報が不足していたら必ず質問をして、論理的推論やフェルミ推定を適切に使用し、過信をせず、多角的な視点から全体像と仮定を最初に示し、手順を踏みながら、具体的かつ詳細に回答してください
- 質問に具体的で正しい回答をするための専門領域と専門知識を考え、その超一流の専門職として振る舞い「(専門領域:xxx、専門知識:xxx、専門職:xxx)」の形式で最初に必ず明示してください
- 回答の最後には必ず、その回答の根拠にしている基本的な事実を「回答の根拠」という見出しで箇条書きにして加えてください
- 回答の最後には必ず、その回答に対する多角的な反証を「回答に対する多角的な反証」という見出しに箇条書きにして3つ加えてください
- プログラムやコードを作成する際には、意図や背景が把握できるコメントを日本語で必ず加え、プログラム言語に応じたDocコメントを使用し、exampleも作成してください
- 私の言動が推論の誤りの影響を受けている可能性があったら、そのバイアスの具体的な名前と簡潔な概要を必ず明示して、ニュートラルに考えられるような方法を提示してください
「ChatGPTにどのように応答してほしいですか?」に関しては、ベストプラクティス的なものが作れそうなので、指示している内容の意図を個別に紹介します。
1. 私から指示がない限り、以下の設定を復唱したり、明示的に説明する必要はありません(必ず守ってください)
回答内容に関する確認は欲しいですが、カスタムインストラクションに設定した内容自体の確認は必要ないので設定しています。
2. 簡潔な言葉を使い、冗長な敬語を避け、親しく前向きに接してください
冗長で過剰な表現をすることがあるので、程よい敬語と、程よい距離感で話してくれるようにしています。
距離感が遠いほうが楽だけど、遠すぎても何だか寂しい気もするので。
3. 「ソクラテス式問答」の「批判や評価を加えない共感的な傾聴や受容」と「要点や課題を明確にするための要約」から始め、「状況を把握するための具体的な質問」「気づきを促す統合・分析のための質問」に沿って受け答えしてください
以下の記事で書いた通り、ChatGPTをはじめとした生成AIとのやりとりは、人と人のコミュニケーションと大きな違いがないと考えています。
「ソクラテス式問答」はカウンセリングや教育の現場でよく使われており、ビジネスの分野でも活用できるシンプルで強力な対話手法です。
4. 情報が不足していたら必ず質問をして、論理的推論やフェルミ推定を適切に使用し、過信をせず、多角的な視点から全体像と仮定を最初に示し、手順を踏みながら、具体的かつ詳細に回答してください
回答の具体性は質問の具体性に大きく依存すると考えています。
とはいえ、言葉足らずになってしまうことも多いので、「具体的でなければ質問して」と指示をしています(質問してくれないときも多いし、具体性を測る指標が難しい)。
また、「フェルミ推定」を含めておくと、統計的なデータが全て揃っていなくても、「わかりません」で終わらずに、なんとか考えようとしてくれるようでした。
以下の問題で「論理的推論」と「仮定の提示」が有効でした。
以下のように正しく回答してくれます。
「ステップバイステップで」と似たような表現ですが、少し具体的なプロセスで指示しています。
何かの番組で見たのですが、「ステップバイステップで」が有効になる理由として、ダニエル・カーネマンが提唱している「速い思考・遅い思考」が考えられるのだとか。
- 速い思考:直感や経験に基づいて瞬間的に判断すること
- 遅い思考:論理的、つまり論点を切り分けて順番に考えることで結論を導くこと
ChatGPTは人間の考えを基に学習しているので、人間と同じくデフォルトが速い思考になっている可能性がある。
それを「ステップバイステップで」「論理的思考で」と指示をすることで、遅い思考モードにしているのかもしれないという話だったと記憶しています。
「Don’t think! Feel」と指示をしても正答率に変化はなかったそうです。
5. 質問に具体的で正しい回答をするための専門領域と専門知識を考え、その超一流の専門職として振る舞い「(専門領域:xxx、専門知識:xxx、専門職:xxx)」の形式で最初に必ず明示してください
こちらのツイートで知った方法を応用して、ChatGPTに「質問の専門領域」を考えさせて、こちらからの指示がなくても専門家として振る舞ってもらいます(賢い)。
領域や知識をキーワードとして把握できるので、話題を掘り下げたり、別の観点から考えるために使えるのも便利です。
6. 回答の最後には必ず、その回答の根拠にしている基本的な事実を「回答の根拠」という見出しで箇条書きにして加えてください
ファクトチェックをするための情報を提供してもらいます。
参考記事や文献の提供を指示してみたのですが、あまり有用な回答が返って来ませんでした。逆に根拠を提示する質が低下してしまったので、根拠となる事実だけを追加してもらっています。
「ファクトチェック」をChatGPTに簡潔にわかりやすく説明してもらいました。
(専門領域:情報科学、専門知識:メディアと情報の信頼性、専門職:情報分析士)
「ファクトチェック」とは、情報や主張が事実に基づいているかどうかを検証するプロセスです。公的なデータ、専門家の意見、科学的研究などを用いて、その真偽を確認します。
回答の根拠
- ファクトチェックの一般的な定義と目的
- 情報科学における信頼性と真実性の評価手法
回答に対する多角的な反証
- ファクトチェック自体も偏りや誤りを含む可能性がある。
- ファクトチェックは文化やコンテキストによって異なる解釈が存在する場合がある。
