UnrealEngine5|点群のインポートについて
はじめに
必須:ジャンル: 🖥ソフトウェア
関連ソフト: UnrealEngine, その他
関連業務内容: モデリング
こんにちは。Malme技術部、井手です。
UnrealEngine5とは何か、土木業界での活用方法、点群のインポート方法について解説致します。
自己紹介
モデリング歴5年。(出産・育児と両立の為、実質4年程度)
昼は生コンを練り夜は解析を回すという不眠不休の学生生活を経て、ゼネコンで施工管理と積算を習得しBIM/CIMの道へ。
Revitをメインにしつつ、TREND-CORE、TREND-POINT、Civil3D、Twinmotion、Unity、UnrealEngineを使用。
土木に関わるあらゆる方が3次元技術で笑顔になる未来を目指し奮闘中。
対象者
現在UnrealEngineを使用している人
Twinmotion分割された点群をインポートすることに困っている人
点群データを相対座標を有したままインポートしたい人
UnrealEngine5とは
UnrealEngineは、Epic Gamesによって開発された強力なゲームエンジンです。
1998年に初めてリリースされて以来、数多くのハイエンドなビデオゲームやリアルタイム3Dアプリケーションの開発に利用されてきました。
ゲーム以外にも、映像制作、建築、シミュレーションなど、幅広い分野で活用されています。
エンジンのソースコードが公開されており、開発者が多く開発に携わっているのも特徴です。
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高品質なグラフィックス: フォトリアルなビジュアル表現が可能で、リアルなライティングやシャドウ、物理ベースのマテリアルをサポートしています。
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クロスプラットフォーム対応: PC、コンソール、モバイル、VR/ARなど、さまざまなプラットフォーム向けの開発が可能です。
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豊富なツールセット: レベルデザイン、アニメーション、物理シミュレーション、AIなど、多岐にわたる開発ツールが統合されています。
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コミュニティとサポート: 広大なユーザーコミュニティと豊富なドキュメント、チュートリアルが提供されており、開発者同士の情報共有が活発。
UnrealEngine5の土木業務への活用方法
Unreal Engine 5は、主にゲーム開発で知られる強力なリアルタイム3Dエンジンですが、その高度なグラフィックス機能とリアルタイムレンダリング能力により、土木業務においても多岐にわたる活用が進んでいます。
- プロジェクトの可視化
UE5のNanite技術により、インタラクティブで非常に詳細な3Dモデルをリアルタイムでレンダリング可能です。これにより、土木プロジェクトの設計段階での可視化が格段に向上し設計の意図やプロジェクトの進行状況を直感的に理解してもらいやすくなりました。
- デザインとシミュレーション
UE5のLumen技術を活用することで、環境のライティングや影響をリアルタイムでシミュレーションできます。これにより、日照や影の変化、水の流れなど、設計段階でのシミュレーションが迅速かつ正確に行えます。
更に、UE5は他のCADやBIMソフトウェアと連携し、構造解析結果をリアルタイムで視覚化することが可能で、設計の妥当性を即座に確認することができます。
- VRとARの活用
UE5はVR設計レビューが可能で、設計者やエンジニアが仮想空間内でプロジェクトを体験できる為、設計の問題点を早期に発見し、改善策を検討することが可能です。
更に、現場作業員がARデバイスを使用して、設計図面や施工計画を実際の現場に重ねて表示することができ、作業の精度が向上し、施工ミスの防止や効率化が図れます。
- インフラ管理
UE5を用いて、実際のインフラ施設のデジタルツイン(仮想複製)を作成できます。施設の運用状況をリアルタイムで監視し、メンテナンス計画を最適化することが可能です。
UE5のリアルタイムシミュレーション機能を活用することで、自然災害や人為的リスクのシミュレーションを詳細に検討し、効果的な対策を講じることができます。
- コラボレーション
UE5のマルチユーザー機能を活用することで、複数の関係者が同時にプロジェクトを編集・レビュー可能です。クラウドとの連携も強化されており、プロジェクトデータをクラウドで管理・共有し、効率的に進行することが可能です。
- トレーニング
UE5を用いたリアルタイムシミュレーション環境を構築することで、土木作業員やエンジニアのトレーニングを効果的に行うことができます。危険な現場環境を仮想空間で再現し、安全な環境下での訓練が可能です。
以上がUE5の基本的な機能と活用場面になります。
UnrealEngine5で点群を活用する意図
土木業界で使用されているCAD・BIM系ソフトウェアで作成されたデータは、精度の高さを担保するために多くのメッシュで構成されている場合が多く、そのままゲームエンジンにインポートすると動作が重くなったり、処理が追い付かずいわゆる「カクつき」が発生する等の不具合を起こすことが少なくありません。
特に地形においてはその傾向が顕著で、メッシュを減らしデータの軽量化を図る作業が必要になりますが、これは本来の目的とは関係が無い上に手間をかけて精度を下げるという悲しい作業であり、できるなら避けたいと思われる方が多いかと思います。
そこで活用できるのが「点群」です。
ICT施工の普及が著しく進んでいる現在、多くの現場で起工測量や出来形計測の際に点群を利用するようになりました。
その点群をUE5でも活用することで、新たにモデルやデータを用意する必要がなく、データ容量が大きく動作に影響を与える場合でも、点を間引いたり必要な箇所だけ抽出する等の簡単な作業をするだけで済みます。
そしてなにより、点の集合にはなりますが現実に計測されたものなので、現場環境を忠実に仮想空間に再現することが可能です。
UnrealEngine5で点群をインポートする方法
UnrealEngine点群をインポートするには、「編集」「プラグイン」から「LiDAR Point Cloud Support」を検索し、チェックを入れます。
再起動が必要になるので、一旦プロジェクトを保存し再起動させます。
コンテンツブラウザを表示させ、そこにドラッグ&ドロップでインポートできます。
その際に点群データの各プロパティが指定できるので、受光強度に注意しインポートします。
インポートできました。
TwinmotionではなくUnrealEngine5を使用する理由
同じEpic Gamesのソフトで建築での使用頻度が高いソフトとしてTwinmotionがあります。
Twinmotionの方が、建築、都市計画、インテリアデザイン向けのリアルタイム3Dビジュアライゼーションツールとして特化しており、直感的なインターフェースで操作がとても簡単なことから土木でもじわじわ普及している事情があります。
しかし、Twinmotionでは、各点群ファイルの中心がソフト上の原点にインポートされてしまうため、分割された点群をインポートするのが難しいです。
一方、UnrealEngine5には点群が正しい座標、もしくは相対座標を有したままインポートできる特徴があります。
UnrealEngine5は高機能ゆえに習得には時間と専門知識が必要ですが、扱える様になると非常に便利な側面も大きいですので、ぜひ皆さまもお試しください!!
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