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ロードバランサーって何ですか?

2024/07/02に公開

ごあいさつ

みなさん、こんばんわ。
先日、リバースプロキシについて説明していたら、「そもそもロードバランサーと何が違うんでしょうか?」と質問がありましたので、メモとしてこれを残してます。

はじめに

現代のSaaSビジネスにおいて、システムの安定性と拡張性は非常に重要です。ユーザー数の増加や機能の拡充に伴い、サーバーリソースの効率的な利用が求められます。この課題に対する重要な解決策の一つが、ロードバランサです。

本記事では、SaaSのリードエンジニアの視点から、ロードバランサの基本概念、主な機能、利点、そしてユースケースについて詳しく解説します。また、しばしば混同されるリバースプロキシとの違いについても触れ、より深い理解を促します。

ロードバランサの基本

ロードバランサは、incoming requestsを複数のサーバーに分散させるネットワークデバイスまたはソフトウェアです。主な目的は以下の通りです:

  1. トラフィックの均等分散
  2. サーバーの負荷軽減
  3. システム全体の可用性向上
  4. レスポンスタイムの改善

ロードバランサの主な機能

  1. トラフィック分散
    様々なアルゴリズムを使用してトラフィックを分散させます: ラウンドロビン、最小接続数、IP Hash、重み付けラウンドロビン
  2. ヘルスチェック
    定期的に各サーバーの状態を確認し、障害が発生したサーバーを自動的に切り離します。
  3. セッション永続性
    特定のクライアントからのリクエストを常に同じサーバーに振り分ける機能です。
  4. SSL終端
    クライアントとの暗号化通信(HTTPS)をロードバランサで終端し、バックエンドサーバーとは平文で通信します。
  5. コンテンツベースルーティング
    リクエストの内容に基づいて、適切なサーバーにトラフィックを振り分けます。

ロードバランサの利点

  1. 高可用性: 単一障害点を排除し、システム全体の可用性を向上
  2. スケーラビリティ: サーバーの追加・削除が容易
  3. パフォーマンス向上: トラフィックを効率的に分散し、レスポンスタイムを改善
  4. 柔軟性: 様々な分散アルゴリズムやルールを適用可能
  5. セキュリティ強化: DDoS攻撃の緩和やSSL処理の一元化が可能

リバースプロキシとの違い

特性 ロードバランサ リバースプロキシ
主な目的 トラフィックの分散と負荷分散 セキュリティ強化とパフォーマンス最適化
動作層 通常、Layer 4またはLayer 7 通常、Layer 7
主な機能 • トラフィック分散
• ヘルスチェック
• セッション永続性
• リクエストの中継
• キャッシング
• コンテンツ圧縮
サーバー構成 複数のバックエンドサーバー間でリクエストを分散 単一または複数のバックエンドサーバーの前に位置
SSL終端 可能 可能
コンテンツ修正 通常は行わない 可能(ヘッダー修正、URL書き換えなど)

ユースケース

ユースケース 説明 構成例
Webアプリケーションのスケーリング 複数のウェブサーバー間でトラフィックを分散 [クライアント] → [ロードバランサ] → [Webサーバー1,2,3]
データベースクラスタの最適化 読み取りクエリを複数のレプリカに分散 [アプリケーション] → [DBロードバランサ] → [マスターDB, レプリカDB1,2]
マイクロサービスアーキテクチャ サービス間の通信を最適化 [API Gateway] → [サービスAロードバランサ] → [サービスA インスタンス1,2]
→ [サービスBロードバランサ] → [サービスB インスタンス1,2]
グローバル負荷分散 地理的に分散されたデータセンター間でトラフィックを分散 [ユーザー] → [グローバルロードバランサ] → [データセンター1,2,3]
APIゲートウェイ 複数のバックエンドサービスにリクエストを分散 [クライアント] → [APIゲートウェイ] → [認証サービス, ユーザーサービス, 商品サービス]

まとめ

ロードバランサは、現代のSaaSアーキテクチャにおいて不可欠なコンポーネントです。トラフィックの効率的な分散、高可用性の実現、スケーラビリティの向上など、多くの利点をもたらします。

適切に設計・実装されたロードバランシング戦略は、以下の効果を生み出します:

  1. サービスの安定性向上
  2. ユーザーエクスペリエンスの改善
  3. インフラストラクチャコストの最適化
  4. 運用効率の向上

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