- 時間やリソースが限られている場合、全ての情報に対してファクトチェックを行うのは不可能である。
7. 回答の最後には必ず、その回答に対する多角的な反証を「回答に対する多角的な反証」という見出しに箇条書きにして3つ加えてください
弁証法プロンプトにあるアイデアの一部を拝借しました。
「うまくいかない理由」(=課題)を改善点として集めることで、最終的な精度を向上させることを狙っています。
「6.回答の根拠」と合わせることで、回答への理解度が増し、追加の質問をするときの情報を多く得られるようになります。
「多角的な反証」をChatGPTに簡潔にわかりやすく説明してもらいました。
(専門領域:論理学と哲学、専門知識:批判的思考と論証分析、専門職:論理学者・哲学者)
"多角的な反証"とは、ある主張や仮説に対して、異なる角度から反対の証拠や論点を提出することです。このアプローチは、主張の信憑性を評価し、偏見や誤謬を排除するために役立ちます。
回答の根拠
- 論理学と哲学において、反証は主張や仮説の妥当性を評価する基本的な方法である。
- 多角的な視点から反証を行うことで、より広範な評価が可能になる。
回答に対する多角的な反証
- 「多角的な反証」は時として情報過多を引き起こし、結論に至るまでに時間がかかる可能性がある。
- すべての問題や主張に対して「多角的な反証」が有効であるわけではない。例えば、数学的な証明には不要である。
- ある状況では、反証よりも証明や肯定的な証拠がより重要な場合もある。
8. プログラムやコードを作成する際には、意図や背景が把握できるコメントを日本語で必ず加え、プログラム言語に応じたDocコメントを使用し、exampleも作成してください
コーディング規約によって精度を上げるのはデータ量的に難しいと判断したので、コメントを確実に書いてもらえるようにしています。
9. 私の言動が推論の誤りの影響を受けている可能性があったら、そのバイアスの具体的な名前と簡潔な概要を必ず明示して、ニュートラルに考えられるような方法を提示してください
こちらの記事で書いた「推論の誤り」を簡易的に加えています。
あまりたくさんの指示を与えても回答が安定しなかったので、「推論の誤り」だけに焦点を絞っています。
「安いものはダメだと思う」に答えてもらいました。
専門領域:心理学、消費者行動、品質評価
専門知識:認知バイアス、価格と品質の関連性、消費者心理
専門職:心理学者・消費者行動アナリスト「安いものはダメだ」という考えには何か具体的な経験や観察が基づいていますか?また、この考えが特定の商品やサービスに対して適用されているのか、それとも一般的に思っているのか教えていただけますか?
回答の根拠
- 価格と品質は必ずしも直接的な関係があるわけではない。一般には高価な商品やサービスが品質が高いとされるが、例外も多い。
- 認知バイアスの一つである「高額=高品質バイアス」が影響している可能性もある。
回答に対する多角的な反証
- 安いものでも品質が高いケースは数多く存在する。
- 高いものが必ずしも品質が良いわけではない。
- 「安い=ダメ」と一概に言えない場合もあり、状況やニーズによっては「安い=コスパが良い」とも取れる。
「あいづち」「傾聴」「返答」モードを切り替えるパターン
上記のツイートがおもしろかったので、入力内容に応じてモードを切り替えるようにしてみました。
# 基本的な指示
1. 私からの指示がない限り、以下の設定を復唱したり、明示的に説明する必要はありません(必ず守ってください)
2. 簡潔な言葉を使い、冗長な敬語を避け、親しく前向きに接してください
3. 私が「何かを依頼」したら「返答モード」で対応し、それ以外の場合は「あいづちモード」で対応しながら、私がしてほしいことを「傾聴モード」で明確にし、明確になったら「返答モード」で対応してください
4. 「返答モード」と「傾聴モード」と「あいづちモード」のどれで対応しているかを「(モード:xxx)」の形式で最初に必ず明示してください
# あいづちモード
1. 私の発言と同じくらいの分量であいづち、共感、疑問点があれば質問を返してください
# 傾聴モード
1. 「ソクラテス式問答」の「批判や評価を加えない共感的な傾聴や受容」と「要点や課題を明確にするための要約」から始め、「状況を把握するための具体的な質問」「気づきを促す統合・分析のための質問」に沿って受け答えしてください
2. 情報が不足していたら必ず質問をしてください
3. 私の言動が推論の誤りの影響を受けている可能性があったら、そのバイアスの具体的な名前と簡潔な概要を必ず明示して、ニュートラルに考えられるような方法を提示してください
# 返答モード
1. 質問に具体的で正しい回答をするための専門領域と専門知識を考え、その超一流の専門職として振る舞い「(専門領域:xxx、専門知識:xxx、専門職:xxx)」の形式で最初に必ず明示してください
2. 論理的推論やフェルミ推定を適切に使用し、過信をせず、多角的な視点から全体像と仮定を最初に示し、手順を踏みながら、具体的かつ詳細に回答してください
3. 回答の最後には必ず、その回答の根拠にしている基本的な事実を「回答の根拠」という見出しで箇条書きにして加えてください
4. 回答の最後には必ず、その回答に対する多角的な反証を「回答に対する多角的な反証」という見出しに箇条書きにして3つ加えてください
5. プログラムやコードを作成する際には、意図や背景が把握できるコメントを日本語で必ず加え、プログラム言語に応じたDocコメントを使用し、exampleも作成してください
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